4-1.バロック音楽とは?

バロック音楽

バロック音楽の時代は一般的に1600年から1750年までを指します。
1600年は劇音楽が誕生した年で、1750年はバッハの亡くなった年です。

baroque

バロックという言葉はポルトガル語baroccoで「歪んだ真珠」という意味です。
バロック音楽はルネサンス芸術に比べて歪んでいるという意味で初めは使われていました。
ちなみにこの時代の音楽をバロック音楽と呼ばれだしたのは20世紀以降の話です。

現在ではバロック音楽という言葉は、厳密な音楽を指すだけでなく音楽史における年代を指すものとしても使われています。

かつてはバロック音楽は通奏低音時代の音楽と呼ばれていました。
その名の通り、この時代は通奏低音がとても重要な役割を果たしていました。
バロック音楽は、対位法に縛られることなく和声的な伴奏を持つ単旋律の様式であるモノディーを生み出したのです。

またバロック時代には楽器も整えられ、本格的な楽器も使われるようになりました。

この回ではバロック音楽を初期・中期・後期にわけて、簡単に見て行きます。

初期バロック時代 1580〜1630

Claudio Monteverdi

Claudio Monteverdi

1600年以前のルネサンス音楽では、対位法が隆盛を極めていました。
しかし対位法では、声部の模倣や不協和音が自由に扱えないデメリットがありました。
初期バロック時代では、レチタティーヴォ風な旋律と、それを支えるシンプルな和声的な伴奏によって感情的な表現(モノディー)をこれまでよりおこなうようになりました。
これにより、オペラやオラトリオなどが誕生します。

この初期バロック時代にモノディーが誕生しました。
これは後の音楽の発展に欠かせない革命的な出来事と言えます。

初期バロック時代の有名な作曲家として、クラウディオ・モンテヴェルディ(1567年-1643年)が挙げられます。

中期バロック時代 1630〜1680

Alessandro Scarlatti

Alessandro Scarlatti

モノディーが生まれ新しい音楽が盛んになりましたが、それまでのポリフォニーが無くなったわけではありませんでした。

作曲家たちは自分たちでそれらを選択し消化し、音楽を生み出していきます。

イタリアではモノディーが多く使われ、オペラやソナータなどが作られます。
一方で、ドイツを中心とするヨーロッパ北部では和声的な可能性からポリフォニーが好まれました。

中期バロック時代には、、ヴァイオリン族などの弦楽器やフルート・オーボエなどの管楽器という現代のオーケストラで使われている楽器の元となるものが定着し始めてきました。
また、古典派音楽への入り口もこの頃から見え始めてきます。

中期バロック時代の代表的な作曲家としては、アレッサンドロ・スカルラッティ(1660年-1725年)が挙げられます。

後期バロック時代 1680〜1750

Johann Sebastian Bach

Johann Sebastian Bach

後期バロック時代と言えば、真っ先に挙げられるのがヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685年-1750年)とゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685年-1759年)です。
この2人の音楽家によりバロック音楽は頂点に達します。
イタリアの後期バロック時代をみてみると、アントニオ・ヴィヴァルディ(1678年-1741年)も重要な音楽家として挙げられます。

後期バロック時代には、ポリフォニーとモノディーが溶け合った音楽が完成します。
またこの時代になるとオペラの形態や協奏曲の形式も確立してきます。

またバロック時代の音楽家は、それぞれの国の宮廷・教会など仕えていました。
そのため、その地域独特の音楽が各地で発生しはじめたのも特徴として挙げられます。