シューマンの「交響曲第4番」は、1841年に作曲されました。
彼の31歳の頃の作品です。
この作品は妻クララに22歳の誕生日プレゼント(1841年9月13日)として贈られ、その直前の3か月間で作られました。
「第4番」となっていますが、実際にはシューマンにとって2番目の交響曲です。
※出版の関係で「第4番」となっている。
ここではシューマン「交響曲第4番」の解説と名盤を紹介したいと思います。
シューマン「交響曲第4番」の演奏
演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(Wilhelm Furtwängler/1886年-1954年)
1953年、スタジオレコーディング
1851年改訂版
傑作が多く生まれた時期
シューマンの初めての交響曲である「第1番」は、1841年に作曲されました。
「第4番」は、このすぐ後に書かれました。
1840年にクララと結婚したばかりのシューマンは、幸せな時間を過ごしていました。
そして、この数年は多くの傑作が生まれた時期でした。
「1840年:歌曲の年/1841年:交響曲の年/1842年:室内楽曲の年」と、それぞれ呼ばれることもあります。
妻クララの誕生日プレゼント
「交響曲第4番」は妻クララの誕生日プレゼントとして、1841年9月13日に贈られました。
結婚してから2度目のクララの誕生日でした。
シューマン自身も手ごたえを感じていたこの作品は、3か月後の12月6日に初演されます。
しかし友人のメンデルスゾーンが体調不良のため指揮を降板する不運がありました。
また妻クララや「ピアノの魔術師」リストのピアノ演奏も同じコンサートプログラムに入っていたため、「交響曲第4番」は目立たぬ存在となってしまいました。
その結果、初演では思うような評価を得ることはできませんでした。
10年後に改訂
当初は「交響曲第2番」と発表されていた作品ですが、評判が良くなかったため出版が中止となります。
そして10年後の1851年にデュッセルドルフでシューマン自身によって改訂されました。
これは「交響曲第3番(ライン)」を作曲した直後のことで、わずか数日で書き上げられたそうです。
当初「交響的幻想曲」と名付けられたこの改訂版は、楽章の終わりごとで休まずに全曲を通して休みなく演奏されます。
この改訂版の初演は1853年にデュッセルドルフでシューマン自身の指揮でおこなわれ、翌年に出版されました。
今日ではその他にも、ブラームスが少し手を加えたヴュルナー版(1891年版)も演奏・録音されています。
※初稿版に部分的に最終稿を採用している
曲の構成
初稿ではの速度指定にイタリア語が使われていましたが、ドイツ語に変わっています。
第1楽章:Ziemlich langsam(かなり遅く)- Lebhaft(いきいきと)
第2主題がない。
主要主題が展開され、再現部が省略されてコーダに入る。
第2楽章:ロマンツェ Ziemlich langsam(かなり遅く)
オーボエとチェロが哀愁のある主題を奏でた後に、第1楽章序奏の主題が現れる。
中間部はヴァイオリン独奏が流れるような旋律を奏でる。
第3楽章 スケルツォ Lebhaft(いきいきと)
主要主題が影を感じさせる荒々しい音楽を奏でる。
中間部では対照的に優しさに満ちた音楽が流れる。
静けさの中から第4楽章へ休みなく続く。
第4楽章:Langsam(遅く)- Lebhaft(いきいきと)
再現部で第1主題が再現されない。
各楽章の動機と関係を持ち音楽が構成され、コーダではテンポが速まり力強く歓びの中で終わる。
シューマン「交響曲第4番」の名盤
パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィルパーヴォ・ヤルヴィはシューマン交響曲全集録音に取り組みました。
これはその中からの録音で、「交響曲第4番」と「序曲、スケルツォとフィナーレ」、4つのホルンのための協奏曲「コンツェルトシュトック」が収録されています。
2011-2012年の録音です。
「シューマン愛」を公言しているヤルヴィは、シューマンの演奏を「作品にある感情の起伏や途方もないエネルギーを恥ずかしがらずに出さなければ、シューマンの本当の魅力が伝わらない」と語っています。
パーヴォ・ヤルヴィ(Paavo Järvi, 1962年12月30日 - )
エストニア出身、アメリカ国籍の指揮者
ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ニューヨーク・フィル等、世界の主要オーケストラに客演しており、世界で引っ張りだこの指揮者の一人である。
N響、都響など日本のオケとも共演しており、2015年にはN響の初代首席指揮者にも就任した。
ドイツ・カンマーフィルとはベートーヴェン交響曲全曲(2006年-2009年)も録音している。
ドイツ・カンマーフィルハーモニー(ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団)
ドイツ・ブレーメンに本拠を置く室内オーケストラ
2004年にパーヴォ・ヤルヴィが芸術監督に就任してから国際的に評価を高めている。
レパートリーをバロックから現代音楽まで拡大しているが、その中心はベートーヴェンの交響曲である。
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