項目データ
作曲年1800-1801年
献呈ジュリエッタ・グイチャルディ
演奏時間15分程度

ベートーヴェンのピアノソナタ第14番は、1801年に作曲され「月光ソナタ」という通称でも親しまれています。
ちょうどベートーヴェンの耳が聞こえなくなりはじめた頃の作品とされています。
ピアノソナタ第8番(悲愴)、第23番(熱情)と共に「3大ピアノソナタ」としても有名です。

とても美しく印象的な旋律で、ベートーヴェンのピアノソナタの中でも屈指の人気を誇っています。

ここではベートーヴェン「ピアノソナタ第14番(月光ソナタ)」の解説と名盤の紹介をしたいと思います。

ベートーヴェン「ピアノソナタ第14番(月光ソナタ)」の演奏

[0:24]第1楽章:Adagio sostenuto 2/2拍子 嬰ハ短調
[6:52]第2楽章:Allegretto 3/4拍子 変ニ長調
[9:13]第3楽章:Presto agitato 4/4拍子 嬰ハ短調

ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim, 1942年-)
アルゼンチン出身の、ユダヤ人ピアニスト・指揮者(現在の国籍はイスラエル)
神童として名をはせ10代の頃からピアニストとして活躍すると、20代半ばからは指揮者としても活躍する。
パリ管弦楽団、シカゴ交響楽団、ベルリン・シュターツカペレの音楽監督なども歴任。
オペラ部門、室内楽部門、管弦楽曲部門、ソリスト部門、ベスト・クラシック部門などでグラミー賞を受賞。

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14歳年下の恋人に捧げられた

「月光」はベートーヴェンが31歳の時に作曲され、14歳年下の恋人だった伯爵令嬢ジュリエッタ・グイチャルディに捧げられました。
またベートーヴェンはジュリエッタにピアノも教えており、師弟関係でもありました。
ジュリエッタは身分が高く、ベートーヴェンは身分の壁に苦悩したと言われています。

Beethoven

二人の仲は、周りも公認の仲だったそうです。
可哀想なことにベートーヴェンが「月光」をジュリエッタに贈った後に、ジュリエッタは貴族と結婚してしまいます。
ただ身分の違いから二人の未来は明るくないことは、ベートーヴェンは初めから予期していたそうです。
ベートーヴェンのこのような恋愛感情を知識に入れておいて曲を聴いてみると、また違った印象を感じられるかもしれません。

恋愛の音楽ではない!?

ただし「恋人に捧げられた作品」だからといって、「恋愛を表現した音楽」と理解するのは早計なようです。

14歳年下の恋人ジュリエッタには、当初ピアノ独奏曲『ロンド』ト長調(作品.51-2)を捧げる予定でいたそうです。
それが急きょ『ロンド』をカール・リヒノフスキー侯爵の娘へ献呈することになりました。

 リヒノフスキー侯爵はベートーヴェンの最も有力な後援者の1人として有名な人物です。侯爵は、モーツァルトを経済的に援助したことでも有名です。

それで恋人に贈る「代わりの作品」として、「月光」が選ばれたと言われています。
「月光」はベートーヴェンの当時の精神状態を表しているかもしれませんが、恋愛と作品を直接結びつけることは避けた方がいいのかもしれません。

「月光」の呼び名は当初は存在しなかった

「月光」の名で親しまれているピアノソナタ第14番ですが、作品が完成した当初は「月光」とは呼ばれていませんでした。

ベートーヴェン自身は「幻想曲風ソナタ」と書いており、「月光」の呼び名はドイツの詩人ルートヴィヒ・レルシュタープ(Ludwig Rellstab 1799年-1860年)によるものです。
「月光」が完成したとき、レルシュタープの年齢は2歳です。
レルシュタープが「月光」と評したのがいつかはわかっていませんが、作品が完成してからしばらく後のことだと推測されます。

レルシュタープは詩人の他にも音楽評論家として有名でした。
「レルシュタープに認められること」は音楽家のキャリアに大きな影響を与えたそうです。
そんなレルシュターブは14番を「スイスのルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と表現しました。

単なる「月光」を思い浮かべるのではなく、「レルシュターブの思い描いた景色」を想像すると作品がまた変わった風に聞こえるかもしれません。

月光は13番とセット

その人気の高さから単独で演奏されることの多い「月光」ですが、元々は13番とセットで一つの作品として発表されました。
ベートーヴェンの書き記した「幻想曲風ソナタ」の名称も、「月光」だけを指すのではなく13番・14番のことを指しています。

しかし現在では「幻想曲風ソナタ=月光」で定着しています。

作曲法を模索していた時期

この時期はベートーヴェンが新たな作曲法を模索していた時期でもあります。

「月光」においても、即興的な要素が加わっていたり、ペダルの使用が初めて細かく指定されたりしています。
音楽的には伝統的な古典派ソナタを一歩抜け出して、ロマン派の音楽に近づいてきています。
そして1802年の「ハイリゲンシュタットにて遺書」を経て、ベートーヴェンの作品は新たな境地へと突入していきます。

ベートーヴェン「ピアノソナタ第14番(月光ソナタ)」の名盤

ルービンシュタインの名演でベートーヴェンの三大ピアノソナタを堪能してはいかがでしょうか。
ルービンシュタインと言えばショパンを思い出す方もいるとは思いますが、ベートーヴェンも名演が揃っています。
定番の1枚としても知られており、クラシックの初心者の方にもオススメの1枚です。

温かくてスケール感の大きな音楽にきっと魅了されることだと思います。

アルトゥール・ルービンシュタイン(Arthur Rubinstein, 1887年1月28日 – 1982年12月20日)
ポーランド出身で、20世紀を代表するピアニストとして知られている。
母国ポーランドの作曲家ショパンをはじめ、シューマン、ベートーヴェン、ブラームスやブラジル音楽など、多くのレパートリーを誇った。
1899年:ポツダムでデビュー
1990年:ヨアヒムの指揮でベルリン・デビュー
1937年:ナチスの迫害を逃れて米国に移住
1946年:アメリカに帰化

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