ランスへの旅 | Il viaggio a Reims |
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初演 | 1825年6月19日 イタリア劇場(パリ) |
原作(着想) | フランスの作家スタール夫人『コリンヌ、あるいはイタリア』から着想を得た |
台本 | ルイージ・バロッキ |
演奏時間 | 2時間40分 |
『ランスへの旅(Il viaggio a Reims)』は、 ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioachino Rossini/1792年-1868年)によって作曲された全1幕のオペラです。
フランス国王シャルル10世の戴冠式のために作曲され、1825年に初演されました。
作品自体は大成功を収めましたが、戴冠式後は演奏機会がなくなり、楽譜はロッシーニ自身によって回収されます。
そして、作品の一部は『オリー伯爵』に転用されました。
その後『ランスへの旅』が日の目を浴びるのは、それから約160年後の1984年(ロッシーニ・オペラ・フェスティバル/アバド指揮)まで待つことになります。
専門家によって楽譜の復元がなされ、復活上演は大成功を収めました。
ここではロッシーニのオペラ『ランスへの旅』のあらすじを紹介したいと思います。
登場人物
登場人物 | 詳細 |
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コリンナ(ソプラノ) | 有名なローマの女流即興詩人 |
メリベーア侯爵夫人(メゾソプラノ) | ポーランド出身、イタリアの将軍の未亡人 |
フォルヴィル伯爵夫人(ソプラノ) | 若い未亡人、オシャレに夢中 |
コルテーゼ夫人(ソプラノ) | ホテル「金の百合亭」のオーナー |
騎士ベルフィオール(テノール) | フランス人の士官、女たらし |
リーベンスコフ伯爵(テノール) | ロシアの将軍 |
シドニー卿(バリトン) | イギリスの軍人 |
ドン・プロフォンド(バス) | 学者、骨董マニア |
トロムボノク男爵(バス) | ドイツの陸軍少佐、音楽愛好家、会計係 |
ドン・アルバロ(バリトン) | スペインの提督 |
ドン・プルデンツィオ(バス) | 「金の百合亭」の医者 |
ドン・ルイジーノ(テノール) | フォルヴィル夫人の従弟 |
マッダレーナ(ソプラノ) | 「金の百合亭」のチーフ |
デリア(ソプラノ) | ギリシャ人の孤児、コリンナに保護されている |
モデスティーナ(ソプラノ) | 気の利かないフォルヌヴィル夫人の召使 |
アントニオ(バス) | ホテルのボーイ長 |
ゼフィリーノ(テノール) | 世話人 |
ジェルソミーノ(テノール) | 従者 |
『ランスへの旅』の簡単なあらすじ
時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
「国王の戴冠式のために、ランスへ出発する客たち」がホテルに宿泊しています。
ホテルの従業員たちはホテルの株を上げるために働き、宿泊客たちによるドタバタ劇が繰り広げられます。
そんな中、「馬が手に入らず、宿泊客はランスに行けない」という悲しいニュースが入り、皆は落ち込みます。
しかし「国王はランスの後に、パリでも戴冠式をあげる」というニュースが続いて入ってきて、皆は一転して喜びます。
ホテルのオーナーはパリで接待することを約束し、皆がフランスと王を称えて幕が下ります。
『ランスへの旅』のあらすじ
1825年:フランスの温泉地プロンビエールにあるホテル「黄金の百合」
ホテルには「国王の戴冠式のために、ランスへ出発する客たち」が宿泊しています。
「戴冠式の宿泊客」を満足させて、ホテルの評判を上げたい
マッダレーナ(ホテルのチーフ)は慌ただしく準備をしており、ドン・プルデンツィオ(ホテルの医者)は「健康的な食事のメニュー」の確認をしています。
そんな中、コルテーゼ夫人(ホテルのオーナー)は、「お客様に良い思い出を作らせてくださいね。」と従業員たちに語りかけます。
皆は「お客様が満足すれば、このホテルの高い評判が広まるでしょう!」と仕事に躍起になります。
"Di vaghi raggi adorno"
「出発する方々には良い天気です。」「しっかりと仕事に励んでくださいね。」と皆に語りかけます。
フォルヴィル伯爵夫人は、オシャレに夢中
そこにフォルヴィル伯爵夫人(若い未亡人、オシャレに夢中)がやってきます。
彼女は「戴冠式のための最新のファッション服」が届かないことに苛立っています。
モデスティーナ(召使)が「ルイジーノ(伯爵夫人のいとこ)に催促している」ことを伝えますが、ルイジーノの乗った馬車が道中に転覆し「衣装がメチャメチャ」になってしまいます。
夫人はショックで気を失います。
騒ぎでドン・プルデンツィオ(ホテルの医者)、トロムボノク男爵(音楽愛好家、会計係)がやって来ますが、何の役にも立ちません。
しかし「帽子だけが無事だった」ことがわかると、夫人はすっかり元気になります。
"Partir, o ciel! desio"
「モテモテのメリベーア侯爵夫人」の取り合いで、喧嘩が始まる
続いてドン・プロフォンド(学者、骨董マニア)が現れ、さらにドン・アルバロ(スペインの提督)がメリベーア侯爵夫人(ポーランド出身、イタリアの将軍の未亡人)を連れて現れます。
侯爵夫人はモテモテで、さらに現れたリーベンスコフ伯爵(ロシアの将軍)も彼女を狙っています。
二人は喧嘩を始め、コルテーゼ夫人(ホテルのオーナー)が止めに入りますが収拾がつきません。
しかしコリンナ(ローマの女流即興詩人)が美しい竪琴と歌を響かせると、騒ぎは収まります。
"Arpa Gentil"
コリンナを巡る恋も繰り広げられる
シドニー卿(イギリスの軍人)が現れます。
彼は密かにコリンナ(ローマの女流即興詩人)に想いを寄せており、彼女に匿名で花束を贈っています。
入れ違いにベルフィオール(フランスの士官、女たらし)が現れ、コリンナを口説きだします。
しかし彼女は、女たらしの彼の性格を嫌い、彼を拒絶します。
"Nel suo divin sembiante"
馬が手に入らず、宿泊客はランスに行けない
ひとしきり宿泊客のドタバタ劇が繰り広げられると、トロムボノク男爵(音楽愛好家、会計係)が真っ青になって現れます。
その理由を、ゼフィリーノ(世話人)が「馬が一頭も手に入らず、皆をランスに連れていけません。」と皆に代弁します。
皆は絶望します。
「パリでも戴冠式が開かれるニュース」でハッピーエンド
しかし、1通の手紙が事態を変えます。
手紙には「国王はランスから戻ってきた後に、後日パリでも戴冠式をする」という知らせが書かれてありました。
コルテーゼ夫人(ホテルのオーナー)の夫はパリにおり、彼女は「皆をパリで接待する」ことを約束し、皆は喜びます。
その晩、宿泊客たちによって「ホテルで前夜祭」が開かれます。
最後に皆で「フランスと国王」を称えて、オペラは終わります。
"Ah! A tal colpo inaspettato"
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