項目データ
作品名レ・ミゼラブル
作曲クロード=ミシェル・シェーンベルク
作詞アラン・ブーブリル(仏語)ハーバート・クレッツマー(英語)
原作ヴィクトル・ユゴー『レ・ミゼラブル』
初演1985年ロンドン
1987年ブロードウェイ
1987年東京(東宝)

レ・ミゼラブル(Les Misérables)』は、ロンドンで1985年に初演されたミュージカル史を代表する傑作です。(1980年の前身の作品が改訂されたもの)
初演後瞬く間に大ヒットを飛ばし、1987年にはブロードウェイで公演されます。
そしてトニー賞8部門を受賞する快挙を成し遂げました。

日本では東宝によって公演されており、日本のミュージカルシーンにも欠かせない作品です。

ここでは『レ・ミゼラブル』のあらすじを、曲と対応して解説していきます。

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『レ・ミゼラブル』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単なあらすじ

 フランス革命後、まだ不安定な情勢が続くフランス(パリ)が舞台です。
パンを盗んだ罪で19年間もの監獄生活を送ることになったジャン・バルジャンの生涯が描かれています。

【第1幕】
パンを盗んだ罪で収監されたジャン・バルジャンは、仮釈放されます。
彼は悔い改め新しい人生を送り、人望を買われ市長になります。

そこにジャベール警部が「ジャン・バルジャンを捕まえる」ために追ってきます。

 ジャン・バルジャンは仮釈放なので無罪放免ではない。
偽名を使って市長になっていた。

ジャン・バルジャンは、その地を離れ、コゼットを養子として引き取ってパリへ向かいます。

 コゼット・・ファンティーヌの娘。ファンティーヌが亡くなった後、彼は親代わりとなります。

【第2幕】
パリでは革命の気運が高まっています。
コゼットは学生革命家マリウスと恋に落ちます。

 学生たちは暴動を起こしますが、革命は失敗に終わります。
 ジャベール警部は自分の信念が神聖でないことを悟り、自ら命を絶ちます。

暴動後、コゼットとマリウスは結婚します。
ジャン・バルジャンはコゼットの元を去りますが、最後は彼女が見守る中で息を引き取ります。

第1幕:『レ・ミゼラブル』の詳しいあらすじ

ジャン・バルジャンが仮釈放される

1815年 フランス
囚人たちが激しい労働を課せられています。(Work Song)

19年後、ジャン・バルジャン(囚人番号24601)はジャベール警部によって仮釈放されます。

 ジャン・バルジャンは、飢えた家族を助けるためにパンを盗み5年間の懲役刑を受けます。
その後脱走を試み刑が追加され、19年監獄にいました。
 ジャベール警部・・生真面目で厳格な性格。何よりも社会秩序を守ることを優先する。自分の使命のようにジャン・バルジャンを物語の最後まで追い続ける。

元囚人のジャン・バルジャンは出所後もまともな仕事にありつけません。

司教との出会いで、ジャン・バルジャンが心を入れ替える

そんな中、ジャン・バルジャンは、またしても罪を犯します。
暖かく家へ迎えてくれた司教の銀の食器を盗んでしまうのです
しかし、司教は「銀の食器は彼にあげた」と警察に語り、ジャン・バルジャンは事なきを得ます。(Valjean Arrested, Valjean Forgiven)

ジャン・バルジャンは罪を悔い、心を入れ替え、新しい人生を歩み始めます。(What Have I Done?)

