項目 データ
初演 1816年2月20日 アルジェンティーナ劇場(ローマ)
原作 ボーマルシェの『セビリアの理髪師』/1775年
台本 チェザーレ・ステルビーニ
演奏時間 2時間40分

セビリアの理髪師(Il Barbiere di Siviglia)』は、ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioachino Rossini/1792年-1868年)によって作曲されました。
1816年にローマで初演され、わずか16日間で作曲されたと言われています。

同名のオペラは実はロッシーニより先にジョヴァンニ・パイジエッロ(Giovanni Paisiello/1740年-1816年)によって1782年に初演されています。
しかし、ロッシーニの作品がヒットしたことで、パイジエッロの『セビリアの理髪師』は忘れられた存在となってしまいました。

ここでは『セビリアの理髪師』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

登場人物 備考
ロジーナ(ソプラノ、メゾソプラノ)
アルマヴィーヴァ伯爵(テノール) ロジーナと最終的に結婚する
フィガロ(バリトン) 何でも屋。セビリアの理髪師のこと
バルトロ(バス) ロジーナの後見人で、遺産目当てでロジーナとの結婚を企んでいる。

「セビリアの理髪師」の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」

伯爵は、ロジーナという女性に恋をしています。
そして身分を偽った姿でお忍びで彼女に近づき、彼女との恋を成就させようとしています。

一方、バルトロ(ロジーナの後見人)は「遺産目当て」でロジーナと結婚をしたがっています。
バルトロが伯爵の行く手を邪魔します。

伯爵は何でも屋フィガロの助けを借りて、無事ロジーナと結婚します。
そしてハッピーエンドでオペラは終わります。

第1幕:「セビリアの理髪師」のあらすじ

伯爵が「ロジーナへの恋」をフィガロに相談する

舞台:セビリア(夜明け前のバルトロ邸前の広場)

アルマヴィーヴァ伯爵が学生姿に変装してこっそりと現れます。
伯爵はバルトロ家のロジーナに恋をしており、彼女の家の窓辺で歌(Ecco ridente in cielo)を歌います。
しかし、それに返答はありません。

「Ecco ridente in cielo」歌手:Alfred Kraus

すると、そこに伯爵の旧知の間柄であるフィガロ(理髪師/何でも屋)が登場(La ran la lera...Largo al factotum)します。

「La ran la lera...Largo al factotum」歌手:Leo Nucci

伯爵はフィガロに、ロジーナに恋をしていることを相談します。

 フィガロは普段ロジーナの家(バルトロ家)に出入りしている

バルトロがロジーナを監視している

そのときバルトロ家の2階の窓が開き、ロジーナが顔を見せます。
ロジーナは手紙を伯爵に渡そうとしますが、バルトロが邪魔をし手紙を渡せません。
ロジーナは手紙を下に落とし、伯爵がそれを拾い隠れます。

手紙には
後見人(バルトロ)の監視が厳しく外出できない
あなたの名前と身分が知りたい
と書かれていました。
さらに伯爵は「資産目当てで、後見人のバルトロがロジーナと結婚しようとしている」ことをフィガロから知らされます。

伯爵が身分を偽ってロジーナへ愛を歌う

しばらくしてバルトロが外出したのを確認すると、伯爵は身分を偽り「自分は貧しい学生でリンドーロという名前だ」と名乗り彼女への恋を歌います(Se il mio nome saper voi bramate)。

「Se il mio nome saper voi bramate」歌手:Juan Diego Flórez

ロジーナはそれに答えようとするが、連れ戻されてしまいます。

伯爵はバルトロ家に入りたいとフィガロに助けを求め、礼金をはずみます。
フィガロは礼金に喜び、軍人に変装して宿泊証を持ってバルトロ家に入ることを提案します。
夜が明け、フィガロはバルトロ家に入り、伯爵はその場を去ります。

ロジーナもリンドーロ(伯爵の偽名)に恋している

舞台:バルトロ家の部屋

ロジーナがリンドーロ(伯爵)への手紙を書きながら、恋心を歌っています。(Una voce poco fa)
そして、その手紙をフィガロに託そうと考えます。

「Una voce poco fa」歌手:Teresa Berganza

そこにフィガロがやって来ますが、バルトロが帰宅したためフィガロは慌てて隠れます。

バルトロは「ロジーナとの結婚」を狙っている

続いて音楽教師のバジリオが現れます。
バジリオはバルトロに「伯爵がロジーナを追ってこの地に来ている」ことを伝え、悪い噂を流して伯爵を追い出そうと提案します。(La calunnia è un venticello)

「La calunnia è un venticello」歌手:Ferruccio Furlanetto

バルトロは、「それより私がロジーナと今日中に結婚した方がいい。」と言い、二人は退場します。
二人の話を盗み聞きしていたフィガロは、その後リンドーロ(伯爵)の想いをロジーナに伝え、ロジーナから先ほどの手紙を預かります。

フィガロがロジーナのもとを去ると、そこにバルトロがやって来ます。
バルトロは便せんが1枚減っていることに気付き、誰に手紙を書いたのかを問い詰めます。
バルトロはさらに監視を強めなければいけないと非難します。(A un dottor della mia sorte)

