項目データ
初演1926年4月25日 ミラノ・スカラ座
原作カルロ・ゴッツィの戯曲『トゥーランドット』
台本ジュゼッペ・アダーミ、レナート・シモーニ
演奏時間2時間

『トゥーランドット(Turandot)』は、ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini/1858年-1924年)が作曲した最後のオペラです。
残念ながら「リューが自刃した場面」でプッチーニは亡くなってしまい、それ以降の場面は友人フランコ・アルファーノによって書き加えられました。

 中国を舞台にしたオペラで、プッチーニはこの他に『蝶々夫人』(日本)『西部の娘』(アメリカ)と言った異国情緒あふれるオペラを作曲しています。

また、このオペラでカラフによって歌われる「誰も寝てはならぬ(Nessun dorma)」はオペラの代名詞的存在となっており、テレビなどでも度々流れています。
特にルチアーノ・パヴァロッティが歌った「誰も寝てはならぬ」は、クラシックとしては異例のイギリスのシングルチャートでトップを記録し、全英で400万枚以上、全世界で1200万枚以上のセールスを記録しました。

ここでは、プッチーニのオペラ『トゥーランドット』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

登場人物詳細
トゥーランドット姫(ソプラノ)
アルトゥーム(テノール)中国の皇帝、トゥーランドットの父
ティムール(バス)ダッタン国の盲目の王、戦いに敗れ国を追われている
カラフ(テノール)ティムールの息子、姫に一目惚れをする
リュー(ソプラノ)召使い、カラフを密かに愛している
ピン、パン、ポン大臣たち

など

『トゥーランドット』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
舞台は北京
美しく冷酷な姫トゥーランドットと結婚するには3つの謎を解くことが必要でした。
しかし謎が解けないと、首をはねられてしまう決まりがありました。

そのトゥーランドットに、ダッタン国の王子カラフは恋をします。
カラフは見事謎を解き、最後にカラフの愛がトゥーランドットの愛を呼び起こします。
二人は結ばれ、皆の歓声の中でオペラは終わります。

第1幕:『トゥーランドット』のあらすじ

「3つの謎を解く」と姫と結婚できるが、失敗すると首をはねられる

北京、城門の前

役人が
「トゥーランドット姫と結婚するには、条件がある」
「それは、姫が出す3つの謎を解くことだ。」
「しかし、解けない場合はその者の首をはねる。」
と、読み上げています。

そして「今日もペルシャの王子の首がはねられる。」と続けます。

戦争に敗れ逃亡中の王子カラフが、父ティムールと召使いリューに再会する

野次馬の人々の中には、盲目の老人(ダッタン王ティムール)と、その召使いリューの姿もあります。
人混みに押されてティムールが倒れると、リューが「誰か助けて下さい!」と叫びます。

すると生き別れになった王子カラフが助けに来きます。
戦いに破れ国から逃げてきた3人は、再会を喜びます。

カラフが姫に一目惚れをする

日の出を待って、死刑の執行の時間が訪れます。
ペルシャの王子が処刑台にくると、トゥーランドット姫が登場します。

そこでカラフはトゥーランドット姫に一目惚れしてしまいます。
そして父ティムール、リューの制止を振り切り、求婚のドラを鳴らしに向かいます。

カラフが皆の制止を振り切り、求婚のドラを鳴らす

そこにピン、ポン、パンの3人が現れて、カラフの考えを改めさせようとします。
しかし死刑が執行されたペルシャの王子の首をみても、カラフの考えは変わることはありません。

カラフを密かに愛しているリューは、「ご主人様、お聞きください。私はあなたを失うことは耐えられません。」とカラフに訴えかけます。(Signore, ascolta! )

「Signore, ascolta! 」

しかしカラフはリューに「泣くな、リューよ。父を頼んだぞ。」(Non piangere, Liù! )と言葉を送ると、トゥーランドットの名を叫び求婚のドラを鳴らします。

「Non piangere, Liù! 」

第2幕:『トゥーランドット』のあらすじ

3人の大臣たちが、故郷を懐かしむ

ピン、ポン、パンが「今年は13人もトゥーランドットのために死刑になった。」と語ります。
そして、大臣である自分たちの仕事が死刑執行に成り下がったことを嘆いています。
3人は「故郷に帰りたいな」と故郷を懐かしみます。

