シベリウスの「交響曲第4番」は、1911年に作曲が完成されました。

シベリウスは「交響曲第4番」の少し前に喉頭癌の疑いがかかり、手術をし闘病生活を送ります。
そして健康のために大好きだった酒やタバコも絶ちました。
「交響曲第4番」はそんなシベリウスの精神状態が表現されているとも言われています。

またシベリウスの交響曲と言えば「第2番」が人気ですが、「第4番」は彼の中で最も完成度の高い交響曲とも評されています。
初期の作品に聴かれるような印象的な長いメロディは使われずに、断片的な動機が発展し展開されていくのが特徴的です。

ここではシベリウス「交響曲第4番」の解説と名盤を紹介したいと思います。

シベリウスの「交響曲第4番」の演奏

スウェーデン放送交響楽団(Swedish Radio Symphony Orchestra)
指揮:エサ=ペッカ・サロネン(Esa-Pekka Salonen/1958年-)

名声を手にしたシベリウス

シベリウスの交響曲は「クレルヴォ交響曲」(1892年)から始まります。
「クレルヴォ交響曲」が成功し、さらに7年後の「交響曲第1番」も成功を収めたことで、シベリウスは国際的にも名声を得ます。

名声を得たシベリウスは、フィンランドの首都ヘルシンキで派手な生活を送りました。
酒とタバコも大好きだったそうです。

Sibelius

作風に変化を見せたシベリウス

それが原因となったかはわかりませんが、「交響曲2番」を作曲した頃から耳の病に悩まされたそうです。
(※1901年のイタリア旅行の頃から)
都会の生活から離れる決断をしたシベリウスは田舎のヤルヴェンパーに引っ越します。

そこで体調の回復したシベリウスは「交響曲3番」を作曲します。
この頃から彼の作風は後期ロマン派風の音楽から新古典主義風に変化を見せ始めます。

シベリウスの精神的な苦しみが反映

一度は体調が良くなったシベリウスですが、「交響曲第3番」初演の頃から再び体を崩します。
喉頭癌の疑いが持たれ、手術を繰り返します。
幸い癌は良性と判断されましたが、大好きな酒とタバコは数年間も禁止されたそうです。
「交響曲第4番」は、そんなシベリウスが病気などで苦しんだ精神的な部分が反映されていると言われています。

そして1909年頃に病気は良くなり、「交響曲第4番」は翌年に完成されました。
回復したシベリウスは、義兄のエーロ・ヤルネフェルトと北カレリア地方のコリ山地へ旅行をしています。
彼はこのコリ山地からも作曲のヒントを得たそうです。

「死」を想像させる音楽の中に「光」を感じとれる奥深さがあるのは、これらの経験が基となっているのかもしれません。

曲の構成

第1楽章:Tempo molto moderato, quasi adagio - Adagio

イ短調
チェロによる第1主題を低弦がシンコペーションのリズムで支える。
第2主題は力強い金管に導かれる。
コーダでは最初のテンポに戻り、不気味な雰囲気の中消えるように終わる。
10-12分

第2楽章:Allegro molto vivace

ヘ長調
ヴィオラの伴奏にのせて、オーボエが主題を奏でる。
コーダは長大で、スケルツォから次第に幻想曲風になる。
4-5分

第3楽章:Il tempo largo

嬰ハ短調
自由な形式による楽章で、断片的な旋律が発展していく。
10-11分

第4楽章:Allegro

イ長調
シベリウスが得意としたABAB形式
活力ある主題が第1ヴァイオリンによって奏でられる。
曲調が変わったところでチェロによる主題が登場する。
盛り上がりが最高潮に達した後、一気に静まり返りイ短調で終わる
9-10分

シベリウス「交響曲第4番」の名盤

カラヤン&ベルリン・フィル

シベリウスは、カラヤンを「自分の作品のただひとりの最高の解釈者」と評したそうです。
交響曲の第4番~第7番までと、「トゥオネラの白鳥」「タピオラ」が収録されています。

ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan/1908年4月5日-1989年7月16日)
オーストリアの指揮者

1955年から1989年までベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の終身指揮者・芸術監督を務める。
ウィーン国立歌劇場の総監督やザルツブルク音楽祭の芸術監督も務めるなど、歴史上最も偉大な指揮者の一人である。
日本には11度も来日しており、日本人には小澤征爾が師事したことでも知られている。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)
世界を代表するオーケストラの一つで、日本において絶大な人気を誇る。
重厚なドイツ的サウンドを奏でながらも、バラエティに富んだプログラムを演奏し常に世界の最先端をリードしている。

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