『中央アジアの草原にて』はアレクサンドル・ボロディン(Alexander Borodin/1833年- 1887年)が作曲した交響詩です。
また、音楽家としてだけではなく化学者として収入を得ていたことでも有名です。
ロシア皇帝即位25周年のために作曲された
『中央アジアの草原にて』が作曲された1880年は、ロシア皇帝アレクサンドル2世の即位25周年の年でした。
それに伴いロシアでは各地で祝賀行事が開かれました。
その中でロシア皇帝の事件を表現した活人画が予定されており、『中央アジアの草原にて』はそこで使われる音楽として作曲されました。
実際に活人画はおこなわれませんでしたが、作品はニコライ・リムスキー=コルサコフの指揮の下でサンクトペテルブルクで1880年に初演されました。
「中央アジアの草原でのロシア人とアジア人」を描く
作品はタイトルの通り『中央アジアの草原』が舞台となっています。
音楽はアジア人のキャラバン一行が、ロシア人の兵士が見張る中で砂漠を歩いている様子を表現しています。
まずはロシア風の音楽がその様子を表現し、そのあとにイングリッシュホルンがアジアの音楽を奏でます。
その砂漠地帯では馬やラクダがいるのですが、その蹄(ひづめ)の音をボロディンはピッツィカートで表現しました。
やがてアジア人の一行はロシア兵の付き添いの中、無事に砂漠を抜け出します。
そして曲の終わりではキャラバンたちは消え去っていき、ロシアのテーマだけが聞こえ終曲に向かいます。
ボロディン『中央アジアの草原にて』の名盤
【収録作品】
1. リムスキー=コルサコフ:交響組曲『シェエラザード』
2. ボロディン:交響詩『中央アジアの草原にて』
3. バラキレフ:イスラメイ(リャードフ編)
【演奏】
ヴァイオリンソロ:セルゲイ・レヴィーチン(1)
管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
【録音】
2001年11月(サンクト・ペテルブルク、マリインスキー歌劇場)
録音のメインは『シェエラザード』ですが、カップリングも名演です。
ワレリー・ゲルギエフとマリインスキー歌劇場管弦楽団があうんの呼吸で、力強く色彩豊かな音楽を奏でています。
ゲルギエフは1988年にマリインスキー歌劇場の芸術監督に就任すると、1996年には総裁も兼任し、今に至っています。
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