1789 バスティーユの恋人たち(1789 Les Amants De La Bastille)』は、2012年にパリで初演されたフランス革命(バスティーユ襲撃)をテーマとしたミュージカルです。

オリジナルはフランス語のミュージカルですが、各国で上演され日本では2015年に宝塚歌劇団によって日本語で初演されました。
その後東宝によっても国内で上演されています。

ここでは『1789 バスティーユの恋人たち』のあらすじを、曲と対応して解説していきます。

 紹介するあらすじはフランス版のものです。
日本版とは多少ずれがあります。

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歴史の整理

世界は近代国家への道が進んでいます。
イギリスでは産業革命が起こり、アメリカでは独立宣言がなされます。

その波はフランスにも訪れます。
当時のフランスは絶対君主制がしかれており、身分制度がありました。

 第一身分(聖職者14万人)第二身分(貴族40万人)第三身分(平民)

そんなとき、フランスに財政危機が訪れます。
国は平民に重い税金を課し、反発が生まれます。
さらには貴族の特権を奪おうとします。

この国の壊滅的状態に立ち上がったのが、民衆たちでした。
民衆は「自由と平等」を求め、フランス革命が起こります。

『1789 バスティーユの恋人たち』の簡単なあらすじ

france
時間のない方のための簡単な30秒あらすじ

 フランス革命のはじまりである「バスティーユ襲撃」を描いた物語です。

【第1幕】
農民ロナンの父は"税金未払いの罪"で殺されてしまいます。
ロナンは父の復讐を胸にパリへ向かいます。

革命家として活動していたロナンは、ふとしたきっかけでオランプ(王妃の家臣)と出会います。
敵対関係(革命家VS王国)にある二人の「禁じられた愛」がはじまります。

【第2幕】
民衆の不満は限界に達し、フランス革命が勃発します。
そこでロナンは銃に撃たれ、オランプの腕の中で息を引き取ります。

絶対君主制が崩壊し、人権宣言が採択されたところで幕は下ります。

第1幕:『1789 バスティーユの恋人たち』の詳しいあらすじ

ロナンが殺された父の復讐を胸に、パリへ旅たつ

grave

Prélude

1788年 春
フランス王国は飢饉に苦しみ、農民たちは税金を払うことができません。
兵士は未納者を捕え、シモンも子供たち(ロナン、ソレーヌ)の前で捕らえられてしまいます。

 シモン・・農民。主人公ロナンの父親
 ロナン
主人公。農民。
父の死の復讐を誓い、パリへ行く。
そしてフランス革命のきっかけであるバスティーユ襲撃を起こす。

悲惨なことにシモンは、ペイロールらにより銃殺されてしまいます。

 ペイロール・・貴族将校。ロナンの父を殺した人物。

Le cri de ma naissance

父親を殺されたソレーヌは深く悲しみます。

 ソレーヌ・・主人公ロナンの妹。苦しむ平民の象徴として描かれている。

ロナンは父親の仇を撃つことを誓い、パリへ向かいます。
妹ソレーヌも後からパリに向かいます。

市民が苦しむ一方、貴族は派手に暮らしている

ballroom

Je mise tout

ヴェルサイユ宮殿
マリー・アントワネット(フランス王妃)らが、派手なパーティーを開いています。

パーティーが静まると、財務長官が「財務改革の相談」にルイ16世(国王)を訪れます。
しかしルイ16世は問題を先延ばしにしてしまいます。

 国王とアントワネットには、ジョセフという子供がいます。
ジョセフは身体が不自由で歩くこともままなりません。
ジョセフには養育係のオランプが付いており、アントワネットはオランプに全幅の信頼を寄せています。

妹ソレーヌは、パリで娼婦となっている

amsterdam
パリへ来て6か月後 パレ・ロワイヤル

 パレ・ロワイヤル
パリの中にある地区。
当時革命家のたまり場となっており、娼婦なども溢れていた。
デムーランがフランス革命のきっかけとなる演説をした場所もここ。

ロナンは、仲間の助けで印刷所で働いて生計を立てています。

La Nuit m'appelle

彼のもとに友人ダントン(弁護士)が訪れ、惚れ込んでいる娼婦も一緒に連れてきます。

 ダントン・・実在する人物。弁護士。

その娼婦は、なんと妹ソレーヌでした。
ソレーヌは「飢えと孤独の苦しみ」を訴えます。

 ここでも平民の生活の苦しみが描かれています。

ロナンが無実の罪で捕まる

prison

Maniaque

パレ・ロワイヤルの一角
アントワネットが、愛人フェルゼンとの密会に訪れています。
オランプがそれを手伝っています。

 オランプ
この物語のヒロイン。王の子供の養育係。
主人公ロナンと恋をし、禁じられた愛に苦しむ。
 フェルゼン
実在する人物。スウェーデン王の家臣。
史実では、革命阻止のためにスパイとしてヴェルサイユに送られている。
アントワネットの愛人としても有名。

