項目データ
初演1915年11月17日 ヨハン・シュトラウス劇場(ウィーン)
台本レオ・シュタイン、ベーラ・イェンバッハ
演奏時間2時間

『チャールダーシュの女王(Die Csárdásfürstin)』は、エメリッヒ・カールマン(Emmerich Kálmán/1882年-1953年)によって作曲されたオペレッタです。
※「Fürstin」は「侯爵夫人」という意味で、『チャルダッシュ侯爵夫人』と訳されることもあります。

カールマンはハンガリー生まれの作曲家で、ウィーンで活躍しました。
彼はレハールと同じ「白銀時代」の作曲家で、ウィンナ・ワルツとハンガリーのチャールダーシュを組み合わせた音楽で評価を得ました。
『チャールダーシュの女王』は、その「白銀時代」を代表するオペレッタの一つです。

ここではカールマンのオペレッタ『チャールダーシュの女王(Die Csárdásfürstin)』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

シルヴァ(ソプラノ):人気歌手、エドウィンの恋人。「チャールダーシュの女王」のこと。
エドウィン(テノール):オーストリアの貴族

ボニ(テノール):ハンガリーの貴族、シルヴァのファン
フェリ(バリトン):ハンガリーの貴族、シルヴァのファン

マリア伯爵(バリトン):エドウィンの父
マリア伯爵夫人(メゾソプラノ):かつて人気歌手だったが、夫はその事実を知らない。

シュタージ(ソプラノ):ウィーンの伯爵令嬢、マリア伯爵の姪
ローンスドルフ男爵(バリトン):エドウィンのいとこ

『チャールダーシュの女王』の簡単なあらすじ

エドウィン(オーストリアの貴族)とシルヴァ(歌手)の結婚までのストーリー。

エドウィンの父は、身分の違いから結婚を反対する。
しかし、「エドウィンの母もかつて歌手だった」ことが最後に判明する。
※父もその事実を知らなかった。

父もようやく結婚を認め、ハッピーエンドでオペレッタは終わる。

第1幕:『チャールダーシュの女王』のあらすじ

1914年6月、第1次世界大戦前夜
ハンガリー、ブタペストの劇場「オルフェウム」

歌姫シルヴァのお別れ公演

劇場の人気歌手シルヴァは、明日アメリカに発つことになっている。
そして、その「お別れ公演」が行われている。

シルヴァがチャールダーシュのリズムに乗って歌い(Heia in den Bergen)、それに合わせて皆も歌い踊る。

「Heia in den Bergen」

 チャールダーシュはハンガリー生まれの音楽で、19世紀にウィーンで大流行した。
ハンガリー語では「酒場」という意味である。

シルヴァが「2か月後にまたこの劇場でお会いしましょう!」と挨拶すると、彼女のファンであるボニフェリが彼女を称え、皆でもうひと騒ぎする。

シルヴァの恋人エドウィンの登場

公演が終わるとシルヴァの恋人エドウィンが現れる。
そして、「劇場のシルヴァの看板」に向かって、情熱的にシルヴァへの愛を歌いあげる。(Heut' Nacht hab' ich geträumt von dir)

「Heut' Nacht hab' ich geträumt von dir」

続いてエドウィンはシルヴァの楽屋を訪れ、二人は愛の二重唱を歌う。
そこにボニとフェリも加わり、皆で「友情と恋」を高らかに歌う。

エドウィンの父は、息子たちの結婚を反対している

シルヴァが着替えに行くと、入れ替わりでローンスドルフ男爵が来る。

 ローンスドルフ男爵・・・エドウィンのいとこ。
エドウィンの父親の依頼で、エドウィンをウィーンに連れ戻しに来た。

ローンスドルフはエドウィンに
「明日ウィーンに帰りなさい。」
「シルヴァのことは忘れるんだ。」
「お前にはシュタージという婚約者がいる。」
「お父様が、それをお望みだ。」
と告げる。

