シベリウスの「交響曲第2番」は、1901年に作曲されました。

シベリウスの中では最も人気のある交響曲でもあります。
シベリウスの初期の交響曲(第1番、第2番)は、当時の流行っていたチャイコフスキーやワーグナーの影響を受けていると言われています。
そのため大規模で後期ロマン派的な特徴を持っています。

一方、「交響曲第2番」は民族的な要素が強いものの自由な形で作曲され始めており、それ以降の交響曲の橋渡しのような作品だとも評価されています。

ここではそんなシベリウス「交響曲第2番」の解説と名盤を紹介したいと思います。

シベリウスの「交響曲第2番」の演奏

フランクフルト放送交響楽団(hr交響楽団/Frankfurt Radio Symphony)
指揮:スザンナ・マルッキ (Susanna Mälkki)

シベリウスの「フィンランド色」が濃い頃の作品

シベリウスは母国フィンランドを題材にした作品「クレルヴォ交響曲」(1892年)で成功を収めます。
そしてその後も民族的要素の強い作品「交響曲第1番」(1899年)「フィンランディア」(1899年)で、名声を高めていきます。

その功績は国からも認められ、国会で承認を得て「フィンランドの作曲家」として年金を受け取るまでになります。
フィンランドは当時ロシアの圧政に苦しんでいました。
そのためフィンランドの国民には愛国的作品が強く心に響いたのかもしれません。

Sibelius

「交響曲第2番」も丁度その頃(1901年)に作曲された作品の一つです。
初演は翌年(1902年)シベリウス指揮のもと母国フィンランドのヘルシンキでおこなわれ、大成功を収めました。

イタリアで大部分を書き、母国で完成させた

シベリウスはパトロンであるカルペラン男爵からの勧めから、1901年に家族と共にイタリアのラパッロに旅に出ます。
そこでシベリウスは音楽的にも多くのことを学びます。

極寒なフィンランドで生活していたシベリウスにとって、イタリア(ラパッロ)は南国のとても過ごしやすい場所でした。
シベリウスはラパッロを「魔法がかった国」と表現し、彼の筆は快調に進んだと言われています。
その後ローマにも訪れ作曲を続け、イタリアの地で「交響曲第2番」の大部分は作曲されました。

これらをフィンランドに帰り完成させたのですが、年末には再び改訂をおこなっています。
初期のシベリウスにはブルックナーのような改訂癖があり、改訂がおこなわれることは珍しくはありませんでした。

曲の構成

第1楽章:Allegretto

ニ長調 6/4拍子、ソナタ形式
フィンランドの田舎の情景を想像させる民謡的な第1主題は、木管楽器によって演奏される。
その伴奏を弦楽器がリズミカルに支え、この伴奏は第2主題にも続く。

最後は序奏の動機を奏でながら徐々に静かになり、穏やかに終わる。

第2楽章:Tempo andante, ma rubato - Andante sostenuto

ニ短調 4/4拍子
ABABの四部形式で書かれており、これはシベリウスが多用したものでもある。
冒頭のティンパニの連打の後に、ピッツィカートが40小節近く続く。
ファゴットが寂し気に奏でる第1主題は、ドン・ジョヴァンニの伝説から書いたと言われている。
続いてヴァイオリンが奏でるどこか明るさも感じさせる第2主題は、フィレンツェでヒントを得たと言われている。

第3楽章:Vivacissimo - Lento e suave - attacca

変ロ長調 6/8拍子
第2楽章同じくABABBの四部形式で書かれている。
第2部でオーボエが牧歌的に奏でられるのが印象的だ。

音楽が次第に盛り上がっていくと、休みなくそのまま第4楽章に入る。

第4楽章:Finale. Allegro moderato - Moderato assai - Molto largamente

ニ長調 3/2拍子、ソナタ形式
胸が熱く鳴るような壮大な音楽
弦楽器の力強い第1主題にトランペットが勝利のファンファーレで答える。
第2主題では木管楽器が寂し気な民謡的な音楽を奏でる。

第2主題に導かれ壮大なクライマックスが形成された後に、第1主題の動機によって荘厳に終わる。

シベリウス「交響曲第2番」の名盤

ヤンソンス指揮、バイエルン放送交響楽団によるCDです。
シベリウスの人気作品である「交響曲第2番」「フィンランディア」「カレリア組曲」が収録されています。
2015年のライブ録音

彼らは、ヤンソンス&バイエルンの組み合わせで度々来日公演もしています。

マリス・ヤンソンス(Mariss Jansons, 1943年1月14日 – )
ラトビアの指揮者
1979年:オスロ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任、同オケの評価を上げる。
1992年:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者
1997年:ピッツバーグ交響楽団の首席指揮者も兼任
2001年:ウィーン楽友協会の名誉会員に推挙
2003年:バイエルン放送交響楽団の首席指揮者
2004年:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の常任

バイエルン放送交響楽団
ドイツ・ミュンヘンに本拠を置くバイエルン放送専属のオーケストラ
比較的歴史の浅いオーケストラ(1949年~)ではあるが、雑誌でのオーケストラ・ランキングでは上位にランクし、ドイツを代表するシンフォニー・オーケストラとして評価を得ている。

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