しかし、そのすぐ側には秘密警察が後をつけています。

 ルイ16世の弟(アルトワ)は、密かに王位を狙っています。
そのため秘密警察を使ってアントワネットを偵察しています。

偶然ロナンもそぐ側にいます。
オランプはロナンに襲われたふりをして、アントワネットたちを逃がします。

ロナンは無実の罪で捕まると、取り調べで政治犯と判断され、バスティーユ牢獄に死罪で投獄されてしまいます

オランプがロナンを牢獄から助け出す

La sentence/Tomber dans ses yeux

オランプがロナンを助けるために父のもとを訪れます。
父は娘を信じ、二人でロナンを逃がします。

 デュ・ピュジェ中尉・・オランプの父で、バスティーユ牢獄の管理人

秘密警察も追ってきますが、彼らを取り逃がしましてしまいます。

Hey ha/Pic et pic

無事脱出したロナンは、仲間たちと革命について語り合います。
ロナンは裕福な仲間に怒りだし「弁護士や有名大卒が自由を語るのは楽だよな!」と感情をあらわにします。

しかし「自由と平等」の共通目的を確認し合うと、皆で再び結束します。

ロナンとオランプの禁じられた愛

rooftop

La Guerre pour se plaire

ジョセフの墓の前

 ジョセフ(王の子供)は若くして亡くなってしまいました。
オランプは、彼の墓の前で死を悲しんでいます。
オランプはジョセフの養育係をしており、彼の死に責任を感じています。

ロナンとオランプが再会します。
二人は愛を語りあい、「自分たちの禁じられた愛」を歌います。

 革命派のロナンと王家に雇われているオランプは、全く反対の立場にあります。
お互いは敵同士(革命家vs王家)です。

民衆がさらに心を一つにする

trumpet

La Rue nous appartient

ルイ16世は、息子の死で悲しみに暮れています。
そして言われるがまま「第三身分の議員を議会から追い出す書面」にサインをします。

 [第一身分 聖職者][第二身分 貴族][第三身分 平民] を指します。

革命家たちはそれに困惑しますが、決して希望は失いません。
彼らはさらに心を一つにします。

第2幕:『1789 バスティーユの恋人たち』の詳しいあらすじ

革命の気運が高まってくる

demo

La Rue nous appartient, Reprise

1789年6月20日
民衆は議会から締め出されます。
彼らの国王への不満が大きくなります。

A quoi tu danses?

集まった民衆は国王の解散命令も無視し、怒りを爆発させます。
それをロベスピエールが統率します。

 ロベスピエール・・実在の人物。第三身分出身の議員。革命家。ロナンの仲間。

Je suis un dieu

オランプが「ロナンが殺される悪夢」をみてうなされています。
そこにロナンが現れ、「誰も僕たちを引き裂くことはできない。」とオランプへの愛を訴えます。

しかし、二人は愛し合っていますが、「ロナンの強い国家への復讐心」で、二人の心にすれ違いが生まれます。

 ロナンの革命へのそもそものきっかけは、父親が国に殺されたことでした。

民衆の苦しみは限界に達している

demonstration

Je veux le monde

一方その頃、ソレーヌ(ロナンの妹)は皆を従えてパン屋を襲撃しています。

 食料不足で平民は飢えている。

いよいよフランス国家への不満は抑えられなくなってきます。

国家の武力鎮圧に、民衆も武力で対抗する

trumpet

Ça ira mon amour

ヴェルサイユ宮殿
民衆の叫びは、ヴェルサイユ宮殿にまで届きます。
ルイ16世は「事態収拾に手段は選ばない。」と命令します。

Nous ne sommes

民衆の鎮圧に、軍が出動し始めます。
デムーランは民衆を鼓舞し、「自由の獲得」のために武力で対抗することを決意します。

 デムーラン・・実在の人物。革命家。ジャーナリスト。ロナンの友人。

ペイロールは、武力行使を強め、民衆に銃を放ちます。

 ペイロール・・貴族将校。ロナンの父を殺した人物。

Je vous rends mon âme

民衆の暴動が広がる中、アントワネットは「一人ヴェルサイユ宮殿に残る」こと決意します。
オランプは職を解かれ自由の身となります。

一人になったアントワネットは死を決意し、ギロチンの落下と共に生涯を終えます。

 実際のアントワネットは、1793年10月16日(バスティーユ襲撃の4年後)に処刑されています。

フランス革命の勃発、ロナンの死

france

Tomber dans ses yeux/Les mots qu'on ne dit pas, puis Sur ma peau

ロナンとオランプは、不幸な未来を予感しながら二重唱を歌います。

 二人はまだ再会していない。
壁を隔てて、離れ離れなままの二重唱。

そして、ついにロナンと革命家たちは、戦いに必要な火薬を奪うために、バスティーユ牢獄へ向かいます。

Fixe

民衆がバスティーユ牢獄へと侵入していきます。
民衆は、暴動の鎮圧に入った軍と衝突します。

ロナンは銃で撃たれ倒れます。
そこにオランプが駆けつけ、二人は再会します。

彼女の腕の中で、ロナンは死を迎えます
悲しみの中、ソレーヌとデムーランが人間の尊さを歌います。

絶対君主制の終わり、人権宣言の採択

Pour la peine

絶対君主制が終わりをつげ、人権宣言がなされます。
皆が力強く宣言の条文を読み上げます。

民衆が悲しみを感じながら、「人権や平和、夢」を歌い上げて幕が下ります。

 最後の歌では、死んだロナンを含む全キャストが登場します。