項目データ
初演1881年2月10日 パリ・オペラ・コミック座
原作E.T.A.ホフマン(ドイツ・ロマン派の詩人)『睡魔』『失われし幻影の物語』『議員クレスペル』
台本ジュール・バルビエ、ミシェル・カレ
演奏時間2時間30分

『ホフマン物語(Les Contes d'Hoffmann)』は、ジャック・オッフェンバック(Jacques Offenbach/1819年-1880年)によって作曲されたオペラです。

オッフェンバックはオペレッタの生みの親で、代表作として『天国と地獄』が知られています。
彼はドイツ・ケルンに生まれフランスに帰化し、フランスで活躍しました。
『ホフマン物語』はそんな彼が最後に残した作品で、彼にとって唯一のオペラでもあります。

このオペラは1877年から作曲に取り掛かりましたが、未完のままでオッフェンバックは亡くなってしまいました。
作曲者の友人であるエルネスト・ギローがそれを完成させ、パリ迎えた初演は大成功を収めました。
※『ホフマン物語』には多くの版が存在します。

ここではオッフェンバックのオペラ『ホフマン物語(Les Contes d'Hoffmann)』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

ホフマン(テノール):詩人
リンドルフ(バリトン):ニュンベルクの顧問官
ニクラウス(メゾソプラノ):ホフマンの友人
ステッラ(ソプラノ):歌手
ミューズ(メゾソプラノ):詩の女神

『オリンピア』
オリンピア(ソプラノ):人形
スパランツァーニ(バリトン):科学者
コッペリウス(バリトン):人形作り


『アントニア』

アントニア(ソプラノ):歌手
クレスペル(バス):アントニアの父
フランツ(テノール):召使い

ミラクル(バリトン):医者
アントニアの母の声(メゾソプラノ)

『ジュリエッタ』
ジュリエッタ(ソプラノ):高級娼婦
ダペルトゥット(バリトン):魔術師
シュレミール(バリトン):ジュリエッタの情夫
ピティキナッチョ(テノール):ジュリエッタの召使い

プロローグ:『ホフマン物語』のあらすじ

ニュルンベルクにあるルーテルの酒場

顧問官リンドルフはアンドレス(ステラの召使)を買収して、ステラが書いたホフマン宛ての手紙を受け取る。
手紙には逢引の約束と鍵が入っている。

 ステラは劇場のプリマ・ドンナ
リンドルフは、ステラとホフマンの仲を裂こうとしている

ホフマンが友人ニクラウスと現れ、ホフマンは『クラインザックの歌』を歌う。
そして、ホフマンは昔の失恋話を3つ語りだす。

『クラインザックの歌』

 舞台は酒場(プロローグ)から始まります。
そして、ホフマンが失恋に終わった3つの体験談を語り、
第1幕:オリンピア
第2幕:ジュリエッタ
第3幕:アントニア
最後に舞台は酒場(エピローグ)に戻ります。

第1幕:『ホフマン物語』のあらすじ

『オリンピア』ローマ、科学者スパランツァーニの書斎

ホフマンが人形に恋をする

スパランツァーニはコッペリウス(人形作り)に人形を作らせた。
そしてその人形を「娘オリンピア」としてパーティで紹介しようとしている。
そこにホフマンが訪れ、眠っているオリンピアを見て一目惚れする。

パーティがはじまると、スパランツァーニは娘オリンピア(人形)を紹介する。

オリンピアは美しい歌を歌う。(Les oiseaux dans la charmille)
途中で止まりそうになると、召使いが慌ててゼンマイを巻く。

『Les oiseaux dans la charmille』

人形が壊れる

歌が終わると、皆は食事を取りに別室へ向かう。
ホフマンはオリンピアをますます気にいり、彼女を追いまわす。
しかしオリンピアは「はい」としか言葉を発さず、ホフマンが情熱的に手を握ると彼女は出ていってしまう。

