シベリウスの「交響曲第1番」は、1899年に作曲されました。

シベリウスの初期の交響曲(第1番、第2番)は、当時の流行っていたチャイコフスキーやワーグナーの影響を受けていると言われています。
そのため大規模で後期ロマン派的な特徴を持っています。
シベリウスの交響曲と言えば「第2番」が有名ですが、同時期に書かれた第1番も美しいメロディが際立っています。

ここではそんなシベリウス「交響曲第1番」の解説と名盤を紹介したいと思います。

シベリウスの「交響曲第1番」の演奏


ウィーンフィル(指揮:バーンスタイン)

ベルリン留学中に自国の作曲家から刺激を受ける

シベリウスは1889年よりベルリンに留学しています。
そのとき(1891年)に同じフィンランドの作曲家ロベルト・カヤヌスの「アイノ交響曲」を聴いて感動し、自分も母国フィンランドを題材にした作品を作ろうと決心したそうです。

これが「クレルヴォ交響曲」に繋がり、後の彼の作品に影響を与えていきます。

Sibelius

「フィンランドの民族精神」を表現したシベリウス

シベリウスの最初の交響曲は、「第1番」ではありません。
最初の交響曲は、先ほど紹介した「クレルヴォ交響曲」(1892年)でした。
これは合唱付きの管弦楽曲で、故郷のフィンランドを題材としています。

シベリウスは「クレルヴォ交響曲」で大成功を収めます。
そしてその後、フィンランド色の濃い音楽を作曲することに力を注ぎます。
シベリウスはその功績が認められ、1897年には「フィンランドの作曲家」として国に認められ、年金が支払われるまでになります。

ロシア圧政下の中、国民を奮い立たせたシベリウス

そして「第1番」が作曲された年(1899年)は、シベリウスの代表作「フィンランディア」が作曲されたのと同じ年でした。

この頃のフィンランドはロシアの圧政下にありました。
ロシア的な音楽と悲劇性を含んだ「第1番」に、当時のフィンランド人たちは心を揺さぶられたのかもしれません。

1899年4月26日にフィンランドのヘルシンキにて初演は、作曲者自身指揮によって行われ大成功を収めました。

曲の構成

第1楽章 Andante, ma non troppo - Allegro energico

ホ短調、序奏つきのソナタ形式
序奏部ではクラリネットがフィンランドの寂しい情景を思い起こさせるような主題を奏でる。
主部の第1主題はヴァイオリンによって演奏されるが、シベリウス色の濃い民族的で豊かな音楽である。
この後の盛り上がりは初期のシベリウスならではである。

第2主題はオーボエにより穏やかな情感あふれる音楽が奏でられる。

第2楽章 Andante (ma non troppo lento) - Un poco meno andante - Molto tranquillo

変ホ長調、三部形式
第1主題はヴァイオリンとチェロにより奏でられ、これもやはり民族的なものだ。
このメロディーが2楽章全体を包み込みこむ。

最後のクライマックスでは音楽がストレートに鳴り響く。

第3楽章 Scherzo. Allegro - Trio. Lento (ma non troppo)

ハ長調、ソナタ形式。
これも同様に民族色の濃いスケルツォである。
弦楽器、木管、ホルンの掛け合いは次第に独特の雰囲気を持っていく。

第4楽章 Finale(Quasi una Fantasia). Andante - Allegro molto - Andante assai - Allegro molto come prima - Andante (ma non troppo)

ホ短調、序奏付きソナタ形式。
「幻想曲風に」と指定されており、自由な形式を持ったフィナーレである。
序奏では、第1楽章の序奏の主題が弦楽器によりユニゾンで演奏される。
その後はテンポを頻繁に変えながら交響詩のように流れていく。

コーダで急速にテンポを落としその中にテーマが現れ、最後はピツィカートで終わる。

シベリウス「交響曲第1番」の名盤

ヤンソンス指揮、バイエルン放送交響楽団によるシベリウス「交響曲第1番」です。
バイエルン放送響とヤンソンスの良好な関係を感じさせてくれる演奏で、ダイナミックな音楽を聴かせてくれます。
ヤンソンス&バイエルンの組み合わせで度々来日もしてくれています。

マリス・ヤンソンス(Mariss Jansons, 1943年1月14日 - )
ラトビアの指揮者
1979年:オスロ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任、同オケの評価を上げる。
1992年:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者
1997年:ピッツバーグ交響楽団の首席指揮者も兼任
2001年:ウィーン楽友協会の名誉会員に推挙
2003年:バイエルン放送交響楽団の首席指揮者
2004年:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の常任

バイエルン放送交響楽団
ドイツ・ミュンヘンに本拠を置くバイエルン放送専属のオーケストラ
比較的歴史の浅いオーケストラ(1949年~)ではあるが、雑誌でのオーケストラ・ランキングでは上位にランクし、ドイツを代表するシンフォニー・オーケストラとして評価を得ている。

その他の曲目一覧(目次)

その他の作品・あらすじ・歌詞対訳などは下記リンクをクリックしてください。

クラシック作品(目次)

オペラ作品(目次)

ミュージカル作品(目次)

歌詞対訳(目次)

ピアノ無料楽譜(目次)