項目 データ
作曲 1874年(ラヴェル編曲:1922年)
初演 ラヴェル版:1922年10月19日 パリ・オペラ座
演奏時間 30分

モデスト・ムソルグスキー(Modest Mussorgsky/1839年-1881年)の『展覧会の絵』は、彼を代表する作品です。
ピアノ組曲として作曲された作品ですが、ラヴェル編曲によるオーケストラでの演奏がコンサートでは聴く機会が多いかもしれません。

 ムソルグスキーのその他の作品としては、オペラ『ボリス・ゴドゥノフ』や『禿山の一夜』などが有名です。

元々のピアノ組曲が非常に管弦楽的であるため、ラヴェル以外にも多くの作曲家が管弦楽曲として編曲しています。

ここでは、ムソルグスキーの『展覧会の絵』の解説と名盤を紹介したいと思います。

ムソルグスキー『展覧会の絵』の演奏

【ラヴェル版】
シカゴ交響楽団(The Chicago Symphony Orchestra/CSO)
指揮:ゲオルク・ ショルティ(Georg Solti/1912年-1997年)


[00:00]プロムナード
[01:39]こびと(Gnomus)
[04:07]プロムナード
[05:07]古城(Il Vecchio castello)
[09:47]プロムナード
[10:20]テュイルリー(Tuileries)
[11:18]牛(Bydlo)
[13:58]プロムナード
[14:46]卵の殻をつけた雛のバレエ(Ballet des poussins dans leurs coques)
[15:59]サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ(Samuel Goldenberg und Schmuyle)
[18:16]リモージュの市場(Limoges-Le marche)
[19:37]カタコンベ ローマ時代の墓(Catacombae - Sepulchrum Romanum)
[22:04]死せる言葉による死者への呼びかけ(Cum mortuis in lingua mortua)
[23:46]鶏の足の上に建つ小屋(La cabane sur des pattes de poule)
[27:09]キエフの大門(La grande porte de Kiev)

 編曲では第5プロムナード(サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレの後)は省略されています。

「ロシア五人組」の一人

ムソルグスキーは「ロシア五人組」の一人として知られています。

「五人組」は、1856年のバラキレフとキュイの出会いから始まります。
ムソルグスキーはその翌年の1857年から加わりました。(1861年にリムスキー=コルサコフが、1862年にボロディンが加わる)

 「ロシア五人組」
ミリイ・バラキレフ(1837年-1910年)
ツェーザリ・キュイ(1835年-1918年)
モデスト・ムソルグスキー(1839年-1881年)
アレクサンドル・ボロディン(1833年-1887年)
ニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844年-1908年)

「ロシア五人組」の影響は国内にとどまらず、ドビュッシーはムソルグスキーの音楽を敬愛していたと言われています。

「亡くなった友人の遺作展」から着想を得た

1873年、友人のヴィクトル・ハルトマン(建築家・画家)が39歳の若さで亡くなります。
ムソルグスキーにとって友人の死の悲しみは大きく、彼はそれをスターソフ(ロシアの芸術評論家)に手紙で綴っています。

 スターソフは多くの人が尊敬した評論家で、彼とロシア芸術家との文通は貴重な資料として残されています。
またスターソフは「ロシア五人組」の名付け親で、精神的指導者でもありました。

翌年、スターソフらによって「ハルトマンの遺作展」がサンクトペテルブルクの美術学校で開かれます。
そこにはハルトマンの設計図やスケッチなどが400点ほど展示されていました。

ムソルグスキーはこの遺作展を歩きながら、心に残った10枚の絵を音楽で表現したというわけです。
作曲は急ピッチで進められ、数週間で仕上げられました。
これは作曲が遅いムソルグスキーにとっては異例なことで、彼は作曲のアイデアに溢れていたことを手紙にも残しています。

曲の間には、ムソルグスキーが歩く様子も描かれている

作品は、10枚の絵が10曲で表現されていますが、それだけではありません。
作品には、「プロムナード」(短い前奏曲、間奏曲)が挟まれています。
これは「ムソルグスキーが展覧会を歩いて回る姿」が表現されていると言われています。

こうしてできた作品ですが、ムソルグスキーの生前には『展覧会の絵』は演奏も出版もされませんでした。
ムソルグスキーが亡くなって五年後、ようやくリムスキー=コルサコフの改訂で出版されることになります。

『展覧会の絵』を有名にしたラヴェル版

『展覧会の絵』は知られた作品ではありませんでいたが、ラヴェルの編曲によって世界的に有名になります。

きっかけはロシアの指揮者クーセヴィツキーでした。
彼はロシア音楽を紹介するために、パリで演奏会を開きます。
その作品の一つとして演奏されたのが、『展覧会の絵』でした。

クーセヴィツキーはラヴェルに『展覧会の絵』の管弦楽編曲を依頼します。
ラヴェルの編曲で『展覧会の絵』にフランス音楽の命が吹き込まれ、初演は大成功を収めました。

 クーセヴィツキーの独占演奏権(5年)が切れてからは、『展覧会の絵』は世界中で演奏されるようになりました。

ムソルグスキー『展覧会の絵』の名盤

ラトル&ベルリン・フィル
2007年のジルベスターコンサートでのライブです。
芸術的な美しい音楽が進み、ラストの盛り上がりの聴きごたえは十分です。
近年の録音にしては「録音状態が良くない」という評価もありますが、一般的には十分に楽しめる音質だと思います。

巨匠ではなく、いわゆる現代的な統率のとれた演奏が好みの方にお勧めできる演奏です。

【収録情報】
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲『展覧会の絵』
ボロディン:交響曲第2番ロ短調
ボロディン:だったん人の踊り

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:サイモン・ラトル
録音:2007年12月29-31日(ベルリン、フィルハーモニー)