2-2.ポリフォニーの誕生→世俗音楽の隆盛

ポリフォニーの誕生

10世紀頃から、ヨーロッパの音楽は新しいステージへと進みます。
ポリフォニーの誕生です。
ポリフォニーとは対位法的な音楽で複数の声部を持つ音楽です。

現在の音楽は、コード(和音)にメロディーが乗っかる演奏が主流です。
しかし、ポリフォニーはいくつかの独立した旋律が調和を保ちながら重なって演奏されます。
現代の私たちには馴染みの薄い音楽ですね。

ポリフォニーがいつ、どこで、どのように発生したかは定かではありません。
ただ南部ヨーロッパよりも北の民族にこの手法は使われていました。
9世紀には2声部の歌が北ヨーロッパで演奏されるようになりました。

そして9世紀頃から、主に教会音楽で多声的な歌唱が用いられました。
その最初のものは、オルガヌムと呼ばれています。

オルガヌムはグレゴリオ聖歌を定旋律として、それに新しい旋律を加える形ではじまりました。

ノートルダム楽派

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ノートルダム大聖堂

初期ポリフォニーは、パリのノートルダム大聖堂で積極的に推し進められました。
12世紀後半から13世紀前半にかけてのここの作曲家たちをノートルダム楽派と呼びます。

ノートルダム楽派の代表としては、レオニヌスとペロティヌスが挙げられます。

レオニヌスは1150年頃に活躍し、「マグヌス リーベル」を作曲・編曲したとこで知られています。
これは教会暦の1年間の典礼用の作品を書いてまとめたもので、メリスマ的な付加声部も見られます。

レオニヌスの音楽をさらに発展させたのがペロティヌスです。
ペロティヌスは12世紀末から13世紀にかけて活躍しましたが、3声や4声の音楽も書いています。

また、ノートルダム楽派からは、枝分かれして様々な音楽が現れました。

トルバドゥールとトルベール

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トルバドゥール

ヨーロッパでは11世紀頃からポリフォニーが盛んになりましたが、同時に単旋律の音楽も世俗的な音楽の中で発展しました。

その中でもトルバドゥールが最も早く現れました。
トルバドゥールはプロヴァンスなどの南フランスの騎士階級や貴族の人たちの音楽家集団を指します。
トルバドゥールは作詞も作曲もしていました。
現代でいうシンガーソングライターですね。

トルバドゥールの全盛期は12世紀後半で、13世紀には衰退していきます。
その後、北フランスにトルベールが現れました。
トルベールもいわゆるシンガーソングライターでした。

トルバドゥールもトルベールも作詞作曲はしましたが歌は歌いませんでした。
歌は彼らに仕えていた人たちが弦楽器を伴奏しながら歌いました。

中世の騎士はキリスト教と深く結びついていたため、トルバドゥールもトルベールも宗教的な歌詞や内容のものが占めていました。
後に、恋や感情などの要素も取り入られてきます。

ミンネゼンガーとマイスタージンガー

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ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

ドイツでは1150年以降にフランスのトルベールが入ってきました。
そして、そこからミンネゼンガーが出てきます。
ミンネゼンガーも騎士音楽家で作詞作曲をしましたが、歌も本人達が歌いました。
ミンネゼンガーが13世紀に最盛期を迎えます。
そして14世紀には市民階級の手にも移っていきました。

ミンネゼンガーの様子はワーグナーの「タンホイザー」で見ることができます。

このミンネゼンガーから派生したものがマイスタージンガーです。
マイスタージンガーは14世紀末頃に現れ、15世紀末・16世紀に全盛期を迎えます。

マイスタージンガーは市民階級の音楽家で、彼らは一定の職業につきながら音楽家としても活躍しました。
マイスタージンガーとして有名なのは、ハンス・ザックスです。
彼は靴屋として働きながら、多くの歌曲を作りました。

ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の役でハンス・ザックスは登場します。

ここでようやく音楽が貴族階級から市民階級にまで広がってきたのです。
これはとても大きな意味のあるものです。
後に音楽が宗教的なものから世俗的なものへ移り、芸術として発展することを考えると興味深いことですね。