項目データ
作曲年1806年
初演1807年3月
献呈オッペスドルフ侯爵
演奏時間35分程度

ベートーヴェンの交響曲第4番は、その名の通りベートーヴェンの作曲した4作目の交響曲です。

交響曲第4番は9つの交響曲の中では、目立たない存在です。
交響曲第3番「英雄」と交響曲第5番「運命」の間に挟まれているのが、より一層そう感じさせるのかもしれません。
しかし、交響曲第4番も劣らぬ名曲です。

ここでは交響曲第4番の解説と名盤の紹介をしたいと思います。

ベートーヴェン「交響曲第4番」の演奏

[00:01]第1楽章:Adagio 変ロ長調 - Allegro vivace 変ロ長調 2分の2拍子
[11:23]第2楽章:Adagio 変ホ長調 4分の3拍子
[20:40]第3楽章:Allegro vivace 変ロ長調 4分の3拍子
[26:17]第4楽章:Allegro ma non troppo 変ロ長調 4分の2拍子

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ(Paavo Järvi, 1962年- )
演奏:ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団(ドイツ・カンマーフィルハーモニー・Die Deutsche Kammerphilharmonie Bremen)

ベートーヴェン「交響曲第4番」の解説

交響曲第4番を作曲した時期は、ベートーヴェンが積極的に作曲をした時期でもあります。
交響曲第4番も同様に短期間で作曲されています。

またこの頃のベートーヴェンは恋愛も好調で、曲調にもそれが表れています。
交響曲第4番は、交響曲第5番「運命」より遅く作曲を始めたのですが「運命」より先に完成しています。
「運命」は置いといて、4番を先に仕上げたわけです。

これも恋愛が上手くいっていることが関係しているのかもしれません。
「運命」に比べると、4番はとても暖かみのある音楽です。

Beethoven

交響曲第4番と同時期には、オペラ「フィデリオ」・ラズモフスキー弦楽四重奏曲集・ピアノ協奏曲第4番などが作曲されています。
この時期のベートーヴェンの作品は晩年とはまた違った味わいがあるので、年代別に楽しんでみるのもありかもしれません。

初演は1807年にロプコヴィツ侯爵邸での私的演奏会で、ベートーヴェンの指揮によっておこなわれました。
その数か月後にブルク劇場でベートーヴェンの指揮により公開初演がおこなわれています。

恋愛の相手とは?

では作品に影響を与えた"ベートーヴェンの恋愛"の相手とはいったい誰だったのでしょうか。
それは、ヨゼフィーネ・ブルンスヴィック(Josephine Brunsvik、1779年-1821年)です。

ベートーヴェンは彼女を「唯一の恋人」と呼びました。
ベートーヴェンとヨゼフィーネは互いに惹かれ合いましたが、それを彼女の母が邪魔をします。
母は身分を気にし、1799年にヨゼフィーネを25歳以上年上のデイム伯爵と結婚させます。
しかし、1804年デイム伯爵は病気で急死してしまいます。
後にヨゼフィーネは1810年にシュタッケルベルク男爵と再婚します。

この彼女が未婚の期間(1804年から1807年)にベートーヴェンとヨゼフィーネは恋人関係にあったそうです。

禁じられた恋愛だった!?

実はヨゼフィーネはベートーヴェンとの恋愛関係を周りに隠していたと言われています。
そして、ベートーヴェンと別れた原因は「親族からの圧力」があったからでした。

 「交響曲第4番」は、恋愛が上手くいっている時期の作品です。

ベートーヴェンは優れた音楽家でしたが、身分は決して高くはありませんでした。
「身分の違い」が彼らの恋愛を阻んだのです。

著名な作曲家からのコメント

交響曲第4番については、数多くの著名な作曲家の話が残されています。
シューマンは「2人の巨人(3番と5番)に挟まれた美しいギリシアの乙女(4番)」と言ったそうです。
ベルリオーズは「全体的に性格は活発で明るく、この上ない優しさがある」と言いました。
一般的には、ベートーヴェンの交響曲の中では、優しさにあふれた作品として捉えられています。
太陽の光が差し込んでいるような、明るく暖かい印象も受けます。

当然別の見解を示すものもあります。
ロバート・シンプソンは「交響曲第4番はギリシアの乙女ではない。巨人がとても軽快に滑らかに体操をしている。交響曲第4番には、鋼の筋肉が潜んでいる。」と言いました。
交響曲第4番はベートーヴェンの他の作品と比べると乙女に感じるかもしれませんが、作品そのものを聴くと力強さに溢れています。
ベートーヴェン色に染まった乙女だというわけですね。

ベートーヴェン「交響曲第4番」の名盤

交響曲第4番には数多くの録音が残されています。
演奏の聴き比べをして、お気に入りの演奏も見つけたいですね。

交響曲第4番の1枚目のCDを買うのであれば、間違いなくオススメできるCDです。
カラヤン指揮・ベルリン・フィルハーモニーのベートーヴェン交響曲全集が一度に手に入ります。
輸入盤で格安で購入できるだけでなく、音質も素晴らしいです。

カラヤンとベルリンフィルが脂に乗っている時期の作品です。
カラヤンの美学とベルリンフィルの名演が絡み合って、最高のハーモニーを奏でています。
カラヤンらしさが一番感じとれる時期かもしれません。

クラシック初心者の方は、このCDを買って損はないと思います。

ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan/1908年4月5日-1989年7月16日)
オーストリアの指揮者

1955年から1989年までベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の終身指揮者・芸術監督を務める。
ウィーン国立歌劇場の総監督やザルツブルク音楽祭の芸術監督も務めるなど、歴史上最も偉大な指揮者の一人である。
日本には11度も来日しており、日本人には小澤征爾が師事したことでも知られている。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)
世界を代表するオーケストラの一つで、日本において絶大な人気を誇る。
重厚なドイツ的サウンドを奏でながらも、バラエティに富んだプログラムを演奏し常に世界の最先端をリードしている。

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