項目 データ
作品名 レント
作曲・作曲・脚本 ジョナサン・ラーソン
原作 プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』
初演 1996年ブロードウェイ
1998年ロンドン
1998年日本

レント(Rent)』は、プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』を基にしたミュージカルです。
ブロードウェイでは連続上演5140回(12年4か月)のロングラン公演を記録したヒット作品でもあります。

『ボエーム』では舞台は1830年代のパリでしたが、『レント』では1990年頃のニューヨークに置き換えられています。
ブロードウェイに進出した1996年には、トニー賞を4部門も受賞しました。

↑ ボエームの詳しい解説はこちら

ニューヨークで社会問題となっていた人種・セクシュアルマイノリティ・麻薬・エイズなどを絡めた若者の生活が描かれています。
人気の理由の一つには、ストーリーの他にロックテイストの美しい音楽も挙げられます。
ミュージカルが初めての方にもお勧めの作品です。

ここでは『レント』のあらすじを、曲と対応して解説していきます。

↑ その他のミュージカルはコチラから

『レント』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な30秒あらすじ
broadway
1989年 ニューヨーク

芸術家たちのニューヨークの暮らしが描かれています。
彼らには「人種・セクシュアルマイノリティ・麻薬・エイズ」など様々な個性や悩みがあります。

それぞれの出会いや別れ、人生が描かれ、「今を生きる大切さ」が最後に歌われます。

登場人物 詳細
マーク 映像作家。一度はテレビ局でお金のために働きます。最後にはそれを辞め、自分の信念をを持った映像を再び取り始めます。
ロジャー ミュージシャン。ミミと恋に落ちます(二人ともエイズ)。お互いの心はすれ違いますが、最後に二人は愛を強く確認します。
コリンズ エンジェルと出会い恋に落ちます(二人ともゲイでエイズ)。エンジェルをエイズで亡くしてしまいます。
モーリーン 自由奔放な女性で、恋人を振り回し続けます。バイセクシャル(マークが元彼氏、ジョアンヌが今の彼女)。

『レント』曲の視聴

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第1幕:『レント』の詳しいあらすじ

NYの芸術家たち(Mark,Roger)は自由な暮らしを送るが、家賃が支払えない

broadway
ニューヨーク マンハッタンのイーストヴィレッジ
1989年 クリスマスイブ

Tune Up(Mark,Roger)

ルームメイトのマークロジャーは薪で暖をとっています。
マークは物語を通してフィルムを回し続けます。

 マーク・・主人公。映像作家。元恋人モーリーンをジョアンヌに奪われたばかり。
ロジャー・・マークのルームメイト。元人気バンドのボーカリスト。元彼女の影響でヘロイン中毒になる。HIV感染で引き蘢りとなり、「死ぬ前にただ一曲の名曲を書く」ことに没頭する。下の階に住むミミに恋する。

二人の部屋に次々と電話がかかってきます。

Voice Mail #1(Markの母)

まずはマークの母からの電話です。
彼女は息子に「彼の失恋を励ます留守電」を残します。

Tune Up #2(Mark,Roger,Collins,Benny)

続いて彼らの友人のコリンズから電話がかかってきます。
彼は「ちょっとヤバいかも」と告げると、すぐに電話を切ります。

 コリンズ・・大学講師。マークとロジャーの元ルームメイト。エンジェルと恋に落ちる。ゲイ。HIV陽性。

続いて、ベニーから電話がかかってきます。
彼は「滞納している家賃を請求しに今から言いく。」と告げます。

 ベニー・・マーク、ロジャー、コリンズの元ルームメイト。金持ちと結婚し、このビルの家主に。

Rent(Mark,Roger,Benny,Collins,Joanne,Company)

しかし、彼らには家賃を支払うお金は持ち合わせていません。

コリンズとエンジェルが出会ってすぐに恋に落ちる(ゲイ)

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You Okay Honey(Homeless,Angel,Collins)

