項目 | データ |
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初演 | 1845年 ドレスデン宮廷歌劇場 |
台本 | リヒャルト・ワーグナー |
演奏時間 | 3時間10分 |
ワーグナーの『タンホイザー(Tannhäuser)』は、彼の作品の中でも最も人気のある作品の一つです。
正確なタイトルは『タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦(Tannhäuser und der Sängerkrieg auf Wartburg)』といいます。
台本はワーグナー自身によるもので、物語は二つの題材を組みわせて書かれています。
【二つの題材】:『タンホイザー』と『ヴァルトブルクの歌合戦』
タンホイザーは"快楽"のために、ヴェーヌスの洞窟に籠ります。
洞窟から出ると、彼はそれを悔い改めるためにローマ教皇を訪れますが、許しを得ることはできませんでした。
タンホイザーは再びヴェーヌスの洞窟に戻ります。
皆は彼を探しますが、彼が見つかることはありませんでした。
1207年、ヘルマン1世の宮殿(ドイツ)で、"負けたほうが命を落とす"という歌合戦がおこなわれました。
歌合戦に参加したハインリヒは、逆境に立ちます。
彼は魔術師を呼びその力で勝利しようとしますが、魔術を見破られ敗戦します。
ここでは、そんなワーグナー『タンホイザー』のあらすじを紹介したいと思います。
登場人物
人物 | 詳細 |
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タンホイザー | ヴァルトブルク城の騎士(Tn) |
ヴェーヌス | ヴェヌスベルクに住む快楽の女神(Ms) |
ヘルマン1世 | テューリンゲンの領主(B) |
エリーザベト | ヘルマン1世の姪、タンホイザーの恋人(Sp) |
ヴォルフラム | ヴァルトブルク城の騎士でタンホイザーの親友。密かにエリーザベトに想いを寄せる。(Br) |
ビテロルフ(バス)、ヴァルター(テノール):歌合戦で登場
など
彼の書いた『パルチヴァール』から、ワーグナーの『パルジファル』は生まれました。
また、『パルチヴァール』ではローエングリンについても書かれています。
第1幕:『タンホイザー』のあらすじ
"快楽を堪能し尽くした"タンホイザーが、人間界へ戻る
ヴェヌスベルクの洞窟
ヴェーヌス:ヴェヌスベルクに住む快楽の女神。
タンホイザーとヴェーヌスが寄り添っています。
"快楽を堪能し尽くした"タンホイザーは、人間の世界へ帰りたがっています。
それをヴェーヌスが引き留めます。
タンホイザーはヴェーヌスに頼まれ、彼女を賛美します。(Dir töne Lob!)
しかし地上を懐かしむタンホイザーは、途中から「神ではない人間の私は死ぬ運命にある」「私を行かせてください!」と訴えます。
ヴェーヌスは「私に飽きたの!?裏切者!」と怒り、地上に帰ることを許しません。
「Dir töne Lob!/ヴェーヌス讃歌」
しかしタンホイザーが"聖母マリア"に祈りをささげると、ヴェーヌスの姿は消え、ヴェヌスベルクの世界はなくなります。
舞台はヴァルトブルク城近くの谷間に変わります。
タンホイザーの近くを「かつての仲間たち」が通りかかる
ヴァルトブルク城近くの谷間
タンホイザーは、美しい谷間にいることに気づきます。
タンホイザーは地上に帰ってこれたことに感謝し、神に祈りを捧げます。
そこにヘルマン一行が通りかかります。
皆は"長い間姿を消していた"タンホイザーを見つけて喜び、再び仲間として迎え入れます。
それに対し、"罪の意識が深い"タンホイザーは、「ここから去ってください。」と告げます。
タンホイザーがエリーザベト(恋人)に思いを寄せ、城に戻る
エリーザベト:ヘルマン1世の姪、タンホイザーの恋人
しかし親友のヴォルフラムが「エリーザベトのもとに残れ!」と叫ぶと、恋人を思い出し心が揺れ、タンホイザーは城に戻ることを決意します。
タンホイザーが「姫のところへ連れてってくれ!」と声を上げ、1幕は終わります。
第2幕:『タンホイザー』のあらすじ
タンホイザーとエリーザベトが再会を喜ぶ
ヴァルトブルク城「歌の広間」
