ヤナーチェクタラス・ブーリバ
作曲1915-1918年3月29日
初演1921年10月9日(ブルノ国立劇場)
演奏時間25分

狂詩曲『タラス・ブーリバ』は、チェコのモラヴィア出身の作曲家レオシュ・ヤナーチェク(Leoš Janáček/1854年-1928年)によって1918年に作曲されました。
ニコライ・ゴーゴリが1835年に発表した小説『タラス・ブーリバ(隊長ブーリバ)』がもととなっている標題音楽です。
幾度も映画化されている小説で、近年では2009年にロシアで映画化もされています。
※日本語字幕等は残念ながら現在のところ見られませんが、英語字幕版はあります。

 【ニコライ・ゴーゴリ】
ウクライナ生まれのロシアの小説家
人気作家の真っただ中で出版した、1836年の戯曲『検察官』で非難を受け、ロシアを出る。
以後はドイツやイタリアで生涯を過ごす。
ロシア・リアリズム文学の祖とされ、ドストエフスキーなどロシア文学に大きな影響を与えた。

作曲が完成した1918年といえば「チェコスロバキアがオーストリア=ハンガリー帝国から独立」した年で、まさに激動の真っただ中の年でした。
作品は「私たちの国の武装した保護者である軍」に捧げられました。

 『タラス・ブーリバ』は1915年7月2日に作曲されましたが、その後大幅に改訂され1918年3月29日に完成しました。

狂詩曲『タラス・ブーリバ』の演奏

フランクフルト放送交響楽団(hr交響楽団/Frankfurt Radio Symphony)
指揮:アンドレス・オロスコ=エストラーダ (Andrés Orozco-Estrada)
旧オペラ座(ドイツ、フランクフルト)/2016年

狂詩曲『タラス・ブーリバ』のあらすじ

作品は3楽章からなり、それぞれにストーリーがあります。
内容は、タラス・ブーリバ(コサックの連隊長)と2人の息子たちの戦いと死を描いています。
第1曲から順に「次男の死」「長男の死」「父親の死」が描かれています。

 【コサック】
軍事的共同体。
18世紀以降、帝政ロシアによる自治剝奪後に「国境警備」「領土拡張の先兵」「民衆運動の鎮圧」などをおこなった。

第1曲「アンドレイの死」

タラス・ブーリバの次男アンドレイは敵国ポーランドの娘と恋に落ち、敵国に寝返ります。
やがてコサック軍とポーランド軍の戦闘がはじまります。
息子の裏切りを知ったタラス・ブーリバは怒り、自らの手で息子を葬ります。

恋人同士の甘い旋律・・・冒頭のイングリッシュホルン、ヴァイオリン、オーボエ
戦闘の怒りの声・・・トロンボーン
勝利の叫び・・・トランペット

第2曲「オスタップの死」

タラス・ブーリバの長男オスタップは戦闘の中で敵国ポーランド軍に捕らえられ、ワルシャワに連行されます。
父タラスは救出のためワルシャワに潜入しますが、失敗してしまいます。
コサックたちが処刑される中、ついにオスタップも処刑されてしまいます。

ポーランドの勝利・・・野蛮なマズルカ
タラス・ブルバ・・・トロンボーン
オスタップの最後の苦悩の叫び・・・クラリネット

 第2曲の多くは、行進曲が演奏されます。

第3曲「タラス・ブーリバの予言と死」

コサック兵は復讐に燃え、ウクライナの国境地帯で大反乱を起こします。
しかし最後にタラス・ブーリバはドニエプル河畔で捕らえられてしまいます。
火炙りの刑になる前にタラスは「コサックが恐れるものがこの世界にあるとお思いか!?ロシアの信仰心が何かを知る時が来るだろう!既に人々はそれを感じているぞ。ツァーリ(皇帝)はロシアの地で生まれ、ツァーリに服従しないものは世界にはいない!」と予言を叫びます。

タラス・ブルバ・・・トロンボーン
予言・・・金管楽器とオルガン

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