シベリウスの「フィンランディア」は1899年に作曲された作品で、元々は管弦楽のみによる作品です。
皆さんも良く耳にしたことのある「歌詞付きのフィンランディア」は1941年に歌詞が付けられたもので「フィンランディア賛歌」と呼ばれて親しまれています。
プロアマ問わず日本でも合唱曲としても愛されています。

耳に残りやすい美しいメロディと迫力ある音楽で、シベリウスの代表作として知られています。

ロシアの圧政に苦しんでいたフィンランド

フィンランドは中世の頃はスウェーデンの一部で、スウェーデンはロシアとの同盟関係にありました。
そしてロシアがフランスに敗れたことでスウェーデンは孤立し、その後スウェーデンがロシアに敗れたことでフィンランドはロシアに割譲されてしまいます。

フィンランドは1917年に独立するまで100年以上にわたり、ロシアの圧政に苦しんでいました。
フィンランドはやがてロシアからの独立運動を起こすことになるのですが、ちょうどその頃を生きた音楽家がシベリウスでした。

Sibelius

フィンランドの国民を奮い立たせた「フィンランディア」

「フィンランディア」を作曲する2年前(1897年)、シベリウスは「フィンランドの作曲家」として国会で認められ、年金が支払われるまでになります。
その「ザ・フィンランドの作曲家、シベリウス」が作ったフィンランディアは、国の危機に陥っていたフィンランドの国民を奮い立たせました。

その愛国心を恐れて当時の帝政ロシア政府がフィンランディアを演奏することを禁止したほどでした。
そういう状況下で作曲されたフィンランディアは現在でもフィンランドの第二の国家として愛されています。
ここではシベリウスの「フィンランディア」の対訳や単語の意味なども紹介したいと思います。

フィンランディアの演奏(合唱付き)


BBC交響楽団(The BBC Symphony Orchestra )
指揮:サカリ・オラモ(Sakari Oramo、1965年10月26日ヘルシンキ - )、フィンランドの指揮者

第1音節にアクセントがあるフィンランド語

フィンランド語の特徴は第1音節にアクセントがあることです。
音楽的にも第1音節に重きを置くことで、より一層フィンランドの雰囲気のある音楽を演奏することができると思います。

発音はローマ字読みに近い発音です。
äは日本語で表現すると「平べったいア」「少しエが入ったようなア」と言ったところでしょうか。

続いて日本語訳も紹介します。
それぞれの単語の意味も掲載していますので参考にしてください。
不自然な場合もありますが、歌詞と日本語訳は可能な範囲で行が対応するように訳しています。

専門家の日本語訳ではありませんので、参考程度にご覧ください。

フィンランディア(合唱)の歌詞1

Oi, Suomi, katso, sinun päiväs' koittaa,
yön uhka karkoitettu on jo pois,
Ja aamun kiuru kirkkaudessa soittaa,
Kuin itse taivahan kansi sois'.
Yön vallat aamun valkeus jo voittaa,
Sun päiväs' koittaa, oi synnyinmaa.

フィンランディア(合唱)の対訳1

おお、スオミ
あなたの日は近づいている
夜の脅威は既に消え去り
そして輝いた朝にヒバリは歌う
それはまるで天空の音楽のよう
夜の支配に朝の光が既に勝ち
あなたの夜明けが来る 祖国よ

Oi/おお
Suomi/スオミ(フィンランド国民)
sinun/あなたの
päiväs/日、夜明け
koittaa/来る、近づいている
yön/夜
uhka/脅迫
karkoitettu/追い出された
on/(英語:be動詞)
jo/既に
ja/そして
aamun/朝
kiuru/ヒバリ
kirkkaudessa/輝いた
soittaa/歌う
kuin/~のよう
itse/自身
taivahan/天空の
kansi/頂上
sois/奏でる
vallat/支配
voittaa/勝つ
synnyinmaa/祖国

フィンランディア(合唱)の歌詞2

Oi, nouse, Suomi, nosta korkealle,
Pääs' seppelöimä suurten muistojen.
Oi, nouse, Suomi, näytit maailmalle,
Sa että karkoitit orjuuden,
Ja ettet taipunut sa sorron alle,
On aamus' alkanut, synnyinmaa.

フィンランディア(合唱)の対訳2

おお立てスオミよ 高く上げよ
偉大な歴史の花で飾られた頭を
おお立てスオミよ あなたは世界に示した
支配(隷属)を追い出し
弾圧に屈しなかった
朝がはじまる 祖国よ

nouse/立て
nosta/上げよ
korkealle/高く
Pääs/頭
seppelöimä/花で飾った
suurten/多くの、偉大な
muistojen/歴史、思い出
näytit/示した
maailmalle/世界に
sa/あなたは
että/~ということ
karkoitit/支配
orjuuden/追い出す
ettet/~しなかった
taipunut/屈する
sorron/弾圧
alkanut/はじまる

シベリウス「フィンランディア」の名盤

ヤンソンス指揮、バイエルン放送交響楽団によるCDです。
シベリウスの人気作品である「交響曲第2番」「フィンランディア」「カレリア組曲」が収録されています。
2015年のライブ録音

彼らは、ヤンソンス&バイエルンの組み合わせで度々来日公演もしています。

マリス・ヤンソンス(Mariss Jansons, 1943年1月14日 – )
ラトビアの指揮者
1979年:オスロ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任、同オケの評価を上げる。
1992年:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者
1997年:ピッツバーグ交響楽団の首席指揮者も兼任
2001年:ウィーン楽友協会の名誉会員に推挙
2003年:バイエルン放送交響楽団の首席指揮者
2004年:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の常任

バイエルン放送交響楽団
ドイツ・ミュンヘンに本拠を置くバイエルン放送専属のオーケストラ
比較的歴史の浅いオーケストラ(1949年~)ではあるが、雑誌でのオーケストラ・ランキングでは上位にランクし、ドイツを代表するシンフォニー・オーケストラとして評価を得ている。

その他の録音

finlandia
フィンランディアの「合唱」を楽しみたい方は、こちらのCDがオススメです。
フィンランド屈指の名門合唱団ドミナンテ合唱団によるシベリウスの合唱作品集です。

アカペラで歌われる「フィンランディア」の美しさは必聴です。

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