項目データ
初演1781年1月29日 ミュンヘン宮廷劇場
原作アントワーヌ・ダンシェ(Antoine Danchet/1671–1748)
台本ジャンバッティスタ・ヴァレスコ (Giambattista Varesco/1735–1805)
演奏時間3時間15分

『イドメネオ(Idomeneo)』は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart/1756年-1791年)が24歳の頃に作曲したオペラです。
モーツァルトのオペラ・セリアの傑作で、正式名は『クレタの王イドメネオ、またはイリアとイダマンテ(Idomeneo, re di Creta ossia Ilia e Idamante)』という名称です。

 ミュンヘンの宮廷から謝肉祭で上演するオペラの依頼を受けて、作曲されました。

ここではモーツァルトのオペラ『イドメネオ』のあらすじを紹介したいと思います。

登場人物

登場人物詳細
イドメネオ(テノール)クレタの王
イダマンテ(Tn or Ms)クレタの王子
イリア(ソプラノ)トロイの王女
エレットラ(ソプラノ)アルゴスの王女
アルバーチェ(テノール)王の腹心
大司祭(テノール)
神託の声(バス)

『イドメネオ』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
イドメネオ(クレタの王)は航海中に嵐に会います。
イドメネオは海神ネプチューンに「命を助けてくれる代わりに、陸に上がって最初に会った人間を生贄として差し出す。」と約束し、生き延びます。
しかし最初に出会ったのは、なんとイダマンテ(息子)でした。

イドメネオは息子を逃がそうとしますが、それがネプチューンの怒りを買います。
ネプチューンは怪物を街に送り込み、街は破壊されます。

イダマンテやイリア(イダマンテの恋人)が自分の命を差し出す覚悟ができたそのとき、イドメネオに許しが与えられます。
街に平和が戻り、オペラが終わります。


劇中での恋愛事情
イダマンテ(クレタの王子)はイリア(トロイの王女)と恋愛関係にあります。
エレットラ(アルゴスの王女)がそれに嫉妬し、二人を阻みます。

最後にイダマンテとイリアは無事結ばれます。

第1幕:『イドメネオ』のあらすじ

イダマンテはイリア(敵国の王女)に恋している

紀元前1200年:トロイ戦争の直後

イリア(トロイの王女)は、敵国クレタ島の王宮に囚われています。
その地でイリアはイダマンテ(クレタの王子)に恋をしてしまい悩んでいます。(Padre, germani, addio!)

「Padre, germani, addio!」 (Ilia)

そこにイダマンテが現れ、父イドメネオの帰還を祝ってトロイ人を解放しようと言います。
そしてイリアに禁じられた愛を語ります。(Non ho colpa)

トロイ人は解放され、クレタ人と共に平和を喜びます。
それを見たエレットラ(アルゴスの王女)はトロイ人の開放を非難します。

その時、アルバーチェ(王の腹心)から「王イドメネオの死」の知らせが入ってきます。
王子を自分のものにしたいエレットラは、王子がイリアを愛していることを嫉妬します。
そしていずれイリアが王女につくことを恐れ、復讐を誓います。(Tutte nel cor vi sento)

「Tutte nel cor vi sento」(Elettra)

神が「生け贄と引き換え」にイドメネオを助けるが、生け贄が息子イダマンテとなる

イドメネオはまだ死んではおらず、嵐の中を航海していました。
イドメネオは海神ネプチューンに「命を助けてくれる代わりに、陸に上がって最初に会った人間を生贄として差し出す。」と約束します。

しかし嵐が静まりイドメネオが陸に着くと、初めに目にしたのは息子イダマンテでした。
イドメネオは動揺し立ち去り、イダマンテは父が自分のもとを去っていったことを悲しみます。

