目次
項目 | データ |
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初演 | 1879年3月29日 マールイ劇場(モスクワ) |
※ | 初演はモスクワ音楽院の学生たち |
原作 | アレクサンドル・プーシキンの同名の韻文小説 |
台本 | チャイコフスキー(作曲者)とシロフスキー |
演奏時間 | 2時間30分 |
『エフゲニー・オネーギン(Eugene Onegin)』は、ピョートル・チャイコフスキー(Pyotr Tchaikovsky/1840年-1893年)によって作曲された彼の代表的なオペラです。
ロシアの作曲家チャイコフスキーは、「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」などのバレエ音楽で特に有名です。
しかし彼はオペラも多く作曲しており、「エフゲニー・オネーギン」の他にも「オルレアンの少女」「スペードの女王」などのオペラも遺しています。
登場人物
タチアーナ(ソプラノ) | ラーリナの娘 |
エフゲニー・オネーギン(バリトン) | レンスキーの友人 |
レンスキー(テノール) | オネーギンの友人、オルガの婚約者 |
オルガ(アルト) | タチアーナの妹 |
ラーリナ(メゾソプラノ) | 地主 |
フィリピエヴナ(メゾソプラノ) | 乳母 |
『オネーギン』の簡単なあらすじ
時間のない方のための簡単なあらすじ
オネーギンの若気の至りが招いた悲劇が描かれています。
出来事①
オネーギンは、純粋なタチアーナから愛を告白されますが、それを断ります。
出来事②
パーティー中に皆に「あいつは不作法で危険だ」と陰口を叩かれたオネーギンは、機嫌を損ねます。
腹いせにオネーギンは、親友レンスキーの恋人オルガとダンスをします。
そのことで二人は決闘となり、オネーギンは親友を銃殺してしまいます。
数年後
オネーギンが失意の中で放浪の旅に出かけています。
その間に、タチアーナは結婚し公爵夫人となっています。
二人は再会し、オネーギンはタチアーナへ愛を語ります。
しかし、今度は逆にタチアーナがオネーギンを振り、「永遠の別れ」を告げます。
そして、オネーギンの絶望の叫びの中でオペラが終わります。
第1幕:『オネーギン』のあらすじ
第1幕:第1場
田舎のラーリナ家の屋敷
ラーリナの娘のタチアーナ(姉)とオルガ(妹)がロマンスを歌っています。
ラーリナ(地主で未亡人)とフィリピエヴナ(乳母)が加わり、自分たちの若かりし頃を思い出しています。
そこに人々が収穫が終わったことを知らせに来て、陽気に歌い踊ります。
その様子をタチアーナとオルガは見ています。
感傷的なタチアーナに対し、陽気なオルガは「歌を聞いたら楽しくなる」と歌います。(Ah, Tanya, Tanya)
「Ah, Tanya, Tanya」(Olga)
収穫を終えた人々はワインをごちそうになるために食堂に移ります。
オネーギンとタチアーナがお互いに惹かれ合う
そこにレンスキー(オルガの婚約者)が友人、オネーギンと共に登場します。
オネーギンとタチアーナはお互いに惹かれ合います。
レンスキーは婚約者オルガに愛を語ります。(Kak schastliv, kak schastliv ja! )
「Kak schastliv, kak schastliv ja! 」
夕飯の支度が出来たので、皆は中に入っていきます。
第1幕:第2場
タチアーナが"オネーギンへの愛の手紙"を書く
タチアーナの部屋
恋をして眠れないタチアーナは、フィリピエヴナの昔の恋話を聞いています。
やがて一人になると、オネーギンへ愛を綴った手紙を書き始めます。
「Letter Aria」(Tatyana)
夢中で手紙を書いていると、やがて朝日が昇ってきます。
タチアーナはフィリピエヴナに「オネーギンに手紙を渡すよう」託します。
第1幕:第3場
オネーギンが"タチアーナの想い"を断る
オネーギンが来ることを知ったタチアーナは、手紙を書いたことを後悔しています。
そこにオネーギンが登場します。
オネーギンは、「結婚は苦痛なもので、恋は慣れると冷めてしまう。あなたを兄として愛そう。」と答えます。
それに対しタチアーナはショックを受けます。
オネーギンはタチアーナに手を差し出し、二人は家へ向かって行きます。
第2幕:『オネーギン』のあらすじ
第2幕:第1場
レンスキーがオネーギンに怒り、決闘を申し込む
タチアーナの命名の祝いに人々が集まり、踊っています。
オネーギンとタチアーナが踊っているのを見ている女性たちは、「オネーギンは不作法で危険な人だ。」と陰口を叩いています。
オネーギンはそれに対し不機嫌になります。
オネーギンは自分を誘ったレンスキーに仕返しするために、オルガとダンスを踊ります。
レンスキーは嫉妬します。
合間にフランス人歌手トリケの歌の余興が入ります。
歌が終わっても"再びオルガと踊る"オネーギンを見て、レンスキーの怒りは頂点に達します。
ついにレンスキーはオネーギンに決闘を申し込みます。
第2幕:第2場
オネーギンがレンスキーを銃で撃ち殺す
レンスキーは決闘の場でオネーギンを待っています。
そこでオルガへの愛を歌います。(Kuda, kuda, kuda vy udalilis')
「Kuda, kuda, kuda vy udalilis'」
やがてオネーギンが現れます。
"親友が敵になってしまった"残酷な運命を二人は歌います。
二人はピストルを持ち、オネーギンの銃弾がレンスキーに命中します。
レンスキーは命を落とし、オネーギンは恐怖のあまり頭を抱え込みます。
第3幕:『オネーギン』のあらすじ
第3幕:第1場
数年後、タチアーナは結婚し、公爵夫人となっている
2幕から数年後
グレーミン公爵の館で舞踏会が開かれています。
そこに"親友を殺して放浪の旅に出ていた"オネーギンが戻ってきます。
オネーギンは踊る気になれません。
そこに美しい女性が登場します。
オネーギンはそれがタチアーナであることに気付きます。
オネーギンはグレーミン公爵にタチアーナのことを尋ねます。
公爵は自分の妻だと答え、タチアーナへの愛を歌います。(Ljubvi vse vozrasty pokorny)
「Ljubvi vse vozrasty pokorny」
そこでオネーギンは"タチアーナを愛していた"ことを悟ります。
第3幕:第2場
タチアーナは"永遠の別れ"をオネーギンに告げる
グレーミン公爵の家の部屋
タチアーナはオネーギンの手紙を読んで、涙を流しています。
彼女の心は揺れ動いています。
そこにオネーギンが現れ、彼女への愛を打ち明けます。
タチアーナは昔には戻れないと諭します。
それでもオネーギンは情熱的に愛を歌いあげます。
しかしタチアーナは永遠の別れを告げ去っていき、オペラは終わります。
チャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』の映像
2007年、メトロポリタン歌劇場でのライブ映像です。
高音質・高画質で『エフゲニー・オネーギン』が堪能できます。
ロバート・カーセン演出による演出も評判が良く、シンプルにオペラの世界に入り込めます。
2017年に55歳の若さで亡くなったホロストフスキーは、このオネーギン役で絶大な評価を得ていました。
もちろんタチアーナ役のフレミング、レンスキー役のヴァルガスも見逃せません。
【キャスト等】
オネーギン:ドミトリ・ホロストフスキー
タチアーナ:ルネ・フレミング
オルガ:エレナ・ザレンバ
レンスキー:ラモン・ヴァルガス
グレーミン侯爵:セルゲイ・アレクサーシキン
メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
演出:ロバート・カーセン
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