歌手は曲全体を美しく歌うために、苦手な母音をなくすべきです。

それぞれの母音の発語は、主に口の奥、舌、唇の形で決まります。
また母音によって、感じる音の方向は異なります。

苦手な母音をなくすために、まずは全ての母音の発語の仕組みを理解しましょう。

苦手な母音がなくなると、発声を気にせずに歌に集中できます。

 母音が平べったい日本人の特徴としては、「イ」「エ」が苦手な方の割合が多いと感じます。
もちろん「ア」「オ」が苦手な方や、「ア」は得意だが「オ」が苦手な人もいます。

歌における一般的な母音の傾向

人の感覚はそれぞれですので、絶対的な母音の感覚はありません。
しかし感覚の傾向は似ています。
一般的な母音の傾向をここで整理します。

「負担なく楽に」「良く響く」母音の出せるところを見つかれば、そこが自分の最適な母音の発音の場所です。

深い母音と浅い母音

一般的に母音は深い順から『ウ>オ>ア>エ>イ』となります。
深いほうが口腔内が広くなります。
母音が変化するときには、主に口の奥のスペースが変化します。

 高音になるにつれて母音のスペースの状態は少しずつ変わってきます。
まずは話し声の音域で一番適している母音の形を見つけましょう。

それと同時に舌の位置も変化します。
母音が浅くなるにつれて、舌根も上がってきます。
「エ」や「イ」の舌根の位置は特に高くなり、「イ」については舌根が上の歯に触れている状態です。

唇も同時に適切な動きをしましょう。
「ウ」は特に唇をすぼめて前に出すため、難しい母音です。
「ウ」は唇の開きは狭いですが、口腔内の奥のスペースは深く開いています。

母音を感じる方向も違う

歌うときに声の響きを感じるポイントはありますか。
そのポイントも母音によって異なります。

「ア」「オ」は斜め後ろに感じることが多いです。
それに比べ、「イ」「エ」は真上よりほんの少し斜め後ろに感じる方が多いです。

「ア」「オ」の方が「イ」「エ」に比べて後ろに音を感じます。

中音域ではこの差はあまり大きく感じないかもしれません。
高音域になるほど、母音の方向の差は感じやすくなります。

苦手な母音は他の母音のバランスも崩す

実際に曲を歌ってみてください。

苦手な母音があると、その時に発声のバランスが崩れるはずです。
苦手な母音が繰り返されると、次第にすべての母音のバランスが崩れはじめます。

そして曲自体を自由に表現できなくなります。

曲の一番の盛り上がりの部分に苦手な母音がきて、嫌な思いをしたことがある方も多いと思いでしょう。

得意な母音と苦手な母音を交互にボイトレする。

自由に歌うために、苦手な母音を練習することは大切です。
しかし苦手な母音ばかり練習すると、全体のバランスを崩してしまいます。

得意な母音と交互に発声練習をしてみてください。
得意な母音と同じ状態で苦手な母音も発声できるように、少しずつ近づけていきましょう。
それが、自由に歌える近道の一つです。

 
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