シベリウスの「交響曲第5番」は、1915年に作曲されました。

この作品は「シベリウスの生誕50年」の祝賀演奏会のために作られた作品です。
母国フィンランドの政府の国家的行事としてお祝いされ、初演も大成功を収めました。
第1次世界大戦の動乱の中で作曲されたこの作品は、「第2番」に次いで人気のある交響曲として愛されています。

ここではシベリウス「交響曲第5番」の解説と名盤を紹介したいと思います。

シベリウスの「交響曲第5番」の演奏

指揮:レナード・バーンスタイン (Leonard Bernstein/1918年-1990年)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Wiener Philharmoniker)
[00:53]第1楽章:Tempo molto moderato-Allegro moderato-Presto
[16:10]第2楽章:Andante mosso, quasi allegretto
[26:25]第3楽章:Allegro molto-Un Pochettino largamente-Largamente assai

シベリウスの生誕50年を記念した作品

シベリウスは母国フィンランドを題材とした「クレルヴォ交響曲」(1892年)以降、「フィンランディア」など愛国的な作品を作曲していきます。
やがてシベリウスは、国際的にも名声を獲得していきます。

フィンランド政府は、この「国民的作曲家シベリウス」の生誕50年を国家的な行事として祝うことを決めました。
そしてこの祝賀演奏会のために書かれた作品が「交響曲第5番」です。
新聞や街全体も、このお祝いムードで溢れたそうです。

Sibelius

シベリウスは他の作曲の仕事も入っており多忙な生活を送っていたそうですが、何とか期日までに作曲を終わらせたそうです。

初演は大成功

初演はヘルシンキでシベリウスの50歳の誕生日(1915年12月8日)に、シベリウス自身の指揮でおこなわれました。
初演はもちろん大成功でしたが、シベリウスは1916年と1916年の二回に渡り改訂をおこないます。
4楽章が3楽章になるなど大幅な改訂がありました。

もしかすると期日の迫っていた初稿では、シベリウスは納得のいく作品まで到達できなかったのかもしれません。
また、シベリウスがこれほど大改訂をおこなった交響曲は、彼の生涯の中で「第5番」だけでした。

現在では1916年の改訂版が多く演奏されています。

「第4番」とは対照的な作品

「交響曲第5番」は、「第4番」の完成から3年後(1914年)に作曲が開始されました。
しかし作曲年は近いですが、「第4番」と「第5番」は対照的な作品となっています。

「第4番」を作曲した頃、シベリウスは喉頭癌の疑いがもたれ辛い闘病生活を送っていました。
最終的に体調は回復しますが、この「死」を感じた経験が「第4番」の音楽に影響していると言われています。

一方で「第5番」は「祝賀演奏会」のための作品です。
この2つの作品の性格が大きく異なるのは、当然のことなのかもしれません。

曲の構成

第1楽章:Tempo molto moderato-Allegro moderato-Presto

変ホ長調
初演時の第1楽章と第2楽章をまとめて「最終稿の第1楽章」となったため、複雑な構成になっていると言われている。
ソナタ形式の牧歌的な前半とスケルツォの後半からなる。
12~14.5分

第2楽章:Andante mosso, quasi allegretto

ト長調
主題はヴィオラとチェロのピッツィカートにより提示され、第1楽章とは対照的な素朴な雰囲気が印象的である。
8~10分

第3楽章:Allegro molto-Un Pochettino largamente-Largamente assai

変ホ長調
疾走するような弦のトレモロによる動機は、シベリウスが好んで使用したものである。
この主題と鐘をイメージさせるホルンの動機により音楽は進み、フィンランドの大自然を感じさせる音楽が鳴り響く。
最後に盛り上がりは最高潮に達し、鋭い和音が6度連打され全曲は終わる。
8~10分

シベリウス「交響曲第5番」の名盤

カラヤン&ベルリン・フィル

シベリウスは、カラヤンを「自分の作品のただひとりの最高の解釈者」と評したそうです。
交響曲の第4番~第7番までと、「トゥオネラの白鳥」「タピオラ」が収録されています。

ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan/1908年4月5日-1989年7月16日)
オーストリアの指揮者

1955年から1989年までベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の終身指揮者・芸術監督を務める。
ウィーン国立歌劇場の総監督やザルツブルク音楽祭の芸術監督も務めるなど、歴史上最も偉大な指揮者の一人である。
日本には11度も来日しており、日本人には小澤征爾が師事したことでも知られている。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)
世界を代表するオーケストラの一つで、日本において絶大な人気を誇る。
重厚なドイツ的サウンドを奏でながらも、バラエティに富んだプログラムを演奏し常に世界の最先端をリードしている。

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