目次
項目 | データ |
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初演 | 1884年1月19日 パリ・オペラ・コミック座 |
原作 | アベ・プレヴォー『騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語』 |
台本 | アンリ・メイヤック、フィリップ・ジル |
演奏時間 | 2時間30分 |
『マノン(Manon)』は、ジュール・マスネ(Jules Massenet/1842年5月12日-1912年8月13日)によって作曲されたオペラです。
このオペラは『ウェルテル』と共に、彼のオペラの代表作となっています。
初演から成功をおさめ、作曲者が生前の間に数多く上演されました。
同じ原作で作られたオペラには、マスネの作品の10年ほど後に作られたプッチーニの『マノン・レスコー』(1893)が挙げられます。
ここではマスネのオペラ『マノン』のあらすじを紹介したいと思います。
主な登場人物
マノン(ソプラノ)
騎士デ・グリュー(テノール)
伯爵デ・グリュー(バス):騎士デ・グリューの父親
レスコー(バリトン):マノンの従兄
ギヨー、ブレティニ
マスネ『マノン』の簡単なあらすじ
時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
修道院に入る予定だったマノンは、街でデ・グリューと出会い、互いに惹かれ合います。
そして二人は駆け落ちをします。
親の反対により、一度は引き離されますが、再び駆け落ちをします。
しかし、賭博の最中に二人は逮捕されてしまいます。
デ・グリューは釈放されますが、マノンは流刑となってしまいます。
牢獄で弱り果てたマノンのもとをデ・グリューが訪れ、彼女が死を迎えたところでオペラは終わります。
第1幕:『マノン』のあらすじ
18世紀、フランス北部の街アミアン
マノンを乗せた馬車が街に到着する
金持ちの貴族ギヨーが、女優たちと遊び、友人ブレティニと宿で食事をとっています。
そこにマノンを乗せた馬車が到着し、従兄のレスコーがそれを迎えます。
レスコーや皆は、彼女の美しさにうっとりとします。
マノンは初めての長旅を体験し、その気持ちの高鳴りを歌いあげます。(Je suis encor toute étourdie)
「Je suis encor toute étourdie」
ギヨーはマノンを一目見て気にいり、レスコーが荷物を取りにいく隙に彼女を口説きだします。
レスコーはマノンを注意しますが、一人で賭博場へと向かい賭けに熱中します。
マノンと騎士デ・グリューが出会い、惹かれ合い、駆け落ちをする
一人になったマノンが、騎士デ・グリューと出会います。
二人はたちまち恋に落ちます。
デ・グリューはマノンから「修道院に入らなければいけない」という話を聞き、「一緒にパリに逃げて暮らそう」と説得します。
初めは戸惑いを見せるマノンでしたが、デ・グリューの熱意に負けて駆け落ちを決意します。
そして二人は「ギヨーがマノンを口説くために用意した馬車」に乗り、パリへと出発します。
第2幕:『マノン』のあらすじ
マノンと騎士デ・グリューがパリで暮らしている
パリ
デ・グリューとマノンはパリで暮らしています。
デ・グリューは、父の伯爵に「結婚の承諾」を貰うために手紙を書いています。
そこにレスコーがブレティニと現れ、駆け落ちしたデ・グリューを非難します。
デ・グリューは「マノンと結婚するつもりだ。」と決意を伝えます。
一方、ブレティニはマノンに
「今夜、デ・グリューは父親の命令で連れ戻される。」と語り、
「私のところに来れば、もっと贅沢な暮らしができる。」と誘惑します。
マノンの心は贅沢な暮らしに揺れ動きます。
マノンと騎士デ・グリューが引き離される
デ・グリューが手紙を出しに退場し、
マノンは彼のために別れると自分に言い聞かせ、「さようなら、私たちの小さなテーブル」と歌います。(Adieu, notre petite table)
「Adieu, notre petite table」
デ・グリューが戻ってきます。
何も知らない彼は、マノンへの愛を歌いあげます。(En fermant les yeux)