工場を経営し、市長となったジャン・バルジャン

8年後(1823年)
ジャン・バルジャンは工場を経営しています。
さらにその人間性で人望も厚く、市長にもなっています。

 元囚人のジャン・バルジャンは、『マドレーヌ』という偽名を使って生活しています。

工場で労働者たちが働いています。(At the End of the Day)
その工場ではファンテーヌも働いています。

 ファンテーヌ・・シングルマザー。娘コゼットをテナルディエ家に預け、養育費を送っている。のちに工場をクビになり、生活苦のため娼婦になる。

ジャン・バルジャンがファンティーヌを助ける

ファンティーヌは"隠し子がいる"事が発覚し、工場をクビになってしまいます。
彼女は「叶わない夢もある」と、夫を待ち続けるはかない人生を歌います。(I Dreamed a Dream)

ファンティーヌは金のために髪を売り、さらに売春婦となってしまいます。(Lovely Ladies)
そこで彼女は客とトラブルを起こします。

そこにジャン・バルジャンが通りかかります。
ジャン・バルジャンは彼女を解放してあげ、病院に連れていきます。

ジャン・バルジャンが良心に従い、裁判所へ名乗り出る

その直ぐ後、ジャン・バルジャンは車の下敷きになっている男性を救出します。
それを見たジャベール警部は、「マドレーヌ(偽名)はジャン・バルジャンだ。」だと感づきます。

 ジャベール警部は、逃亡したジャン・バルジャンを長年探し続けています。

しかし一方で、「ジャン・バルジャンが逮捕された」ニュースが入ってきます。

 別の人物がジャン・バルジャンとして誤認逮捕されている。

ジャン・バルジャンは、見ず知らずの人に罪をかぶせれば、ジャベール警部の追跡から逃れることができます。
しかしジャン・バルジャンは良心に従って裁判所に出向き、「自分が本物のジャン・バルジャンである」ことを告白します。(Who Am I?)

ジャン・バルジャンは「コゼット(ファンティーヌの娘)を守るため」に逃走する

一方、病院では死期の迫ったファンティーヌが娘コゼットの夢を見ています。
ジャン・バルジャンは「コゼットを見つけ、彼女を守る」ことを約束します。
ファンティーヌは安らかに息を引き取ります。(Come to Me(Fantine's Death))

ジャベール警部がジャン・バルジャンを捕えにきます。
ジャン・バルジャンが「コゼットを見つける時間が欲しい」と頼みますが、ジャベール警部は「犯罪者は犯罪者のままだ!」とそれを拒否します。
ジャン・バルジャンは、コゼットを探すためにそこから逃走します。(Confrontation)

ジャン・バルジャンがコゼットを養子として迎え、一緒にパリに行く

モンフェルメイユ テナルディエ夫妻の営む宿屋

テナルディエ夫妻コゼットを奴隷のように扱っています。

 夫妻はファンティーヌに「コゼットが病気だから金が必要だ」と嘘をつき、金を騙し取っていました。
 コゼット・・ファンティーヌの娘。この物語のヒロインで学生革命家マリウスと恋に落ちる

そんな中、コゼットは母と暮らす日を夢見ています。(Castle on a Cloud)
テナルディエ夫妻は「低品質で高価格」な宿商売をしています。(Master of the House)

そこにジャン・バルジャンが現れます。

ジャン・バルジャンは夫妻にコゼットを養子にする金を渡します。
ジャン・バルジャンはコゼットを引き取り、二人でパリへ向かいます。(The Waltz of Treachery)

パリは混沌としており、革命の気運が高まっている

9年後(1832年) パリ
パリでは貧困層が苦しみ、街は混乱状態にあります。
その中に学生革命家のマリウスアンジョルラスの姿もあります。

テナルディエ夫妻は宿を失い、ギャングを取りまとめています。
夫妻の娘エポニーヌは、マリウスに恋しています。
夫妻に捨てられ路上で生活するガヴローシュは、陽気な性格でスラムで起こったことは何でも知っています。(Look Down)

マリウスとコゼットが一目で恋に落ちる

夫妻はジャン・バルジャンとコゼットを彼らだと気づかずに狙います。
ギャングがジャン・バルジャンを狙っている間に、コゼットとマリウスは出会います。
二人は一瞬で恋に落ちます。

ジャベール警部はパリにまでジャン・バルジャンを追ってきている

夫妻が「相手がジャン・バルジャンだ」と気づいたときに、ジャベール警部が駆けつけます。
ジャン・バルジャンとコゼットは急いで逃げます。

その後ジャベール警部が「先ほどの人間はジャン・バルジャンでは?」と疑います。
警部は自分の信念のもと「ジャン・バルジャンを逮捕する」と星に誓います。(Stars)