皆が戻りダンスがはじまると、ホフマンはオリンピアと踊る。
しかしオリンピアの動きが次第に早くなり、ホフマンは目が回り倒れる。
スパランツァーニがオリンピアを別室に連れていくと、機械が壊れたような音が聞こえる。

ホフマンはオリンピアが人形だと知り青ざめ、皆がそれを見て笑う。

第2幕:『ホフマン物語』のあらすじ

『アントニア』ミュンヘン、クレスペルの家

健康のため、歌を禁止されたアントニア

病に侵されているアントニア(クレスペルの娘)が、ロマンスを歌っている。(Elle a fui, la tourterelle)
クレスペルが登場し身体のために歌うことを禁止し、召使のフランツに「誰もここに入れてはいけない」と命じる。

『Elle a fui, la tourterelle』

しかしホフマンが現れるとフランツは言いくるめられてしまう。
ホフマンとアントニアは抱き合い、愛の二重唱を歌う。
歌を歌ったアントニアは体調が悪化する。

そこにクレスペルが戻ってくるので、ホフマンは隠れる。

歌い、力尽きたアントニア

続いて不気味な医者ミラクルが現れ、アントニアに「歌え」と命じる。
クレスペルは必死に止めさせ、ミラクルを追い返す。
ホフマンはアントニアの身体を心配し、また会う約束をして帰る。

すると再びミラクルが現れ、アントニアに歌うよう迫る。
力の限り歌ったアントニアは力尽き、息絶える。

ミラクルがアントニアの死を告げ、ホフマンは絶望する。

第3幕:『ホフマン物語』のあらすじ

『ジュリエッタ』ヴェネツィア、大運河に面した館
ニクラウスが高級娼婦のジュリエッタと『美しい夜、おお恋の夜』と歌っている。(Belle nuit, ô nuit d'amour)

『美しい夜、おお恋の夜(Belle nuit, ô nuit d'amour)』

ホフマンが現れ、宴会が始まると「酒の歌」を歌う。(Amis, l'amour tendre et reveur, erreur!)

シュレミールはジュリエッタを愛している。
ニクラウスはホフマンに「シュレミールに気をつけろ」と忠告する。

そこに魔術師ダペルトゥットが現れ、ジュリエッタを操り、彼女に言い寄る男たちの影を奪っていく。
ホフマンがジュリエッタに愛を告白すると、彼女は影を求める。

ホフマンが影を差し出すと、自分の姿が鏡に映らなくなり呆然とする。

やがてホフマンとシュレミールは決闘となり、ホフマンはシュレミールを刺す。
そこに舟唄が聞こえてくる。
ジュリエッタがゴンドラで遠くに去っていく。

ホフマンは騙されたことに気付き、ニクラウスに連れられ去っていく。

エピローグ:『ホフマン物語』のあらすじ

再びニュルンベルクにあるルーテルの酒場
ホフマンは酔いつぶれて、眠っている。
そこにミューズの女神が語りかける。

舞台が終わったステラが戻ってくる。
ステラはリンドルフの腕を取り、去っていく。

オッフェンバック『ホフマン物語』の映像

プレートル&コヴェント・ガーデン王立歌劇場、ドミンゴ
ホフマン役のドミンゴを中心とした素晴らしいキャストたちが、幻想的で魅力的な舞台を作り上げています。
ドミンゴは、ホフマン役を彼自身の重要なレパートリーの一つとして演じています。
演出は、数々の賞を受賞しているイギリスの名映画監督ジョン・シュレシンジャーです。

【キャスト等】
ホフマン:プラシド・ドミンゴ
オランピア:ルチアーナ・セッラ
ジュリエッタ:アグネス・バルツァ
アントニア:イレアナ・コトルバス

演奏:コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
指揮:ジョルジュ・プレートル
演出:ジョン・シュレシンジャー

収録:1981年1月2日コヴェント・ガーデン、ロイヤル・オペラ・ハウス

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