第2幕:『イドメネオ』のあらすじ

イダマンテはアルゴスへ避難することになる

イドメネオは腹心アルバーチェに「生贄がイダマンテになった」ことを打ち明け、助けを求めます。
アルバーチェは海神ネプチューンの怒りがおさまるまで、イダマンテをエレットラ(アルゴスの王女)と共にアルゴスに行かせます。

離れ離れになったイリアはイドメネオに悲しみを歌います。
二人の愛に気付いたイドメネオは、彼が引き起こした邪悪な運命に苦しみます。(Fuor dal mar)

「Fuor dal mar」(Idomeneo)

一方でエレットラは王子イダマンテと一緒に航海に出れることを喜びます。(Idol mio, se ritroso)

神の怒りをかい、嵐と怪物が街を襲う

イダマンテとエレットラが出港の準備をし、イドメネオが見送っています。
そこで、それぞれの心情が絡み合う三重唱が歌われます。(Pria di partir, oh Dio!/Elettra, Idamante, Idomeneo)

その時、突然嵐が起こります。
ネプチューンがイダマンテを逃がしたことに怒り、怪物を送りこんだのでした。
イドメネオは自分の罪を嘆き、人々は邪悪な運命を恐れ走り逃げまどいます。

第3幕:『イドメネオ』のあらすじ

イダマンテが死を覚悟し、イリアに愛を歌う

イリアがイダマンテへの愛を歌っている(Zeffiretti lusinghieri)ところに、イダマンテが現れます。
イダマンテはイリアに「死を覚悟して怪物と戦う」ことを告げます。
二人は愛の二重唱を歌います。

「Zeffiretti lusinghieri」(Ilia)

そこにイドメネオがエレットラと共に登場します。
イダマンテはイドメネオに「なぜ私を避けるのか」と問い、エレットラは嫉妬に狂います。
イドメネオはイダマンテに国を去るよう命じ、イダマンテは出ていきます。

そこにアルバーチェ(王の腹心)が現れ、ネプチューンによって町が破壊されていることを伝えます。
アルバーチェが「どうか王・王子を救ってくれ」と歌います。(Se colà ne' fati è scritto)

市民が「生け贄はイダマンテ」であることを知り、驚く

大司祭がイドメネオに「怒りを鎮める為に生贄を差し出してくれ」と語ります。

イドメネオは生贄が息子イダマンテであることを告げます。
人々はその恐ろしい誓いに驚がくします。

イドメネオに「許し」が与えられる

イドメネオたちはネプチューンの怒りが鎮まるよう祈っています。
そこに「イダマンテが怪物を倒した」という知らせが届きます。

やがてイダマンテが現れ、イドメネオに「自分を生贄に捧げる」よう言います。
そして「愛する人が命と平安を得られるのならば、死は恐くない。」と歌います。(No, la morte)
そこにイリアが現れ「自分が生贄になる」と申し出ます。

すると天から声が降りてきて、「イドメネオを許す」「王をイダマンテに譲り、イリアを王妃にしなさい。」と告げる。

エレットラ怒り狂い(D'Oreste, d'Aiace)、その場を立ち去ります。
イドメネオは平和を告げ、人々は愛と平和を喜びます。

『イドメネオ』の映像

1982年11月6日:メトロポリタン歌劇場(ニューヨーク)

豪華キャストで固められた演奏で、『イドメネオ』を観るのであれば外せない1枚です。
ヴェルディ、プッチーニの印象の強いパヴァロッティですが、イドメネオ役も絶品です。

ポネルの演出も、このDVDが高く評価されている一因です。

役名等演奏
イドメネオルチアーノ・パヴァロッティ
エレットラヒルデガルト・ベーレンス
イリアイレアナ・コトルバス
イダマンテフレデリカ・フォン・シュターデ
アルバーチェジョン・アレクザンダー
祭司長ティモシー・ジェンキンズ
神の声リチャード・J.クラーク
演奏メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
指揮ジェイムズ・レヴァイン
演出等ジャン=ピエール・ポネル

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