項目 | データ |
---|---|
作曲年 | 1786年 |
演奏時間 | 25分 |
モーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調(K.488)は、古典派のピアノ協奏曲の大傑作として知られています。
透明感と美しさを兼ね備えたこの曲が大好きな人も多いのではないでしょうか。
半音階が多く使われているのも印象的です。
また主題が親しみやすいことから、人気の高いピアノ協奏曲でもあります。
ここではモーツァルトのピアノ協奏曲第23番の解説と名盤を紹介したいと思います。
モーツァルト「ピアノ協奏曲第23番」の演奏
[00:00]第1楽章:アレグロ イ長調 4分の4拍子 協奏風ソナタ形式[11:22]第2楽章:アダージョ 嬰ヘ短調 8分の6拍子 三部形式
[18:42]第3楽章:アレグロ・アッサイ イ長調 2分の2拍子 ロンド形式
内田 光子(1948年12月20日-)
モーツァルト「ピアノ協奏曲第23番」の解説
モーツァルトはこの時期に積極的にピアノ協奏曲を作曲しています。
1784年に6曲、1785年に3曲、1786年に3曲のピアノ協奏曲を作曲しました。
1786年に、23番は24番と共にモーツァルトの予約音楽会のために作曲されました。
作曲時期としては、誰もが知るオペラ「フィガロの結婚」の作曲と重なります。
木管中心の楽器編成
この協奏曲は楽器編成が今までとは少し異なりました。
オーボエが使われていない代わりに、今まで編成になかったクラリネットが加わっています。
クラリネットは当時はまだ楽器として定着しておらず、新しい楽器の一つでした。
木管を中心とした編成によることで、落ち着いた音色が奏でられています。
またティンパニやトランペットが使われていないのも特徴で、室内楽的な色合いも感じられます。
ただしモーツァルトは、クラリネットがなければヴァイオリンやヴィオラでも良いとしたそうです。
こだわりの編成ではなかったのかもしれません。
もしくはクラリネットは当時は珍しい楽器でしたので、どこでも気軽に演奏できるようにそうしたのでしょうか。
他と作曲方法が異なった
23番はモーツァルトの他のピアノ協奏曲とは作曲方法が異なりました。
モーツァルトのピアノ協奏曲は普通はピアノ・パートをまずスケッチし後から細部まで仕上げていました。
しかし23番では初めからピアノ・パート全体を完全な形で書き記していました。
また曲中の第1楽章のカデンツァも完全に書き記されています。
通常即興で演奏されるカデンツァまでもが指定されていることから、モーツァルトのこの曲に対するこだわりが感じられます。
20番以降の作品でカデンツァがあるのは23番と27番だけです。
23番のカデンツァが指定されているのは、本来の即興演奏としてのカデンツァの役割の他に、音楽的な構成の中で必要な別の性格があったのかもしれません。
モーツァルト「ピアノ協奏曲第23番」の名盤
モーツァルトを得意としたウィ-ンの名ピアニストであるグルダの録音の中でも最も評価の高い録音の一つです。
クラシック演奏の歴史の中で欠くことのできない、至極の1枚です。
優しく活き活きとした音楽でありながら、ワクワク感も感じられる演奏を味わってみてください。
ピアニストも指揮者も良い意味で「変わって」いますので、また違ったモーツァルトの楽しみ方もできるかもしれません。
フリードリヒ・グルダ(Friedrich Gulda/1930年5月16日-2000年1月27日)
オーストリアのピアニスト
モーツァルト、ベートーヴェンからジャズまで網羅する20世紀を代表する巨匠ピアニストの一人です。
ニコラウス・アーノンクール(Nikolaus Harnoncourt/1929年12月6日-2016年3月5日)
オーストリアの指揮者
1952年から1969年までウィーン交響楽団のチェロ奏者を務める。
バロックから後期ロマン派にいたる幅広いレパートリーの録音を残す。
また古楽、古楽器の研究・収集にも力を注いだことで知られている。
その他の録音
内田光子&クリーヴランド管弦楽団
2010年の来日公演でも内田光子&クリーヴランド管弦楽団のタッグはお馴染みです。
こちらは2008年に録音されたものです。
内田 光子(うちだ みつこ/1948年12月20日-)
1966年:ミュンヘン国際コンクール第2位
1969年:第3回ウィーン・ベートーヴェン国際コンクール第1位
1970年:ショパン・コンクール第2位(現在も日本人最高位)
1987年:サントリー音楽賞受賞
2008年:ベルリン・フィルハーモニーのレジデント・ピアニストに選出
2009年:大英帝国勲章「デイム」を授与される
クリーヴランド管弦楽団(The Cleveland Orchestra)
米オハイオ州クリーヴランドを拠点とするオーケストラ
アメリカのオーケストラの中でも最もヨーロッパ的なサウンドを持つと評されている
ホロヴィッツ、ジュリーニ&ミラノ・スカラ座管
ホロヴィッツが亡くなる2年前(82歳)に録音されたもので、晩年の研ぎ澄まされた音色が楽しめます。
協奏曲をほとんど録音してこなかったホロヴィッツによる貴重なモーツァルトのピアノ協奏曲です。
ウラディミール・ホロヴィッツ(Vladimir Horowitz/1903年10月1日–1989年11月5日)
ウクライナ生まれのアメリカのピアニストで、20世紀が生んだ最高のヴィルトゥオーゾと評される。
義父は名指揮者のアルトゥーロ・トスカニーニ
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