一方、先ほど電話を突然切ったコリンズは、強盗に会いケガを負っています。
それをエンジェルが見つけ、二人は出会います。
二人はすぐに惹かれ合います。

 エンジェル・・ストリートドラマー。ドラァグクイーン(女装)。コリンズと恋に落ちる。ゲイ。HIV陽性。

ロジャーは恋人を自殺で亡くし、自分もエイズで苦しんでいる

Tune Up #3(Mark,Roger)

ロジャーの恋人は半年前に「私たちはエイズなの」という言葉を残し自殺しました。
それ以来ロジャーはふさぎこんでいます。

One Song Glory(Roger)

一人になったロジャーは、死ぬ前に名曲を生み出そうともがきます。

ロジャーとミミの出会い

tea-lights

Light My Candle(Mimi,Roger)

そこにミミが「ろうそくに火をつけてくれない?」と部屋に入ってきます。
ミミとロジャーが出会い、惹かれ合います。

 ミミ・・マークとロジャーの下の階に住む。ストリッパーでヘロイン中毒者。ロジャーと恋に落ちるが、すれ違いでベニーのもとへ行き、最後にはホームレスとなる。HIV陽性。

Voice Mail #2(Joanneの両親)

一方、ジョアンヌは両親から「男みたいな服装はやめて」などと小言の留守番電話を受け取ります。

 ジョアンヌ・・ハーバード大卒の弁護士。モーリーンの恋人。モーリーンの自由さに嫌気がさし、その関係を見直し始める。レズビアン。

Today 4 U(Collins,Roger,Mark,Angel)

コリンズがようやくアパートに現れます。
彼はたくさんの食料を持ってきており、マークとロジャーは「サンタのようだ!」と喜びます。

コリンズが「新しいメンバーを紹介する!」と言うと、クリスマスの仮装(女装)をしたエンジェルも入ってきます。

ベニーが家賃の取り立てにやってくるが、皆は取り合わない

euro

You'll See(Benny,Mark,Roger,Collins,Angel)

皆が盛り上がっているところに、ベニーが家賃の取り立てにやってきます
ベニーは「付近のホームレスを立ち退かせ、ここにサイバーアートスタジオを建てるんだ!」と夢を語ります。
ベニーはマークとロジャーに「スタジオを建てたらタダで住ませてやるよ。モーリーンの抗議ライブを止めることを条件にね。」と言います。

しかし二人はそれに取り合わず、ベニーはばつが悪そうに帰っていきます。

Tango: Maureen(Joanne,Mark)

マークはモーリーンのライブ会場へ機材の修理を手伝うために出かけます。
そこで不意にジョアンヌと出会います。

 モーリーン・・アングラパフォーマー。マークの元恋人。かつてマーク、ロジャー、コリンズ、ベニーと暮らしていた。マークを振って、現在ではジョアンヌの恋人。バイセクシュアル。

二人は気まずそうですが、「モーリーンの浮気癖と気分屋な性格」で意気投合します。

Life Support(Gordon,Paul,Mark,Company)

機材を修理したマークは、コリンズとエンジェルが参加している「ライフサポート(HIVを支援する会合)」に合流します。

ロジャーは恋に憶病になっている

tango

Out Tonight(Mimi)

一方、ロジャーは一人でアパートに残っています。
ロジャーは、衣装を着替えて現れたミミに「遊びに出かけましょう!」と誘惑されます。

Another Day(Mimi,Roger,Company)

しかし一方的に熱烈に迫ってくるミミを、ロジャーは拒絶してしまいます。

 ロジャーは「エイズで自殺した元彼女」と「ヘロイン中毒のミミ」が重なって見え、ミミを非難します。

ミミは「今日を生きようよ!」と叫びます。

Will I?(Steve,Company)

