項目データ
作品名ミス・サイゴン
作曲クロード=ミシェル・シェーンベルク
作詞アラン・ブーブリル、リチャード・モリトビーJr
原作プッチーニのオペラ『蝶々夫人』
初演1989年ロンドン
1991年ブロードウェイ
1992年日本

ミス・サイゴン(Miss Saigon)』は、 1989年にロンドンで初演されたミュージカルです。
このミュージカルは『レ・ミゼラブル』と同じ作詞・作曲のコンビで作られました。

プッチーニのオペラ『蝶々夫人』を基にしたストーリーで、舞台はベトナムに置き換えられています。
人種差別・女性差別で議論の的になることもあるこのミュージカルですが、ロンドンでもブロードウェイでもロングラン公演を記録した人気作品です。

↑ 『蝶々夫人』の詳しい解説はこちら

ここでは『ミス・サイゴン』のあらすじを、曲と対応して解説していきます。

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『ミス・サイゴン』簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な30秒あらすじ
【1975年4月(ベトナム戦争終焉の直前)】
キム(売春宿で働くベトナム人)とクリス(アメリカ兵)は恋に落ちます。
終戦後、クリスは帰国し、彼らは離れ離れとなります。

【3年後】
クリスはアメリカで別の女性と結婚し、暮らしています。
そんな中、クリスは「キムと自分との間に子供が産まれていた」ことを知ります。

クリスはキムに会いに向かいます。
キムは「子供をアメリカに連れて行ってほしい」と望みますが、家庭のあるクリスは受け入れることができません。
キムは子供のために自ら命を絶ちます。

第1幕:『ミス・サイゴン』の詳しいあらすじ

戦争で家族を失ったキムが、売春宿で働く

1975年4月(ベトナム戦争終焉の直前)

田舎を戦争で失ったキムが、首都サイゴンへ逃げてきます。(Overture)
そして彼女はエンジニアの経営する売春宿「ドリームランド」で働くことになります。

 キム・・17歳。物語のヒロイン。田舎で暮らしていたが、戦争で家族を失い首都サイゴンへ逃げてくる。
 エンジニア・・売春宿を経営している。アメリカに行くことを夢見ている。

慣れないキムは、周りに冷やかされます。

売春宿では、アメリカ兵が売春婦たちと騒いでいます。(The Heat Is on in Saigon)
そこに友人ジョンに無理やり連れてこられたクリスの姿もあります。

 クリス・・アメリカ兵。キムと出会い恋に落ちる。

ジジたちは、現実を嘆き本物の愛や自由に憧れます。(Movie in My Mind)

 ジジ・・売春宿で働く女性。店のナンバーワンを決める「ミス・サイゴン」に選ばれる。

キムが最初の客クリスと恋に落ちる

そんな中、キムの最初の客はクリスとなります。(The Transaction)
気の進まないクリスですが、エンジニアの勧めでキムと部屋に入っていきます。(The Dance)

キムが眠る中、クリスはベトナムを離れる直前に恋をしてしまったことに気づき、神にそのわけを問いかけます。(Why, God, Why?)
目覚めたキムは「クリスが初めての男性だった」ことを告白し、お金の受け取りを断ります。(This Money's Yours)

クリスとキムはお互いに恋をし、愛を歌います。(Sun and Moon)

 そんな中、首都サイゴンの陥落(ベトナム戦争の終わり)が近づいています。
ジョン(友人)は電話でクリスに「そんな場合じゃないから、早く帰ってこい」と警告します。(The Telephone Song)

クリスはエンジニア(売春宿の経営者)のもとに向かい、キムを売春宿から解放するよう頼みます。
エンジニアは「アメリカのビザと交換」を要求しますが、クリスは銃を突きつけ無理やり同意させます。(The Deal)

結婚式の祈りの最中に、トゥイ(キムの婚約者)が来て激高する

少女たちが、クリスとキムの結婚式の祈りを捧げています。(Dju Vui Vai)
そこにトゥイ(キムの婚約者)が現れます。

 トゥイ・・キムの婚約者。二人が13歳の時に両親によって決められた。

トゥイは「キムがアメリカ兵(クリス)と一緒にいる」ことに怒ります。(Thuy's Arrival)
キムは「婚約の無効」を訴えると、トゥイは激高し去っていきます。(What's This I Find)

クリスは「キムをアメリカへ連れていく」ことを約束し、出会った夜と同じダンスを踊ります。(Last Night of The World)

