項目データ
作曲年1772年以前
演奏時間約25分

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(Franz Joseph Haydn/1732年-1809年)の『交響曲第44番(悲しみ)』は、現在の研究では1771年か1772年に作曲されたと考えられている作品です。

ハイドンの交響曲の中でも、人気の高い作品の一つにあたります。

ここではハイドン『交響曲第44番(悲しみ)』の解説と名盤を紹介したいと思います。

ハイドン『交響曲第44番(悲しみ)』の演奏

第1楽章:Allegro con brio (0:00)
第2楽章:Menuetto: Allegretto (9:19)
第3楽章:Adagio (14:42)
第4楽章:Finale: Presto (22:49)

ハイドンの「疾風怒濤の時代」に作られた作品

ハイドンにおける1766年~1773年頃までの創作期は、「Sturm und Drang(シュトゥルム・ウント・ドラング)の時代」と呼ばれています。

1766年は、ハイドンがエステルハージ家の楽長に就任した年でした。
当時楽長だったヴェルナーの死によって、ハイドンは副楽長から楽長に昇進したのです。

 18世紀後半にドイツで見られた同名の革新的な文学運動とは関係ありません。

日本では「疾風怒濤」と訳されていますが、それぞれのドイツ語の意味は「Sturm=嵐」「und=英語のand」「Drang=衝動」という意味です。
この呼び名からイメージできるように、この時代のハイドンの作品は感情表現が豊かな作品が多く作られています。

この時期に短調が集中している

この時期の特徴として挙げられることは「短調の交響曲が多く作曲されている」ということです。

ハイドンは生涯に107曲の交響曲を書きましたが、そのうち短調の曲は11曲あります。
そして短調の11曲の中の6曲は、この時期に書かれた作品です。

いかにこの時期に短調の作品が集中しているかがわかります。

この時代は長調が一般的だった

ハイドンの交響曲の9割は長調ですが、これはハイドンに限ったことではありませんでした。
この時代の作品は長調が一般的で、短調は特別な劇的な表現の際に使われました。

そういう意味では、この時期のハイドンが「Sturm und Drang(シュトゥルム・ウント・ドラング)の時代」と呼ばれていることは、ぴったりなのかもしれません。

自らの葬儀で演奏された「お気に入りの作品」

交響曲第44番は、私たちにとってだけでなくハイドンにとっても傑作でした。
ハイドンはこの作品を愛し、自らの葬儀にこの曲の緩徐楽章(第3楽章)を演奏してほしいと頼んだそうです。

「悲しみ」のニックネームが付けられた

そして1809年のハイドン追悼の記念行事(ベルリン)で、緩徐楽章が演奏されます。
第44番に「悲しみ」の愛称が付けられたのは、この追悼祭で演奏されたことが少なからず関係しているのかもしれません。

ハイドン『交響曲第44番(悲しみ)』の名盤

【収録曲】
ハイドン:交響曲第44番ホ短調 Hob.I:44『悲しみ』
ハイドン:交響曲第49番ヘ短調 Hob.I:49『受難(ラ・パッシオーネ)』
【演奏】
管弦楽:イギリス室内管弦楽団
指揮:ダニエル・バレンボイム

ピアニストとしても有名なバレンボイムですが、彼が指揮者としてデビューしたのはイギリス室内管弦楽団とのモーツァルトの交響曲録音(1966年~)でした。
バレンボイムにとってイギリス室内管弦楽団はとても関係の深いオーケストラなのです。

このCDは、そんな彼らがタッグを組んで70年代に録音したハイドンの交響曲集の一部です。
繊細で軽快なハイドンの音楽が印象的です。

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