項目データ
初演1607年2月24日 マントヴァ宮廷(イタリア)
原作ギリシャ神話(オルフェオの物語)
台本アレッサンドロ・ストリッジョ(Alessandro Striggio/1573–1630)
演奏時間1時間45分

オルフェオ(L'Orfeo)』はクラウディオ・モンテヴェルディ(Claudio Monteverdi/1567年-1643年)によって作曲された初期バロック・オペラの傑作です。

モンテヴェルディは、1590年から1612年まで、マントヴァの宮廷に仕えました。
『オルフェオ』は、そのマントヴァ時代に作曲された作品です。
この時代に、モンテヴェルディは『聖母マリアの夕べの祈り』も作曲しています。

 モンテヴェルディのオペラはこの他には『ウリッセの帰還(Il ritorno d'Ulisse in patria)』『ポッペアの戴冠(L'incoronazione di Poppea)』などがあります。

ここではオペラ『オルフェオ』のあらすじを紹介したいと思います。

『オルフェオ』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
【1幕-2幕】
エウリディーチェは結婚式の直後に毒蛇に噛まれて死んでしまいます。
夫のオルフェオはエウリディーチェを返してもらうために、黄泉の国へ行きます。
【3幕-4幕】
オルフェオはエウリディーチェを返してもらいますが、「現世に着くまで妻を振り返ってはいけない。」という条件が付けられます。
オルフェオはその条件を破り、エウリディーチェは再び黄泉の国へ帰っていきます。
【5幕】
嘆き悲しむオルフェオのもとに、オルフェオの父・太陽神アポロが現れます。
そして二人が天に昇っていくところでオペラが終わります。

プロローグ:『オルフェオ』のあらすじ

音楽の精が登場し、これから始まる物語の幕が開けます。

主な登場人物

・オルフェオ(バリトン)
・エウリディーチェ(ソプラノ)
・プルトーネ(バス)・・・黄泉の国の王
・プロセルピナ(ソプラノ)・・・プルトーネの妻、王妃
など

第1幕:『オルフェオ』のあらすじ

オルフェオとエウリディーチェが結婚する

羊飼いやニンフたちが野原(トラキアの野)に集まり、オルフェオとエウリディーチェの婚礼を祝って歌や踊りを繰り広げています。
オルフェオはこの喜びを歌にします。(Rosa del ciel)
オルフェオの歌にエウリディーチェも歌で答えます。(Io non dirò qual sia)
二人は愛を語り合い、羊飼いやニンフたちもそれに続きます。

「Rosa del ciel」/「Io non dirò qual sia」

第2幕:『オルフェオ』のあらすじ

妻エウリディーチェが毒蛇にかまれて死ぬ

婚礼を済ませたオルフェオは、羊飼いたちと共に祝福の歌を歌い踊っています。

そこにエウリディーチェの友人、シルヴィオが登場します。
そこで「エウリディーチェが、髪飾りの花を摘んでいるときに毒蛇に噛まれて死んでしまった」と伝えられます。

オルフェオが妻を返してもらうために、黄泉の国へ旅立つ

オルフェオはエウリディーチェの死を嘆き悲しみます。(Tu se'morta)
オルフェオは黄泉の国に行き、妻を返してもらうよう頼もうと決意します。

「Tu se'morta」

オルフェオに続いて、羊飼いたちも悲しみに満ちた歌を歌います。

第3幕:『オルフェオ』のあらすじ

オルフェオが三途の川の番人を"美しい歌"で眠りにつかせる

オルフェオは黄泉の国の三途の川に辿り着きますが、川の渡し守・カロンテが「生きているものは通せない」と言います。
オルフェオが嘆願しますが、カロンテの心は変わりません。(Possente spirito)

「Possente spirito」

しかしオルフェオが歌い続けると、カロンテはその美声で眠ってしまいます。
オルフェオはその隙を見て川を渡ります。

精霊たちはオルフェオの勇気を称えて歌います。

第4幕:『オルフェオ』のあらすじ

オルフェオが妻を返してもらう。ただし、現世に着くまで妻を振り返ってはいけない。

舞台は黄泉の国。
黄泉の国の王妃プロセルピナはオルフェオの歌に感動し、王プルトーネにオルフェオの願いを叶えてあげるよう頼みます。
王プルトーネは願いを受け入れますが、「現世に帰るまでエウリディーチェを決して振り返ってはいけない」と言います。

オルフェオが約束を破り、妻は黄泉の国へ戻される

しかし、現世への途中で、オルフェオはエウリディーチェがいるか確認するために振り返ってしまいます。
するとエウリディーチェは嘆き(Ahi, vista troppo dolce e troppo amara)黄泉の国へ戻され、オルフェオは地上へと返されます。

「Ahi, vista troppo dolce e troppo amara」

精霊たちが「オルフェオは地獄に勝ったが、自らの心に負けた」と歌います。

第5幕:『オルフェオ』のあらすじ

オルフェオが父アポロ(太陽神)と天に昇る

オルフェオはエウリディーチェを再び失ったことを嘆き悲しんでいます。(Questi i campi di Tracia)
エコー(こだま)の精がそれに答えます。

「Questi i campi di Tracia」

そこにオルフェオの父、太陽神アポロが天から降りてきます。
アポロはオルフェオを励まし、不滅の生命を与えると言います。
二人は天に昇り、羊飼いたちがそれを見送ります。

モンテヴェルディ『オルフェオ』の映像

アレッサンドリーニ&スカラ座
※日本語字幕ナシ
2009年、スカラ座(ミラノ)でのライブ録音です。
演出家のロバート・ウィルソンは盛期ルネサンスのイタリア人画家ティツィアーノ(1490年頃-1576年)の油絵から舞台のインスピレーションを得たそうです。

キャスト等
オルフェオ:ゲオルク・ニグル
エウリディーチェ:ロベルタ・インヴェルニッツィ
使者&希望:サラ・ミンガルド
カロンテ:ルイージ・デ・ドナート
プロセルピナ:ラファエッラ・ミラネージ
プルトーネ:ジョヴァンニ・バッティスタ・パローディ
エコー:ロベルタ・インヴェルニッツィ
アポロ:フリオ・ザナージ
ミラノ・スカラ座管弦楽団
通奏低音:コンチェルト・イタリアーノ

指揮:リナルド・アレッサンドリーニ
演出:ロバート・ウィルソン

コンチェルト・イタリアーノ
1984年にリナルド・アレッサンドリーニによって設立された。
モンテヴェルディやヴィヴァルディに代表されるイタリアバロック音楽演奏で世界的な評価を獲得しているイタリアの古楽合奏団。

ゲオルグ・ニグル(Georg Nigl)
オーストリアのウィーン生まれで、幼少期はウィーン少年合唱団屈指のボーイソプラノ・ソリストとして活躍した。
その後はミラノ・スカラ座、バイエルン州立歌劇場、ベルリン州立歌劇場、ザルツブルク音楽祭など世界の歌劇場でバリトン歌手として歌っている。
『ヴォツェック』のタイトルロール(新国立劇場)で来日し日本のファンも魅了した。

ロベルタ・インヴェルニッツィ(Roberta Invernizzi)
ミラノ生まれのソプラノでバロックや古典派のスペシャリストとして活躍している。
ミラノ・スカラ座、ザルツブルク音楽祭、ナポリ・サン・カルロ劇場、ロンドン・ルフトハンザ音楽祭、ボルドー国立歌劇場などに出演。
これまでに60枚以上のCDの録音に参加している。

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