戦争が終わり、二人は離れ離れになる

ベトナム戦争終焉の時、サイゴンは混乱に包まれています。
クリスはキムをアメリカへ連れていこうとしますが、混乱の中でキムは置き去りになってしまいます

キムがクリスの迎えを待つ中、クリスはアメリカで結婚している

3年後 1978年
首都サイゴンはホーチミンと名を変えている

米軍撤退3周年のパレードが開かれています。(Morning of The Dragon)
出世したトゥイ(キムの婚約者)は、部下にエンジニア(売春宿の経営者)を探させます。

 売春宿は既に廃業しています。
トゥイは、エンジニアを使ってキムを見つけさせようとしています。

貧民街では、キムが「クリスが迎えに来ることを信じて」暮らしています。

一方クリスは、アメリカでエレンと結婚しています。
そこでクリスは「キムの夢」を見て、うなされています。
キムとエレン(クリスの妻)は、それぞれでクリスとの愛を信じ歌います。(I Still Believe)

キムにはクリスとの子供がいた

1週間後 ホーチミン(サイゴン)
探していたエンジニアが見つかります。
トゥイの命令で、エンジニアはトゥイを「キムの家」に連れていきます。

そこで「キムにタムという子供がいた」ことが発覚します。

 タム・・キムとクリスの3歳の息子。

キムが元婚約者トゥイを銃殺する

トゥイは激高し、タムを殺そうとします。
キムは子供を守るためトゥイを銃で射殺します。
そしてタムを連れて逃げます。(This Is the Hour)

エンジニアとキムたちは、アメリカを夢見てバンコクへ旅たつ

キムに子供がいることを知ったエンジニアは、「子供を利用してアメリカに行ける!」と考えます。(If You Want to Die in Bed/Let Me See His Western Nose)

エンジニアとキム、タムの3人はバンコクへ向かいます。(I'd Give My Life for You")。

 バンコク経由でアメリカを目指す

第2幕:『ミス・サイゴン』の詳しいあらすじ

クリスはバンコクにいくことを決意する

アメリカ
ジョン(クリスの友人)は、アメリカでベトナムに残した子供たちの支援活動をおこなっています。(Bui Doi)
そこでクリスは「キムは生きており、自分との間の子供もいる」ことを知ります

クリスはバンコクへ行くことを決意し、妻エレンに話します。(The Revelation)

バンコク
キムとエンジニアは、バンコクのクラブで働いています。(What A Waste)
そこにジョンが現れ、「クリスを連れてくる」ことをキムと約束します。(Please)

しかしエンジニアは「自分で探しに行け」とキムに命令します。(Chris Is Here)
キムの前にトゥイの亡霊が現れ、キムは悪夢にうなされます。(Kim's Nightmare)

 ここで、終戦時の「クリスとキムの別れのシーン」が回想されます。
クリスは混乱の中、キムをアメリカに連れて帰ることはできませんでした。(The Fall of Saigon)

キムと妻エレンが鉢合わせする

バンコク
キムはクリスに会えることを喜び、一人でクリスのホテルへ向かいます。
しかし、クリスは外出しておらず、そこにいたのは「クリスの妻エレン」でした。

キムは絶望しますが、子供のことを思い「子供をアメリカに連れて帰ってほしい」とエレンに頼み込みます。
エレンは「自分との子供が欲しい」とそれを断り、キムはそれに怒ります。
エレンは動揺する気もちを抑え、クリスを守ることを心に決めます。(Room 317/Now That I've Seen Her)

キムとタム(子供)は、受け入れてもらえない

キムが去った後、クリスとジョンがホテルに戻ってきます。
クリスは妻エレンのために「タム(子供)をバンコクに置いたままで、支援だけする」ことを約束します。
ジョンは「キムはタムにバンコクに残ってほしくないと思っている」ことを忠告します。(The Confrontation)

クラブに戻ったキムは、エンジニアに「アメリカに行く!」と強がります。
エンジニアはアメリカの生活を夢見て歌います。(The American Dream)

キムが子供のために、自ら命を絶つ

キムが家に帰ると、そこにクリス、エレン、ジョン、エンジニアが訪れます。
キムは「タムをアメリカにいかせるためには、自分は邪魔だ」と考え、銃で自らを撃ちます。

キムは倒れ込み、クリスの腕の中で息絶えます。

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