一方マリウスは、エポニーヌに「一目惚れの相手コゼットを探す」ことを手伝ってもらいます。

 エポニーヌ・・テナルディエ夫妻の娘でコゼットと同じ歳。マリウスの恋する相手がコゼットだとは知らずに手伝っている。

学生たちが革命を起こすことを決意する

とある小さなカフェ

アンジョルラスが学生たちと革命について語っています。(Red And Black)
そこにマリウスが現れ、一目惚れした恋を語ります。

そこに民衆を支持するラマルク将軍の死のニュースが入ります。
皆は「革命のときは来た」と歌い上げます。(Do You Hear the People Sing?)

 ラマルク将軍・・実在した人物。彼の死がきっかけで六月暴動が起こります。

ジャン・バルジャンが亡命を決意する

ジャン・バルジャンの家
コゼットが庭でマリウスと何とか会えないか考えています。
その後、彼女は「ジャン・バルジャンが自分たちの過去について教えてくれないこと」でジャン・バルジャンと口論になります。(In My Life)

エポニーヌが、マリウスをコゼットの家へ連れていきます。
エポニーヌが叶わぬ恋を悲しむ中、彼らは再会し愛を確認し合います。(A Heart Full Of Love)

そこにテナルディエ夫妻とギャングたちが、ジャン・バルジャン家を襲撃に来ます。
エポニーヌが、それを止めます。(The Attack on Rue Plumet)

叫び声を聞いたジャン・バルジャンは「侵入者がジャベール警部」だと勘違いします。
ジャン・バルジャンはコゼットに「フランスから一緒に逃げなければいけない」と告げます。

コゼットはパリを離れ、マリウスは革命の参加を決意する

1832年 六月暴動(パリ蜂起)の前夜
ジャン・バルジャンは亡命の準備を進め、コゼットとマリウスはそれに絶望しています。

アンジョルラスは学生たちに革命の参加を呼びかけています。
「コゼットと革命のどちらを選ぶか」迷いますが、マリウスは友人たちと共に革命に参加することを決意します。(One Day More)

第2幕:『レ・ミゼラブル』の詳しいあらすじ

革命軍が戦いの準備をし、警部はスパイとしてそこに潜入する

学生たちはバリケードを立て戦う準備をしています。
ジャベール警部はスパイとしてそこに潜入しています。

マリウスはエポニーヌを見つけます。
彼女はマリウスに頼まれ「マリウスが書いたコゼットへのお別れの手紙」を届けに行きます。(Upon These Stones(Building the Barricade))
ジャン・バルジャンは届いた手紙をコゼットに渡す前に読み、「二人の関係」を知ります。

エポニーヌは一人でパリを歩き、マリウスと一緒にいることを想像しますが、彼女の愛は報われることはありません。(On My Own)

エポニーヌの死

一方フランス軍がバリケードに到着し、学生に降伏を求めます。(Upon These Stones(At the Barricade))

 ここで「ジャベール警部がスパイ」であることが明らかになり、彼は拘留されます。

そこに、エポニーヌがマリウスに会いに戻ってきます。
そこでエポニーヌは政府軍に撃たれてしまいます

エポニーヌはマリウスに愛を告白し、彼の腕の中で命を落とします。(A Little Fall of Rain)

