作品データ
作曲年1869-77年
初演1877年2月14日 サンクトペテルブルク
演奏時間25分

アレクサンドル・ボロディン(Alexander Borodin/1833年-1887年)の『交響曲第2番』は、オペラ『イーゴリ公』と並んで彼を代表する作品です。
全曲を通してロシアの力強い音楽が流れており、ロシア音楽を語るうえで欠かすことができない傑作として知られています。

 『交響曲第2番』も『イーゴリ公』も同時期に作曲されています。

ボロディンという作曲家は余り耳にしない作曲家かもしれませんが、クラシックファン以外でも楽しめる音楽に包まれています。
『交響曲第2番』は親しみやすいメロディーとリズムでロシアの生活や自然が描かれており、初めて聞く方でも馴染みやすい作品です。

特にCMやテレビでも流れる『ダッタン人の踊り』(イーゴリ公の第2幕)が好みな場合は、きっと交響曲第2番も楽しめると思います。

 『イーゴリ公』(1869-1879<未完>)と同様に、『交響曲第2番』も作曲にとても長い期間を要しました。

ここではボロディンの『交響曲第2番』解説と名盤を紹介したいと思います。

ボロディン『交響曲第2番』の演奏

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(Royal Concertgebouw Orchestra/RCO)

カレル・マーク・チチョン(Karel Mark Chichon)
1971年、ロンドン生まれの指揮者。英国王立音楽院で学ぶ。
2004年にウィーン・フィル、2010年にロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団にデビュー

[00:03]第1楽章:Allegro
[07:00]第2楽章:Scherzo:Prestissimo-Trio:Allegretto
[12:21]第3楽章:Andante
[21:54]第4楽章:Finale:Allegro

「ロシア五人組」の一人のアマチュア作曲家

ボロディンは19世紀後半に活躍した「ロシア五人組」の一人として知られています。
そしてリーダーのバラキレフ以外の4人は、音楽家とは別に本職を持っていました。

 「ロシア五人組」
ミリイ・バラキレフ(1837年-1910年)
ツェーザリ・キュイ(1835年-1918年)
モデスト・ムソルグスキー(1839年-1881年)
アレクサンドル・ボロディン(1833年-1887年)
ニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844年-1908年)

化学者、医師として活躍したボロディン

ボロディンの本職は化学者でした。
彼はサンクトペテルブルク大学の医学部を首席で卒業します。
その後、有機化学で博士号を取得すると助教授・教授と出世していきます。

ボロディンは音楽家である前に、有機化学の研究家としての第一人者だったのです。

作曲を専門的に学んだのは30歳から

そんなボロディンは専門的に音楽を学んだことはありませんでした。
ボロディンが初めて作曲をを専門的に学んだのはバラキレフ(5人組のリーダー)に出会った時で、ボロディンが30歳(1863年)になろうとした頃でした。

ボロディンは、バラキレフの4番目の弟子(5人組で最後)となりました。

バラキエフが交響曲を勧めた

バラキエフはボロディンの才能に惚れ込み、彼に交響曲の作曲を勧めます。
そして交響曲第1番(1862-1867年)が書かれるわけですが、交響曲第2番はその第1番初演(1869年1月)の直後に作曲が開始されました。

交響曲第2番はオペラ「イーゴリ公」と同時に作曲が進められたせいか、オペラ的要素を強く感じられる音楽となっています。
また実際に、オペラのために書かれたものが使用されています。

 1877年サンクトペテルブルクでの初演は成功とは言えませんでしたが、修正を加えた1879年(リムスキー=コルサコフ指揮)の演奏会では成功を収めることができました。

なお現在のオーケストレーションは、作曲者の死後にリムスキー=コルサコフとグラズノフによって修正されたものが一般的に演奏されています。

ボロディン『交響曲第2番』の名盤

父子クライバー対決

 エーリヒ・クライバー(Erich Kleiber/1890年-1956年)
カルロス・クライバー(Carlos Kleiber/1930年-2004年)

親子でのボロディン『交響曲第2番』の聴き比べができる面白い企画のCDです。
父エーリヒの録音は古いだけあってさすがに音質が悪いですが、息子カルロスの力強く躍動する音楽は必聴です。

【収録情報】
シュトゥットガルト放送交響楽団
指揮:カルロス・クライバー
録音:1972年12月12日(シュトゥットガルト、SDR放送スタジオ)

NBC交響楽団
指揮:エーリヒ・クライバー
録音:1947年12月20日(ニューヨーク)※モノラル

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