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作品フルートとハープのための協奏曲
作曲年1778年

フルートとハープのための協奏曲 ハ長調(K.299)は、モーツァルトが22歳のときの1778年に作曲した協奏曲です。

フルートとハープが主役になっている珍しい作品でもあります。
フルートとハープは相性が良いとは決して言えず、この組み合わせは前例のないことでした。
ハープ協奏曲は数自体が少ないことから、この曲はハープ奏者にとってはとても重要な曲だとも言えます
第2楽章の「アンダンティーノ」はその美しさから人気も高く、単独で演奏されることもあります。

映画「アマデウス」のサリエリがモーツァルトの留守宅を訪ねるシーンで、この曲は使われています。

ここではモーツァルトのフルートとハープのための協奏曲の解説と名盤を紹介したいと思います。

フルートとハープのための協奏曲の解説

アマチュア奏者のために書かれた曲

1778年に「フルートとハープのための協奏曲」は外交官のド・ギーヌ公爵のために作曲されました。
モーツァルトは彼のパトロンであるグリム男爵を通してド・ギーヌ公爵と知り合いました。

ド・ギーヌ公爵はアマチュアのフルート奏者であり、彼の娘はハープの演奏が趣味でした。
そこで親子での共演をするためにモーツァルトに作曲を依頼したわけです。
モーツァルトは父レオポルトへの手紙に、「ド・ギーヌ公爵はフルートの演奏が上手で、娘もハープを上手に演奏します。」と書いています。
このことからも彼らはアマチュア奏者ですが、それなりの演奏力はあったことが推定できます。

お金は無報酬だった

モーツァルトはド・ギーヌ公爵の娘に作曲も教えていましたが、彼女に作曲の才能はあまりなかったようです。
モーツァルトは父レオポルトへの手紙に、彼女のことを「バカで怠け者だ」と酷評しています。
実際、彼女は長続きせず飽きっぽい性格だったと言われています。

モーツァルトはそれでもド・ギーヌ公爵の娘を熱心に指導したようで、それがかえってド・ギーヌ公爵に悪い印象を与えてしまいます。
ド・ギーヌ公爵にとってはレッスンはほどほどでいいので、自分たちのために名曲を書いてくれさえすればよかったのかもしれません。

正確な理由は定かではありませんが、ド・ギーヌ公爵はモーツァルトにレッスン代の半分しか支払いませんでした。
怒ったモーツァルトは半額のレッスン代を受け取らず、また改めて正規の値段を要求したと言われています。
その後、全額貰えたか、半額だったかの詳細はわかっていません。
そして、さらにはド・ギーヌ公爵は「フルートとハープのための協奏曲」の報酬も一切払いませんでした。

実はモーツァルトはフルートが嫌いであり、ハープも好きではなかったと言われています。
「お金」のために作曲をしたが肝心のお金が入ってこなかったので、モーツァルトにとっては踏んだり蹴ったりだったかもしれません。

さんざんな結果となりましたが、曲のクオリティーはさすがモーツァルトです。
フルートとハープがオーケストラと絡み合い、見事なフランス風のサロン音楽となっています。
「貴族」「セレブ」のようなイメージがぴったりの曲調です。

※モーツァルトがフルートとハープを好まなかったのは、「フルートが今とは違い音色や音程が安定しなかったこと」「ハープもまだ発展途上の楽器だったこと」も関係しているかもしれません。

フルートとハープのための協奏曲の名盤

このCDは「フルートとハープのための協奏曲」の最も有名な録音の一つです。
その人気の高さから、何度も判を変えてはリリースされています。

フルートの演奏が伸びやかで前に出て聴こえてきますで、フルート好きの方には特にこのCDはオススメです。
ランパルのフルートだけでなく、ラスキーヌのハープも優美な響きで心を癒してくれます。

ジャン=ピエール・ランパル(フルート)
リリー・ラスキーヌ(ハープ)
パイヤール室内管弦楽団
ジャン=フランソワ・パイヤール(指揮)

ジャン=ピエール・ランパル(Jean-Pierre Rampal/1922年1月7日-2000年5月20日)
フランスのフルート奏者
20世紀の最も偉大なフルート奏者として知られており、数多くのオーケストラや室内合奏団と共演している。
1946年:ヴィシー歌劇場管弦楽団に入団
1947年:ジュネーブ国際コンクールで優勝
1956年:パリ・オペラ座管弦楽団の首席奏者になる。1962年に退団し、その後は世界各地を演奏して回った。

リリー・ラスキーヌ(Lily Laskine/1893年8月31日-1988年1月4日)
フランスのハープ奏者
ジャン=ピエール・ランパルとは友人でもある。
1934年:フランス国立管弦楽団の創設と同時に同団のハープ独奏者となる。
1950年:エラート・レーベルと契約
1958年:フランスの最高勲章として知られているレジオンドヌール勲章を授かる。

パイヤール室内管弦楽団(Orchestre de chambre Jean-François Paillard)
フランス・パリに本拠地がある室内オーケストラ
ジャン=フランソワ・パイヤールによって設立されたジャン=マリー・ルクレール器楽合奏団(1953年)を前身として、1959年に設立された。

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