ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms/1833年~1897年)の交響曲第4番は、第3番完成の翌年1884年から1885年にかけて作曲されました。
ブラームスの作品の中でも傑作として名高い作品です。
ブラームスは30歳ころには作曲家として名声を得ていましたが、彼が初めて交響曲を書いたのは41歳のときでした。
これはベートーヴェンを尊敬していたブラームスがベートーヴェンに並ぶような交響曲を書きたいと思うがあまり遅くなってしまったとも言われています。
交響曲第4番はそんなブラームスが書いた最後の交響曲であり、ブラームス自身の最もお気に入りの曲でもあります。
「ため息のモチーフ」と呼ばれる手法で書かれた第1楽章は、とても心に残ります。
また決して派手ではありませんが、深く生命力を感じるこの交響曲第4番に多くの人が魅了されています。
ここではそんなブラームス「交響曲第4番」の解説や名盤を紹介したいと思います。
自然に囲まれた避暑地で作曲された
交響曲第4番はミュルツシュラークという自然に囲まれた避暑地で2年間かけて作曲されました。
この地は、ブラームスが若い頃に父と旅行で訪れた思い出の地でもありました。
ここで出会った友人たちとも穏やかな日々を過ごし、クララなどの友人もこの地を訪れたそうです。
そんな心穏やかな生活の中で作曲されたのが、この「交響曲第4番」なのです。
初演の評価は賛否両論
ブラームス「交響曲第4番」は1885年にブラームス自身の指揮によりマイニンゲン宮廷管弦楽団によって演奏されました。
初演ではアンコールも起こり、その後ドイツとオランダでの演奏旅行もおこなわれましたが作品の評価は別れました。
ワーグナー派からは辛口の意見
少し古っぽさを感じる音楽であることから、革新的な音楽を支持するワーグナー派の人々からは辛口の意見が飛びました。
「交響曲第4番」では第2楽章に教会旋法が用いられ、終楽章にはバロック時代の変奏曲形式であるシャコンヌが用いられ、当時の交響曲としては珍しいものでした。
聴いて感じるように1885年の作品にしては新しい印象をあまり受けないと思います。
作曲家として今日でも有名なフーゴ・ヴォルフ(Hugo Wolf/1860年~1903年)やグスタフ・マーラー(Gustav Mahler/1860年~1911年)もこの「交響曲第4番」を支持しなかったと言われています。
バッハが見直された時代
実この時代まではバッハは今ほどメジャーな音楽家ではなく、ようやく19世紀前半にバッハの作品が見直され始め再び脚光を浴び始めた時代なのでした。
そういう意味ではブラームスにとってバッハの音楽は刺激的であったのかもしれません。
もちろん現代ではこの作品は古典主義的であると同時に、ロマン派の作品として評価されています。
ブラームス派は肯定的
もちろん当然ですが、ブラームス派は「交響曲第4番」に肯定的な意見でした。
交響詩やオペラで知られるロマン派を代表する作曲家であるであるリヒャルト・ゲオルク・シュトラウス(Richard Georg Strauss/1864年~1949年)も、「交響曲第4番」を天才的と称えたと言います。
ただブラームス派にとっても「交響曲第4番」は万人向けではなく、専門家好みの「通向け」の音楽と感じたようで、書き直しを勧める声もありました。
ちなみに初演より前に、限られた友人たちを前に2台のピアノによる試演会がありました。
第1楽章の演奏後に、それを聴いた友人たちは複雑な技法と古い昔ながらの音楽に戸惑いの表情を浮かべたそうです。
ブラームスがこの世を去る1カ月前に聴いた作品
ブラームスは1897年4月3日にガンでこの世を去りますが、その1カ月前にウィーン楽友教会で聴いた演奏が自身の作品「交響曲第4番」でした。
ウィーンフィルによる演奏で、名指揮者ハンス・リヒターが棒をふりました。
このコンサートは感動的な名演だったと言われており、終演後はブラームスを称える大きな拍手が彼に向けておこなわれたそうです。
ブラームス「交響曲第4番」の名盤
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一昔前では考えられない世の中になりましたね。
70年代の録音で、カラヤンに勢いがあり脂が乗っている頃の名盤です。
ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan/1908年4月5日-1989年7月16日)
オーストリアの指揮者
1955年から1989年までベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の終身指揮者・芸術監督を務める。
ウィーン国立歌劇場の総監督やザルツブルク音楽祭の芸術監督も務めるなど、歴史上最も偉大な指揮者の一人である。
日本には11度も来日しており、日本人には小澤征爾が師事したことでも知られている。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)
世界を代表するオーケストラの一つで、日本において絶大な人気を誇る。
重厚なドイツ的サウンドを奏でながらも、バラエティに富んだプログラムを演奏し常に世界の最先端をリードしている。
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