「En fermant les yeux」
しかしドアを叩く音が聴こえると、デ・グリューはそのまま連れ去られてしまいます。
第3幕:『マノン』のあらすじ
マノンはデ・グリューと別れ、ブレティニのもとで贅沢に暮らしている
マノンはブレティニのもとで贅沢な暮らしを送っています。
ギヨーとブレティニがマノンについて話している中で、マノンが華やかな姿で登場し「私が女王様のように歩くと」と自身の美しさを歌いあげます。(Je marche sur tous les chemins)
皆はマノンに賛辞を送ります。
そして続けて「従いましょう、優しい愛に(ガヴォット)」を歌います。(Obéissons quand leur voix appelle)
「Je marche sur tous les chemins / Obéissons quand leur voix appelle」
デ・グリューへの愛が再び燃え上がったマノンは、彼のもとへ向かう
そこにデ・グリューの父親がたまたま通りかかり、ブレティニが父親を呼び止めます。
そこでマノンは「デ・グリューは失恋から立ち直り、サン・シュルピスの神学校に入った」ことを知ります。
デ・グリューを思い出したマノンの心に、再び愛の炎が燃え始めます。
マノンはデ・グリューのもとへ向かいます。
マノンとデ・グリューは再び駆け落ちをする
サン・シュルピスの神学校
父がデ・グリューに「聖職にはつかなくていいから、真面目な女性と結婚しなさい。」と結婚を勧めています。
しかしデ・グリューはマノンとの恋を忘れ去るために、神に仕えようとしています。
そして、「消え去れ、優しい面影よ」と傷の癒えぬ恋心を歌い上げます。(Ah!Fuyez, douce image)
「Ah!Fuyez, douce image」
そこにマノンが登場します。
初めはマノンを拒んでいたデ・グリューでしたが、彼女の熱い思いに負けます。
そして二人は再び駆け落ちをします。
第4幕:『マノン』のあらすじ
デ・グリューとマノンが警察に捕まる
賭博がおこなわれています。
贅沢な暮らしに慣れてしまったマノンは、デ・グリューに賭博でお金を稼ぐことを勧めます。
ギヨーがデ・グリューに勝負を挑みます。
デ・グリューは勝ち続けますが、ギヨーが「いかさまをしている」と疑い出します。
ギヨーは警察を呼んで戻ってきます。
怒ったデ・グリューがギヨーに剣を向けようとしたところに、デ・グリューの父が現れ、それを制します。
デ・グリューとマノンは警察に捕えられ、連行されていきます。
第5幕:『マノン』のあらすじ
デ・グリューが見守る中で、マノンが息絶える
デ・グリューは父の取り計らいで釈放されましたが、マノンには流刑が言い渡されてしまいます。
マノンを助けるために、デ・グリューとレスコーは港に向かいます。
しかし計画は失敗してしまい、マノンを取り戻すことはできませんでした。
レスコーが護衛兵に賄賂を渡し、マノンとデ・グリューは最後の再会を果たします。
牢獄の生活でマノンはすっかり弱り果てています。
マノンはデ・グリューに許しを請い、二人は最後の二重唱を歌いあげます。
マノンがデ・グリューの腕の中で息絶え、デ・グリュー泣き崩れる中でオペラが終わります。
マスネ『マノン』の映像
ネトレプコ、ヴィラゾン(バレンボイム/ベルリン国立歌劇場)
2007年5月ベルリン国立歌劇場でのライブ映像です。
ブロードウェイミュージカルやポール・マッカートニーのPV等で知られているヴィンセント・パターソンは、これが初めてのオペラ演出です。
2005年ザルツブルク音楽祭『椿姫』で喝さいを浴びたネトレプコ&ヴィラゾンのコンビがバレンボイム指揮の音楽で、熱演しています。
【キャスト等】
マノン:アンナ・ネトレプコ
騎士デ・グリュー:ローランド・ヴィラゾン
伯爵デ・グリュー:クリストフ・フィシェッサー
レスコー:アルフレッド・ダザ
ギヨー:レミー・コラッツァ
ベルリン国立歌劇場合唱団/シュターツカペレ・ベルリン
指揮:ダニエル・バレンボイム
演出:ヴィンセント・パターソン
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