ジャン・バルジャンがマリウスを守るために、革命軍に加わる

マリウスは絶望し、学生たちは彼女の名のもとに戦うことを決意します。
そこにジャン・バルジャンが現れます。

 ジャン・バルジャンは、コゼットの頼みでマリウスを守りに来ました。

ジャン・バルジャンが警部を逃がす

皆はジャン・バルジャンを疑います。
しかし彼がアンジョルラスが撃たれそうなところを助けると、皆は彼を仲間として受け入れます。

ジャン・バルジャンは味方に入ると、ジャベール警部の監視の役割を希望します。
そして彼は警部に「あなたを恨んではいない」と言い、無条件で警部を逃がします

革命軍が鎮圧され、マリウスは重傷を負う

夜になると、学生たちは過去を振り返りながら、来たる次の闘いに不安を感じています。
アンジョルラスは敵の予期せぬ攻撃に備えて、夜も寝ないよう皆に告げます。
マリウスは、「エポニーヌも亡くし」「コゼットも遠くに行ってしまった」今の状況を嘆きます。(Drink with Me)

マリウスが眠ると、ジャン・バルジャンは「マリウスを守ってくれるよう」に神に祈りを捧げます。(Bring Him Home)

夜明けが近づくと、アンジョルラスは勝ち目がないことをわかっていながらも戦うことを決意します。
必死に戦いますが、革命軍は政府軍により鎮圧されます

ジャン・バルジャンは負傷し意識のないマリウスを連れて、下水道へ逃げます
ジャベール警部は下水道への入り口が開いていることを発見します。

ジャベール警部が自ら命を絶つ

ジャン・バルジャンはマリウスを下水道へ運ぶと、疲れて意識を失います。
そこにテナルディエが現れ、意識のないマリウスから金目のもの(指輪)を物色します。(Dog Eats Dog)
ジャン・バルジャンが意識を回復すると、テナルディエは逃げていきます。

 意識のないマリウスは、誰が自分を助けてくれたのかわかっていません。
この盗まれた指輪がきっかけて、マリウスは「命の恩人がジャン・バルジャンだった」と後に知ります。

ジャン・バルジャンがマリウスを下水道への出口へ運ぶと、そこにジャベール警部が待ち構えています。
ジャン・バルジャンは警部に「マリウスを医者に連れていくので1時間くれ。」と頼むと、警部はそれを了承します。

ジャベール警部はジャン・バルジャンの慈悲深さに動揺します。
そしてもはや自分の信念が神聖なものではないことを悟り、ジャベール警部はセーヌ川に飛び込み自ら命を絶ちます。(Javert's Suicide)

革命は失敗し、悲しみに包まれる

革命は失敗に終わります
女性たちは学生たちの死を嘆きます。(Turning)
生き残ったマリウスは、多くの犠牲に絶望し、友たちの死を悲しみます。(Empty Chairs at Empty Tables)

マリウスは自分がなぜ生き残れたのか不思議に感じる中、コゼットが彼を慰めます。
彼らは再び愛を確認し合います。

ジャン・バルジャンは「コゼットが結婚したら自分はもう必要ない」ことを悟ります。
ジャン・バルジャンはマリウスに「自分は脱獄者で、"コゼットを危険にさらさない"ために離れる必要がある」ことを告白します。
マリウスは「この事実をコゼットに決して言わない」ことを約束します。

マリウスが「命の恩人がジャン・バルジャン」だと知る

数か月後
マリウスとコゼットが結婚します。(Wedding Chorale)
そこにテナルディエが「ジャン・バルジャンは人を殺し死体を運んでいた。この指輪がその証拠だ。」と脅迫に現れます。

そこでマリウスは「自分の命を助けてくれたのがジャン・バルジャン」だと初めて知ります。
マリウスとコゼットは、ジャン・バルジャンを探し回ります。

ジャン・バルジャンの死

修道院
この世には何もすべきことが残っていないジャン・バルジャンは、死を待つのみです。
そこに、マリウスとコゼットはようやく現れます。

ジャン・バルジャンは「再びコゼットに会えたこと」を神に感謝します。
マリウスは命を助けてくれた感謝を告げます。

死ぬ間際にジャン・バルジャンはコゼットに「自分の過去と、コゼットの母について書いた手紙」を渡します。
ジャン・バルジャンが息を引き取ると、ファンテーヌとエポニーヌの霊が彼を天へと導きます。

犠牲となった人々たちも加わり、最後に「Do You Hear The People Sing?」が再び響き渡ります。

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