項目データ
初演1792年2月7日 ブルク劇場(ウィーン)
原作ジョージ・コールマン(George Colman)とデイヴィッド・ギャリック(David Garrick)共作の同名の戯曲
台本ジョヴァンニ・ベルターティ(Giovanni Bertati/1735–1815)
演奏時間2時間40分

秘密の結婚(Il matrimonio segreto)』は、ドメニコ・チマローザ(Domenico Cimarosa/1749年-1801年)によって作曲されたオペラです。

チマローザはモーツァルトの5歳ほど年上のイタリアの作曲家で、70ものオペラを作曲しました。
その中でも『秘密の結婚』は彼の代表作で、18世紀のオペラ・ブッファとしてはモーツァルトの作品を除けば上演される数少ないオペラのひとつでもあります。

 チマローザは1791年(42歳の頃)、アントニオ・サリエリの後任としてウィーンの宮廷楽長になります。
その翌年に完成したオペラが『秘密の結婚』でした。

ここではチマローザのオペラ『秘密の結婚』のあらすじを紹介したいと思います。

登場人物

登場人物詳細
ジェロニモ(バス)金持ちの商人
エリゼッタ(ソプラノ)ジェロニモの長女
カロリーナ(ソプラノ)ジェロニモの次女、パオリーノの妻
フィダルマ(メゾソプラノ)ジェロニモの妹で未亡人
ロビンソン伯爵(バス)金持ちの伯爵
パオリーノ(テノール)ジェロニモの使用人で法律家、カロリーナの秘密の夫

第1幕:『秘密の結婚』のあらすじ

第1幕:第1場

秘密裏に結婚しているカロリーナとパオリーノは、早く公認の中になりたい

ジェロニモの家の居間
カロリーナ(金持ち商人のジェロニモの次女)はパオリーノ(ジェロニモの使用人で法律家)と秘密裏に結婚しています。

カロリーナは早く公認の仲になりたいと嘆いています。
パオリーノは、エリゼッタ(ジェロニモの長女)とお金持ちのロビンソン伯爵(パオリーノの知人)の結婚をとり持ち、その働きで結婚を認めてもらおうと計画します。

ジェロニモはパオリーノの計画にのり、皆にこの計画を聞かせます。(Udite, tutti udite)

「Udite, tutti udite」(Geronimo)

エリゼッタは、すでに伯爵夫人を気取りはじめます。

第1幕:第2場

伯爵がカロリーナを気に入ってしまい、計画が狂い始める

パオリーノが伯爵を連れてきて、皆に紹介します。
伯爵はそのような儀式はいらないと言います。(Senza, senza cerimonie)

「Senza, senza cerimonie」(Conte)

紹介の途中で、伯爵はエリゼッタではなくカロリーナを気に入ってしまいます。
そしてカロリーナを婚約者と勘違いし、自分の相手がエリゼッタと知るとがっかりします。

第1幕:第3場

パオリーノがこれ以上の結婚の秘密を黙ってられないと嘆きます。
そこに伯爵が登場し、パオリーノに結婚相手はカロリーナがいいと言います。

困って出ていったパオリーノと入れ替えに、カロリーナが登場します。
伯爵はカロリーナに愛を伝えるが、カロリーナは「田舎者だから貴族のもとへ行くのは困る。」と言い立ち去ります。(Perdonate, signor mio)

「Perdonate, signor mio」(Carolina)

第1幕:第4場

ジェロニモの家の中庭
エリゼッタは伯爵の行動を嘆き、ジェロニモとフィダルマ(ジェロニモの妹)が慰めています。
そこにパオリーノが「宴の準備ができた」と登場し、皆は出ていきます。

入れ替わりで、伯爵とカロリーナが登場します。
カロリーナは「エリゼッタのことを考えてほしい」と言いますが、伯爵は相手にしません。

二人が言い合っているところにエリゼッタが現れ、カロリーナを裏切り者と騒ぎ立てます。
そこにパオリーノが登場し、さらにジェロニモも登場します。
伯爵が「カロリーナと結婚したい」と言うと、騒ぎが最高潮を迎え幕が閉じます。

第2幕:『秘密の結婚』のあらすじ

第2幕:第1場

ジェロニモの家の居間
伯爵がエリゼッタとは結婚できないとまだ言っているので、ジェロニモは怒っています。
伯爵はジェロニモに「カロリーナと結婚できれば持参金は半分でいい」と言います。
ジェロニモは条件を受け入れ、二人は和解します。

このことを聞いたパオリーノはフィダルマに助けを求めます。
そこでフィダルマがパオリーノに言い寄ると、パオリーノは混乱し失神してしまいます。(Sento, ohimè, che mi vien male)
フィダルマはパオリーノが喜んで失神したと勘違いします。
そこにカロリーナが現れます。
カロリーナはフィダルマに抱かれているパオリーノを見て、彼が浮気をしたと誤解します。

「Sento, ohimè, che mi vien male」(Paolino, Fidalma, Carolina)

パオリーノは事情を説明しますが、カロリーナは信じません。
パオリーノは「疑うなら殺してもいい」と言い、「もう今夜二人で駆け落ちしよう」と語ります。(Pria che spunti in ciel l'aurora)

「Pria che spunti in ciel l'aurora」(Paolino)

第2幕:第2場

エリゼッタの部屋
伯爵は「エリゼッタに嫌われよう」と彼女に自分の欠点を語ります。
しかし、エリゼッタはそれを信じません。

伯爵が去った後に、フィダルマが現れます。
エリゼッタとフィダルマは「カロリーナを修道院に送り込もう」と企み、ジェロニモを説得します。

第2幕:第3場

カロリーナは突然修道院入りを告げられて、嘆いています。
伯爵が登場し、カロリーナを慰めます。

そこに皆が現れ、カロリーナは浮気者だと非難します。
エリゼッタは「伯爵を自分のものにしよう」と決意します。

第2幕:第4場

2組の結婚が認められ、ハッピーエンドで終わる

パオリーノは駆け落ちをするために、カロリーナを訪れます。(Deh, ti conforta, o cara)
二人は駆け落ちしようとしますが、人の気配で部屋に戻ります。
人の気配は"伯爵を見張りに来ていた"エリゼッタでした。

エリゼッタはカロリーナの部屋から話し声が聞こえたので騒ぎ立てます。
しかし部屋から出て来たのは伯爵ではなくパオリーノでした。

Finale:「Deh, ti conforta, o cara」 (Paolino, Carolina, Elisetta, Fidalma, Geronimo, Conte)

パオリーノとカロリーナはお互いが結婚していることを発表します。
ジェロニモは怒りますが、伯爵は「私がエリゼッタと結婚しよう」と言います。

ジェロニモは二組の結婚を認め、ハッピーエンドでオペラは終わります。

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