シベリウスの「カレリア」は、1893年に作曲されました。
15分ほどの短い作品であることから、コンサートで取り上げられる機会も少なくない作品です。
この作品は元々は「劇音楽」でしたが、「序曲」「組曲」として改編されたものが今日では聴かれています。
ここではそんなシベリウス「カレリア」の解説と名盤を紹介したいと思います。
「カレリア組曲」の演奏
フィルハーモニア管弦楽団(The Philharmonia Orchestra)
イギリスのオーケストラ
ウラディーミル・アシュケナージ(Vladimir Ashkenazy/1937年-)
ソヴィエト連邦出身のピアニスト、指揮者
新婚旅行で訪れた「カレリア」
シベリウスは1892年の「クレルヴォ交響曲」で成功を収めた後、アイノ・ヤルネフェルトと結婚します。
そして彼女と新婚旅行でカレリア地方を訪れます。
フィン人の伝説を耳にする
カレリアはフィンランドとロシアの国境近くにある地方で、フィンランド人にとっては精神的な故郷とも言われています。
ここにはフィン人(フィンランドの主な民族)の言い伝えや民謡が残っており、シベリウスは新婚旅行中にこの話を耳にしました。
フィンランドを題材とした「クレルヴォ交響曲」で成功したシベリウスにとって、この話はとても興味があるものだったのかもしれません。
カレリア地方の大学から作曲の依頼が
新婚旅行の翌年(1893年)、シベリウスはヴィープリ(ヴィボルグ)の学生教会から、野外劇の作曲を依頼されます。
ヴィープリはフィンランドとロシアの国境の境に位置し、かつてフィン人の一派カレリア人が住んでいた都市でした。
それで、シベリウスが「カレリア地方の13世紀から19世紀までの歴史」をもとに作曲したのが「カレリア」でした。
現在は「組曲」がよく演奏される
シベリウス自身の指揮でおこなわれた初演の後に、彼は「劇音楽」だったものを「序曲」と「組曲」に書き替えます。
その中で今日最も演奏される機会が多いのが「組曲」です。
「組曲」の中の第3曲はコンサートで単独で取り上げられることもあります。
「組曲」の構成
第1曲「間奏曲(Intermezzo)」約4分
劇の第3景
奥深く優美な雰囲気の主題が繰り返される
第2曲「バラード(Ballade)」約8分
劇の第4景
原曲ではバリトン独唱が入り、吟遊詩人が歌う場面が描かれている。
シベリウスらしい物思いにふけるような音楽が印象的
第3曲「行進曲風に(Alla marcia)」約5分
劇の第5景
16世紀の場面の音楽で、2つの主題からなる明るく可愛らしい行進曲
テレビのテーマ音楽にも使われたことがある
シベリウス「カレリア」の名盤
ヤンソンス指揮、バイエルン放送交響楽団によるCDです。シベリウスの人気作品である「交響曲第2番」「フィンランディア」「カレリア組曲」が収録されています。
2015年のライブ録音
彼らは、ヤンソンス&バイエルンの組み合わせで度々来日公演もしています。
マリス・ヤンソンス(Mariss Jansons, 1943年1月14日 – )
ラトビアの指揮者
1979年:オスロ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任、同オケの評価を上げる。
1992年:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者
1997年:ピッツバーグ交響楽団の首席指揮者も兼任
2001年:ウィーン楽友協会の名誉会員に推挙
2003年:バイエルン放送交響楽団の首席指揮者
2004年:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の常任
バイエルン放送交響楽団
ドイツ・ミュンヘンに本拠を置くバイエルン放送専属のオーケストラ
比較的歴史の浅いオーケストラ(1949年~)ではあるが、雑誌でのオーケストラ・ランキングでは上位にランクし、ドイツを代表するシンフォニー・オーケストラとして評価を得ている。
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