ミミが立ち去ると、ロジャーはエイズによる死の苦しみを訴えます。
ライフサポートに出席している皆は、ロジャーの想いを繰り返します。

コリンズが「ニューヨークを去って、サンタフェでレストランを開く夢」を語る

On the Street(Mark,Collins,Angel,Homeless)

globe
ライフサポートの会合が終わった後、コリンズ、マーク、エンジェルは警察に暴行されているホームレスの女性を助けます。
しかしホームレスは礼を言うどころか、悪態をついて去っていきます。

Santa Fe(Collins,Angel,Mark,Company)

落ち込むマークを、コリンズとエンジェルは励まします。
コリンズは「ニューヨークを去って、サンタフェでレストランを開く夢」を語ります。

I'll Cover You(Angel,Collins)

マークはロジャーの待つアパートに戻ります。

二人きりになったコリンズとエンジェルは、「一緒に住もう」とお互いの愛を告白し合います。

モーリーンのライブが開かれ、皆で盛大に打ち上げをする

stage

We're Okay(Joanne)

一方、ジョアンヌは一度に来るいくつもの電話に対応しながら、モーリーンのライブの準備をしています。

Christmas Bells(Company)

皆が「クリスマスには縁がない」と嘆きながら、抗議活動の準備をしています。
ロジャーはミミに先ほどの件を謝り、彼女を皆との食事に誘います。

Over the Moon(Maureen)

ライブ会場
モーリーンのライブが始まります。

La Vie Bohème A(Mark,Roger,Benny,Mimi,Collins,Angel,Maureen,Joanne,etc)

ライフ・カフェ
ライブが終わると、モーリーンは仲間たちと共にライフ・カフェに移動します。
皆は「自由な人生(La Vie Bohème)」を歌い上げます。

I Should Tell You(Mimi,Roger)

ロジャーとミミは「お互いがHIV感染者」であることを初めて知ります。
お互いに心の内を告白し、二人の距離は縮まってきます。

マークとロジャーのビルが封鎖される

demonstration

La Vie Bohème B(Maureen,Collins,Joanne,Mark,Angel,Company)

ベニーの通報により、マークとロジャーのビルは封鎖され、通りでは暴動が起こっている」という知らせが入ります。

ロジャーとミミがファーストキスを交わし、皆が再び「自由な人生(La Vie Bohème)」を称え1幕は降ります。

第2幕:『レント』の詳しいあらすじ

マークの映像にテレビ局が興味を持つ

document

Seasons of Love A

皆が「Seasons of Love」を歌い、2幕が始まります。

Happy New Year A(Mark,Roger,Mimi,Collins,Angel,Maureen,Joanne)

マークやロジャーたちは、ビルが封鎖され部屋を締め出されています。
彼らは鍵を壊し、封鎖されたビルに潜り込みます。

Voice Mail #3(Markの母,Alexi Darling

無人のアパートで留守番電話が作動し、「マークの撮影した暴動のフィルムがニュースで取り上げられた。」というメッセージが母から残されます。

そしてアレクシー・ダーリング(テレビ局の社員)から、「暴動のフィルムを買いたい!全国ネットで流すのよ。契約書送るからよろしくね。」とメッセージが届きます。

Happy New Year B(Mark,Roger,Mimi,Collins,Angel,Maureen,Joanne,Benny,The Man)

皆がお祭り騒ぎの中に、ベニーが現れます。

ベニーは、ロジャーの嫉妬心を駆り立てます。

 ベニーは以前ミミと少し関係を持っていた。

それにより、ロジャーとミミは喧嘩をしてしまいます。

それぞれの恋人同士が微妙な関係に陥っている

argument

Take Me or Leave Me(Maureen,Joanne)

2月 バレンタインデーの頃
ロジャーはミミの部屋で一緒に暮らし始めました。
しかしロジャーはベニーに嫉妬し、二人の関係は良好とは言えません。

一方、モーリーンとジョアンヌは新たな抗議のリハーサルをしていますが、こちらも喧嘩続きです。

ロジャーがミミの元を去る

amsterdam

Seasons of Love B

時は過ぎ、春が訪れます。
ミミのヘロイン中毒はひどくなる一方で、ロジャーのベニーへの嫉妬も増し、二人の関係は悪化しています。

Without You(Roger and Mimi)