エドウィンがシルヴァとの結婚を発表

シルヴァのお別れパーティが開かれている。

納得のいかないエドウィンは、その場で
「シルヴァはアメリカに行かない。」
「シルヴァは僕と結婚する!」
と強引に発表する。
そして公証人をたてて「婚約証明書」を作る。

シルヴァは裏切られたと勘違いし、アメリカに発つ

そこにローンスドルフが登場し、エドウィンは無理やりウィーンに連れ戻される。

シルヴァはエドウィンが戻るまでここに残ることを誓う。
しかし、ボニが「ローンスドルフから受け取った結婚契約書」を見せると状況が一変する。
契約書には「エドウィンと別の女性(シュタージ)」の名が書かれていた。

シルヴァはエドウィンに裏切られたと勘違いする。
そして「恋に乾杯!」と歌いあげ、ボニを連れて当初のスケジュール通りアメリカに旅たっていく。

第2幕:『チャールダーシュの女王』のあらすじ

1幕から8週間後、ウィーン

エドウィンとシルヴァの再会

「エドウィンとシュタージの婚約パーティ」が開かれているが、エドウィンはシルヴァを忘れられずにいる。

そこにボニが夫人を連れて登場する。
夫人の正体は「アメリカから帰ってきたシルヴァ」だった。
エドウィンは、すぐにその女性がシルヴァだと気づく。

シルヴァはエドウィンに
「ボニに結婚を申し込まれたの。」
「伯爵(エドウィン)夫人になれなかったから、公爵(ボニ)夫人になったわ。」
と語る。

ギクシャクする二人だが、次第に打ち解け合い、再会を懐かしむ。
そしてお互いがまだ愛し合っていることに気付く。

エドウィンとシルヴァが愛を再び確認する

「二人がまだ愛し合っている」ことを確認したボニは、シュタージに想いを寄せ始める。

そしてボニが
「僕たちの結婚はお終い。」
「エドウィン、シルヴァを頼むぞ」
と言うと、エドウィンとシルヴァは抱き合い歌い出す。(Tanzen möcht ich)

「Tanzen möcht ich(踊りたい)」

そしてエドウィンは
「パパが君との結婚を認めてくれるよう、パパを説得するよ!」
とシルヴァに語る。

シルヴァが婚約証明書を破り捨てる

パーティでは「エドウィンとシュタージの婚約」が発表されようとしている。
それをシュタージが遮り、エドウィンがシルヴァとの結婚を宣言する。

しかしマリア侯爵(エドウィンの父)は、身分の違いから結婚を許そうとしない。
そしてエドウィンも少なからず身分を気にしている。

シルヴァは婚約証明書を破り捨て、
「もうあなた(エドウィン)を縛りはしないわ。」
「私は歌姫よ!」
と誇らしげに叫び、去っていく。

第3幕:『チャールダーシュの女王』のあらすじ

ウィーンのホテル

ボニとシュタージの婚約

シルヴァは「愛するエドウィン」を捨ててきたことに落ち込み、それをボニとフェリが慰めている。
そこにエドウィンが現れるので、フェリはシルヴァを別室に移す。

エドウィンに続いて侯爵(エドウィンの父)も現れる。
ボニは侯爵に「シュタージと婚約したい」と頼み、それを認めてもらい歓喜する。

侯爵の妻も昔歌手だった

ボニと入れ替わりで、フェリが現れる。
フェリの発言により、「侯爵の妻も昔歌手だった。」ことが明らかになる。

侯爵は「妻が歌手だった」ことを初めて知り驚く。
そして、
「エドウィンは私の血をひいているんだ。」
「この家には二人の歌姫がいるのか。」
と語り、エドウィンとシルヴァの結婚を認める。

二組のカップルが誕生

「エドウィンとシルヴァ」「ボニとシュタージ」という、2組のカップルがめでたく誕生する。

皆が「人生は一度だけ」と高らかに歌い、ハッピーエンドで幕は下りる。

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