「A un dottor della mia sorte」歌手:Claudio Desderi

伯爵が軍人に変装し、バルトロ邸に入る

そこに軍人に変装した伯爵が、酔ったふりをして登場します。
伯爵が宿泊証を見せてここに泊まると主張しますが、バルトロは免除証を探し追い払おうとします。

ロジーナはその軍人がリンドーロ(伯爵)だとすぐに気づき、バルトロのスキをみて二人は愛を語りあいます。
伯爵がロジーナに手紙を渡すと、それを見たバルトロは怒り出します。
バルトロが伯爵に襲い掛かり、伯爵が剣を抜いてそれに応戦し大騒動となります。

伯爵が身分と正体を明かす

フィガロが登場し伯爵をなだめているところに、騒動をきいた軍隊も入ってきます。
軍隊が伯爵を逮捕しようとしたところで、伯爵が本当の身分を明かします。

皆の驚きの中で1幕は終わります。

 正体が伯爵だとわかったので、軍隊は当然彼を逮捕しません。

第2幕:「セビリアの理髪師」のあらすじ

伯爵が音楽教師に変装し、教師の代役として現れる

バルトロが「酔っ払いの軍人は伯爵の手下に違いない」と言っています。
そこに病気の音楽教師バジリオの代役だと嘘をつき、バジリオの弟子アロンゾに変装した伯爵が再びやって来ます。(pace e gioia sia con voi/伯爵とバルトロの二重唱)

「pace e gioia sia con voi」歌手:Luigi Alva / Enzo Dara

アロンゾ(伯爵)は「ロジーナの手紙を手に入れた」と言ってバルトロに手渡し、バルトロに自分は見方だと信用させます。

続いてアロンゾ(伯爵)はロジーナの歌のレッスンを始めます。
ロジーナは一目でアロンゾが伯爵だと気づき、二人は愛を語り合います。

音楽教師バジリオが現れてしまい、伯爵たちは彼を追い返す

そこにフィガロがバルトロのヒゲを剃るために登場します。

フィガロが髭剃りを始めようとしたときに、病気のはずの音楽教師のバジリオが登場します。
バルトロがバジリオに「病気の具合」を尋ねますが、本当は元気なバジリオは何のことだか分かりません。
3人は何とか誤魔化してバジリオを追い返そうとします。(Don Basilio / Cosa veggo!/五重唱)

「Don Basilio / Cosa veggo!」

バルトロが「伯爵の変装」を見破り、追い出す

バジリオを追い返すと、フィガロは再びバルトロの髭剃りに取り掛かります。

伯爵とロジーナはその間に駆け落ちの相談をします。
しかし二人の会話を聞いていたバルトロが伯爵の変装を見破り、伯爵とフィガロは追い出されてしまいます。
そしてバルトロは「バジリオも企てに加担している」と思いこんでしまいます。

バルトロは伯爵にロジーナを取られる前に、彼女と結婚したい

バルトロはバジリオに問い詰めます。
バジリオは「アロンゾという人物は知らない」と言い、「アロンゾは伯爵ではないか」と話します。
バルトロは「急いで今日中にロジーナと結婚しなければいけない」と考え、バジリオに公証人を呼ぶよう頼みます。

さらにバルトロは、アロンゾからの手紙をロジーナに見せて「リンドーロはロジーナを伯爵に売り渡す気だった。」と話します。
リンドーロと伯爵が同じ人物と知らないロジーナは裏切られたと感じ、結婚を承諾します。

最後に伯爵とロジーナが結ばれる

外の嵐が静まると、フィガロとリンドーロ(伯爵)が登場します。
ロジーナは自分をもてあそんだリンドーロ(伯爵)を非難します。
伯爵は身分も金もないリンドーロを愛してくれたことに感激し、「リンドーロこそが伯爵だ」と正体を明かします。(Ah! qual colpo inaspettato!/三重唱)

「Ah! qual colpo inaspettato!」

伯爵はバルコニーのはしごから逃げようとしますが、はしごが無くなっています。

そこに公証人を連れたバジリオが登場します。
伯爵はバジリオを買収し、伯爵とロジーナは結婚証書に署名をし、結婚が成立します。

バルトロが兵士を連れて戻ってきて、フィガロと伯爵を逮捕しようとしますが、伯爵が身分を明かし抵抗は出来なくなります。

そして伯爵が「ロジーナの遺産をすべてバルトロに譲る」というと、バルトロも結婚を承諾します。
万事が解決し、結婚の祝福の中でオペラは終わります。(Di Si' Felice Innesto)

「Di Si' Felice Innesto」

『セビリアの理髪師』の映像

2005年1月にスペインのマドリードで演奏されたオペラの録音です。
ロッシーニを得意とするマエストロ、ジェルメッティが超強力なソリスト人と素晴らしい音楽を奏でています。
特に伯爵役のフローレスは必聴です。

配役 歌手
ロジーナ マリア・バーヨ
アルマヴィーヴァ伯爵 ファン・ディエゴ・フローレス
フィガロ ピエトロ・スパニョーリ
バルトロ ルッジェーロ・ライモンディ
演奏 マドリード・レアル劇場管弦楽団、合唱団
指揮 ジャンルイジ・ジェルメッティ