ロジャーはミミの元を去り、ミミは愛を失って孤独になったことに絶望します。

一方エンジェルはエイズのために余命がわずかとなっています。
コリンズがそばに寄り添い励ましています。

Voice Mail #4(Alexi Darling)

夏の終わり

マークには「テレビ局からの仕事のオファー」が入り続けています。(留守番電話)

Contact(Angel,Company)

それぞれのカップルの性的欲求が表現されるダンスが踊られます。

エンジェルがエイズで亡くなる

grave

I'll Cover You (Reprise)(Collins,Company)

エンジェルがとうとう亡くなってしまいます。
皆は悲しみ、コリンズは永遠の愛を誓います。

マークがテレビ局のオファーを受ける

document

Halloween(Mark)

マークは友人の死で考え方が変わり、「テレビ局からの仕事のオファー」を受けることを決めます。

Goodbye Love(Mark,Roger,Mimi,Collins,Maureen,Joanne,Benny

ロジャーはサンタフェへ出発し、ニューヨークを去ろうとしています。
ロジャーとミミ、モーリーンとジョアンヌの喧嘩が始まります。

そこにコリンズが現れ「喧嘩はやめろ!エンジェルが旅たち、お前たちも旅たつのか。」と彼らに忠告します。
モーリーンとジョアンヌは仲直りをしますが、ロジャーとミミは仲たがいのままです。

グループが別々の道を歩き始める

グループは崩壊し始め、ロジャーはやり場のない怒りをマークにぶつけます。

そしてロジャーもマークの元を去っていきます。
マークは孤独になってしまいます。

Goodbye Love(Mark,Roger,Mimi,Collins,Maureen,Joanne,Benny)

ロジャーのもとに、ミミが別れを告げに戻ってきます。
ミミはリハビリ施設に行くことを決めます。

コリンズはエンジェルの葬儀代が支払えないため、教会を追い出されてしまいます。
ベニーが代わりに葬儀代を出してあげます。

しかし、マークは葬儀を仕事のために断ります。

マークとロジャーの崩れかけた友情が、再び近づき始める

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What You Own(Mark,Roger)

マークは「お金のために信念のない仕事をしている」ことにストレスを感じ始めます。
マークは仕事を辞めることを決意します。

一方、ロジャーはミミを想って曲を作ります。
ロジャーはニューヨークに戻ることを決意します。

Voice Mail #5(Roger's Mother,Mimi's Mother,Mr. Jefferson,Mark's Mother)

それぞれの親が子供たちを心配し、留守番電話を残します。

マークとロジャーのもとに、瀕死のミミが運び込まれてくる

bed

Finale A(Mark,Roger,Collins,Maureen,Joanne,Mimi)

クリスマスイブ 幕開けからちょうど1年後

マークとロジャーは再び共に活動を始めています。

マークは完成した映画の準備をしています。
ロジャーも「ミミへの曲」を完成させましたが、そこにミミの姿はありません。

そこにモーリーンとジョアンヌが「瀕死のミミ」を運んでいます。

 ミミはホームレスとなり、通りに倒れていました。

ミミはロジャーに「愛している」と伝えます。

二人が愛を語りあう

Your Eyes(Roger)

ロジャーは「ミミのために書いた曲」でミミへの愛を歌います。

天国に行こうとしたミミが、突然起き上がります。
ミミは「トンネルを歩いていたら、エンジェルに会ったの。エンジェルは"戻ってロジャーの歌を聴きなさい"って言ったわ。」と語ります。

「あるのは今日だけだ!(No day but today)」

Finale B(Company)

皆が「あるのは今日だけだ!(No day but today)」と今この瞬間を歌い上げて幕は降ります。