4-8.バロック時代の楽器と器楽

楽器の発達したバロック時代

バロック時代の音楽の隆盛は、楽器の性能が向上したことが大きく関係しています。

初期バロック時代は、声楽分野のオペラやオラトリオにおいてはモノディーが発達しました。
しかし器楽の分野においては、ルネサンス音楽の単純なものからすぐに複雑なものへと向かいました。
対位法が盛んになり後期バロックには精巧なものとなりました。
この傾向は次第に声楽の分野でもあらわれてきます。

そして楽器の発達の中で様々な音楽が作られました。

鍵盤楽器

baroque-organ

organ

鍵盤楽器においては、オルガンとその他のものとが区別されるようになりました。

オルガンでは、フーガを初めとして、ファンタジー、トッカータ、プレリュード、パッサカリア、シャコンヌなどの形式が確立しました。
また名人芸を披露するヴィルトゥオーゾ的な要素が強くなりました。

チェンバロやクラビコードでは、組曲が中心に作られるようになり、楽器の特徴が活かされるようになりました。

またバロック時代にはチェンバロは管弦楽の中での中心的役割をにない、和声の重要な部分である通奏低音を演奏しました。
そのチェンバロの演奏者は、管弦楽の指導者でもあり事実上の指揮者でもありました。

後期バロック時代になるとオルガンやチェンバロは2段になっているものが多く用いられるようになります。
これがフーガを複雑にし発達させることに繋がりました。

弦楽器

Antonio Stradivari

Antonio Stradivari

弦楽器ではビオール族にヴァイオリンが加わりました。

ヴァイオリンは16世紀には作られていましたが、16世紀後半から18世紀にかけて積極的に作られるようになりました。
特にイタリアでは、ガスパロ・ダ・サロ、マジーニ、アマーティ、ストラデヴァリなどの有名なヴァイオリン製作者が生まれました。
これらの楽器は、今でも真似できない最高の名器として現代でも評価されています。
ヴァイオリンに限らず、この時代にはヴィオラやチェロなども名器が生まれました。

このヴァイオリンなどの質の向上によって、演奏法も次第に確立されるようになりました。
この分野でもヴィルトゥオーゾが生まれ、特にイタリアで盛んでした。

バロック時代の管弦楽は、クラシック時代のように整理はされていませんでした。
作曲家によって弦の編成は異なり、楽器の区別も曖昧なものでした。

またこれらの弦楽器の発達により、リュートやギターのようなものは次第に使われなくなっていきました。

管楽器

管楽器においては合奏協奏曲のようなポリフォニックな合奏音楽が中心となりました。
楽器としては、オーボエやファゴットがよく用いられるようになります。

また、これまで使われていたリコーダーは使われなくなり、代わりにフルートが使われるようになりました。
金管楽器は、この時代にはまだ機能性は確立されていません。