項目データ
初演1762年10月5日 ブルク劇場(ウィーン)
原作ギリシア神話
台本ラニエーリ・カルツァビージ
演奏時間1時間30分

『オルフェオとエウリディーチェ(Orfeo ed Euridice)』は、クリストフ・ヴィリバルト・グルック(Christoph Willibald Gluck/1714年-1787年)の作曲したオペラです。
このオペラはグルックを代表するオペラで、劇中の間奏曲〈精霊たちの踊り〉は特に知られています。

初演はイタリア語で上演されましたが、パリの初演では台本が書き替えられフランス語で上演されました。
また有名な間奏曲〈精霊たちの踊り〉はパリ初演に合わせて書き加えられました。

グルックはドイツ出身の作曲家で、時代としてはモーツァルトの少し前の時代を生き、オペラの改革者として歴史に名前を残しました。
ここではグルックのオペラ『オルフェオとエウリディーチェ』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

エウリディーチェ(ソプラノ)
オルフェオ(※)
愛の神アモーレ(ソプラノ)

※オルフェはウィーン版はカストラートが、パリ版初演ではテノールが歌いました。現代では、アルト、メゾ・ソプラノ、カウンターテノール、バリトンと様々な声種の歌手が演じています。

『オルフェオとエウリディーチェ』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」


【第1幕:この世】
オルフェオの妻エウリディーチェは、毒蛇に噛まれて死んでしまいました。
オルフェオは妻を取り戻すために「あの世」に向かいます。


【第2幕:あの世】
愛の神アモーレが「この世に連れ戻すまでは、妻の顔を見てはいけない。」ことを条件に、妻を連れ戻すことを許します。


【第3幕:この世】
妻が自分を見てくれないことに不安を感じたため、オルフェオは妻の顔を見てしまいます。
すると妻は息絶えてしまいます。

オルフェオが嘆き悲しんでいると、最後にアモーレ(愛の神)が妻の命を返してくれます。
皆がアモーレを称える中で、オペラが終わります。


第1幕:『オルフェオとエウリディーチェ』のあらすじ

妻を亡くしたオルフェオが、"神から妻を取り戻すこと"を誓う

エウリディーチェの墓の前

オルフェオの妻エウリディーチェは毒蛇に噛まれて死んでしまいました。
オルフェオは墓の前で妻の名前を三度叫び、嘆き悲しみます。

それに合わせ、羊飼いやニンフたちも嘆いています。

オルフェオは一人になると、妻を失ったことをあらためて悲しみます。(Chiamo il mio ben/Objet de mon amour)
そして神から妻を取り戻すことを誓います。

「Chiamo il mio ben」(イタリア語版)

この世に戻るまで妻の顔を見てはいけない

そこに愛の神アモーレが現れます。
アモーレはオルフェオに「妻エウリディーチェを連れ戻すために、生きたまま三途の川を渡すことを許す。」というジュピターからの言葉を告げます。
さらにアモーレは「エウリディーチェをこの世に連れ戻すまでは、彼女の顔を見てはいけない。」「そしてその理由を彼女に告げてもいけない。」と話します。

そして最後に「もしこの約束を破れば、妻とは永遠に会えなくなるだろう。」と忠告します。

第2幕:『オルフェオとエウリディーチェ』のあらすじ

オルフェオがあの世に辿り着く

冥界の入り口

復讐の女神や死霊たちが踊っています。
オルフェオがやってくると、彼らはオルフェオの周りを囲みます。

オルフェオは竪琴を美しく鳴らしながら、「お願いだ。私を憐れんでほしい。」と歌います。
死霊たちはその願いを聞き入れ、立ち去ります。

オルフェオがエウリディーチェの手を取り、地上へと向かう

天国の野原
オルフェオが冥界に入ると、彼は冥界の美しさに感動します。

しばらくすると、精霊たちがエウリディーチェを連れてきます。
オルフェオはエウリディーチェの手を取り、約束通り彼女を見ずに地上へと向かいます。

第3幕:『オルフェオとエウリディーチェ』のあらすじ

オルフェオが妻を見てしまい、妻は息絶える

森の中の洞窟

オルフェオはエウリディーチェの手を引いています。
そして「二人で地上に戻れること」を喜んでいます。

しかしエウリディーチェは「夫が自分を見てくれないこと」に不安を感じ始めます。
オルフェオは"黙って付いてくるように"と言いますが、エウリディーチェはそれを裏切りと感じ、岩の上に倒れるように腰を下ろしてしまいます。

オルフェオが我慢できずにエウリディーチェの方を見ると、エウリディーチェは息絶えてしまいます。

愛の神が、妻の命を返してくれる

オルフェオは後悔し、嘆き悲しみます。(Che farò senza Euridice/J'ai perdu mon Eurydice)
そして自ら命を絶とうとします。

「Che farò senza Euridice」(イタリア語版)

その時、愛の神アモーレが現れ、エウリディーチェの命を返してくれます。
二人は喜びあいます。

皆が愛の神アモーレを称える

アモーレの神殿

オルフェオとエウリディーチェの帰りを祝って、羊飼いたちが踊ります。
そして皆で愛の神アモーレを称えてオペラは終わります。

グルック『オルフェオとエウリディーチェ』の映像

映画版・イタリア語歌唱

このオペラ映画は、チェコにあるチェスキー・クルムロフ城で撮影されました。
バロック時代の劇場もそのまま保存されており、まさにバロック・オペラにうってつけの撮影現場です。
現代を代表するカウンターテノール、ベジュン・メータが美しく、かつ劇的に歌うオルフェオ役は必聴です。

【キャスト等】
オルフェオ:ベジュン・メータ(カウンターテノール)
エウリディーチェ:エヴァ・リーバウ(ソプラノ)
愛の神:レグラ・ミューレマン(ソプラノ)

コレギウム・ヴォカーレ1704
コレギウム1704
指揮:ヴァーツラフ・ルクス
演出:オンドレイ・ハヴェルカ

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