エリーザベトが、「私の胸は高まっています。」「あの人はもうここから離れません!」と、タンホイザーへの思いを歌い上げています。(Dich, Teure Halle)
「Dich, Teure Halle」
そこにタンホイザーが登場します。
エリーザベトが「今までどこにいたの?」と尋ねますが、タンホイザーは答えをはぐらかします。
その後、二人は再会した喜びを情熱的に歌い上げます。
「歌合戦」が始まる~テーマは愛~
騎士や貴族たちがヘルマンを讃え登場します。(Einzug der Gäste)
それに続いてヘルマンが「歌合戦」の開催を宣言し、歌合戦のテーマは「愛」とされます。
「Einzug der Gäste/大行進曲」
まず最初にヴォルフラムが「愛の純粋さ」を歌い上げます。
それに対しタンホイザーは「官能的な愛」を訴え、ヴァルターは「徳」を、ビテロルフは「名誉」を訴えます。
タンホイザーが「ヴェヌスベルクの洞窟」にいたことが露見し、巡礼が命じられる
むきになったタンホイザーは「ヴェーヌス讃歌」を歌い上げます。
皆は「タンホイザーがヴェヌスベルクの洞窟にいた」ことを理解し、彼を非難します。
貴婦人たちが嫌悪感をあらわにし逃げていきますが、エリーザベトは残ります。
そして皆が「追放の処分」を願う中、エリーザベトは「タンホイザーの償いの機会」を求めます。
タンホイザーは、後悔の念に駆られます。
ヘルマンはタンホイザーに「ローマに巡礼し、償いをする」ように命じます。
第3幕:『タンホイザー』のあらすじ
巡礼を終えた人々の中に、タンホイザーはいない
ヴァルトブルク城近くの谷間
聖母マリア像の前で、エリーザベトが祈りを捧げています。
エリーザベトを密かに愛するヴォルフラムが、それを見守ります。
そこに巡礼を終えた人々の列が通ります。
しかし、そこにタンホイザーの姿はありません。
エリーザベトが「死」を覚悟して、マリアに祈りを捧げる
エリーザベトは「マリアよ、願いを聞いてください!」「私は死んでもかまいません!」と再び強く祈りを捧げます。
エリーザベトは近くにいたヴォルフラムに気づきます。
そしてヴォルフラムを制止すると、エリーザベトは高みへと進み、次第に見えなくなります。
"赦されなかった"タンホイザーが戻ってきて、絶望の中「ヴェヌスベルク」へ再び行こうとする
ヴォルフラムは天を眺めながら、エリーザベトの無事を祈ります。(Lied an den Abendstern)
「Lied an den Abendstern/夕星の歌」
そこに"ローマで赦しをもらえなかった"タンホイザーが帰ってきます。
タンホイザーは絶望し、ヴォルフラムに「ヴェヌスベルクへの道」を尋ねます。
ヴォルフラムが止める中、タンホイザーは「私が赦されることはない。」と自暴自棄になり、ついには「ヴェーヌス」の名を叫びます。
すると辺りが突然明るくなり、ヴェーヌスが現れます。
ヴェーヌスの誘いにのってタンホイザーは旅たとうとしますが、ヴォルフラムは必死にそれを止めます。
我に返ったタンホイザーが留まり、エリーザベトの亡骸の近くで息絶える
ヴォルフラムが「エリーザベトの名」を叫ぶと、タンホイザーは我に返ります。
そしてヴェーヌスの姿も消えてなくなります。
そこへ"タンホイザーのために命を投げうった"エリーザベトの亡骸を運ぶ葬列が近づいてきます。
タンホイザーは、その棺桶に倒れ込み息絶えます。
皆が神を讃える中で、オペラは終わります。
ワーグナー『タンホイザー』の映像
【輸入盤】日本語字幕なし1978年バイロイトでの映像です。
ゲッツ・フリードリヒ(演出家)はこのオペラでバイロイトに衝撃的なデビューを飾り、その賛否両論で別れた演出は、当時大きな話題となりました。
第1幕ではパリ版(バレエ音楽が加わっている)が採用されており、バレエも見どころです。
【キャスト等】
タンホイザー:スパス・ヴェンコフ
エリーザベト、ヴェーヌス:ギネス・ジョーンズ
ヴォルフラム:ベルント・ヴァイクル
ヘルマン:ハンス・ゾーティン
ヴァルター:ロベルト・シュンク
ビテロルフ:フランツ・マツーラ
ラインマル:ハインツ・フェルトホフ
ハインリヒ:ジョン・ピッカリング
指揮:サー・コリン・デイヴィス
演出:ゲッツ・フリードリッヒ
バレエ振付:ジョン・ノイマイヤー
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