遠くからは処刑を促す人々の声が聞こえ、3人は今までに処刑された王子たちを思い出します。
そして「トゥーランドットの恋が実ったら、この生活は変わるのにな。」と語り合います。

やがて宮殿が騒がしくなると、3人は現実に戻り「拷問を楽しもう!」と叫び、立ち去っていきます。

カラフが謎をすべて解く

人々が皇帝を称えています。
皇帝はカラフに求婚をやめさせようとするが、カラフの意志は変わりません。
皇帝は「しょうがない。お前の運命を成し遂げよ。」と告げます。

役人が条件を読み上げると、トゥーランドット姫が登場し「私は敵国に復讐するために、この謎を出す。」と語ります。
そして姫が謎かけを出すと、カラフは「希望」「血潮」「トゥーランドット」と謎をすべて解きます。
人々は歓声を上げます。

駄々をこねる姫に、カラフが「夜明けまでに私の名を当てたら、私は死にます。」と告げる

しかし、トゥーランドットは父である皇帝に「彼に娘を渡さないで。私は誰のものにもなりません!」と懇願します。
するとカラフは「夜が明けるまでに私の名を当てたら、私は死にましょう。」と反対に謎を出します。

皇帝は「あなたが私の息子となることを、天が願っている。」と語り、人々は「皇帝に栄光あれ!」と叫びます。

第3幕:『トゥーランドット』のあらすじ

カラフは勝利を確信し「誰も寝てはならぬ」を歌いあげる

北京の街には、「カラフの名前がわかるまで誰も寝てはいけない」という命令が出ています。
カラフは自分の勝利を確信して「誰も寝てはならぬ」を歌いあげます。(Nessun dorma)

「Nessun dorma」

3人の大臣が現れ、カラフに
「美しい女が望みか?」
「富が欲しいか?」
「何もいらないなら、遠くに行ってくれ!」
「じゃないと私たちが殺される。」
等と言いますが、カラフは取り合いません。

捕らわれたリューが、カラフを守るために自害する

そこに捕えられたティムールとリューが連れてこられます。
「彼らならカラフの名を知っているはずだ」と、リューは拷問にかけられます。

リューは
「その名を秘密にすることは、私の喜びです。」
「この愛は、拷問も甘く感じさせます。」
と語ります。

そして、トゥーランドットに
「あなたはこの方を愛することになるでしょう。」(Tu che di gel sei cinta)
と告げると、近くの兵の短剣を奪って自害します。

「Tu che di gel sei cinta」

姫の心が揺れ、カラフは愛を確信し"自身の名"を名乗る

舞台はカラフとトゥーランドットの二人だけになります。
カラフはトゥーランドットのヴェールを上げ、「あなたの冷たさは偽りだ」とキスをします。

初めは頑なに気持ちを閉じ込めていたトゥーランドットでしたが、次第に心を許し、ついに涙を流します。
トゥーランドットはカラフに
「これ以上の勝利を求めないでください。」
「あなたの謎と共に去ってください。」と語ります。

カラフはトゥーランドットの愛を手にしたと確信し、「私はカラフ、ティムールの息子です。」と名を名乗ります。
するとトゥーランドットが「あなたの名前がわかった!」と叫び、人々の前に向かいます。

姫が「彼の名は愛です!」と叫び、二人は結ばれる

宮殿前の広場

皆が見守る中、トゥーランドットは皇帝に「彼の名は...愛です!」と叫びます。

カラフとトゥーランドットは抱き合い、人々は歓声を上げるなかオペラが終わります。

プッチーニ『トゥーランドット』の映像

ゼッフィレッリ演出、メトロポリタン歌劇場

『トゥーランドット』はやはり豪華な演出で楽しみたいところです。
2009年メトロポリタン歌劇場、ゼッフィレッリ演出の『トゥーランドット』の豪華な舞台は圧巻です。
ただ日本語字幕がないため、初めての1枚としてはオススメしにくいかもしれません。

配役等演奏
トゥーランドットマリア・グレギーナ
カラフマルチェロ・ジョルダーニ
リューマリーナ・ポプフラスカヤ
ティムールサミュエル・レイミー
演奏メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
指揮アンドリス・ネルソンス
演出等フランコ・ゼッフィレッリ

収録:2009年11月7日ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場

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