項目 | データ |
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作曲年 | 1801-1802年 |
初演 | 1803年4月5日 |
献呈 | カール・リヒノフスキー侯爵 |
演奏時間 | 35分程度 |
ベートーヴェンの交響曲第2番は、その名の通りベートーヴェンの作曲した2番目の交響曲です。
ベートーヴェンの作曲した9つの交響曲の中では、認知度は低いかもしれません。
演奏会でこそ聴く機会が少ないですが、魅力的なフレーズも多く馴染みやすい曲です。
ベートーヴェンは交響曲第3番で大きく花開いたと評されることもありますが、2番はまさに3番への橋渡しにふさわしい名曲です。
形式的はまだハイドンの形式に従っているものの、作曲技法に新たな試みが加えられ始めています。
ここでは交響曲第2番の解説と名盤の紹介をしたいと思います。
ベートーヴェン 「交響曲第2番」の演奏
第1楽章:Adagio molto ニ長調 4分の3拍子 - Allegro con brio ニ長調 4分の4拍子
第2楽章:Larghetto イ長調 8分の3拍子
第3楽章:Scherzo Allegro ニ長調 4分の3拍子
第4楽章:Allegro molto ニ長調 2分の2拍子
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ(Paavo Järvi, 1962年- )
演奏:ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団(ドイツ・カンマーフィルハーモニー・Die Deutsche Kammerphilharmonie Bremen)
ベートーヴェン 「交響曲第2番」の解説
交響曲第2番の作曲が始まったのは、まだ交響曲第1番の作曲中の1800年のことでした。
第1楽章の序奏のスケッチなどが、まずは書かれたそうです。
そして1802年になってから、本格的に作曲が開始されました。
1802年には作品は完成し、1803年にアン・デア・ウィーン劇場にて初演されました。
難聴に絶望したベートーヴェン
また、この頃はベートーヴェンの耳の状態が悪化してきた時期でもあります。
ベートーヴェンの聴覚が悪化し始めたのは1798年頃と言われています。
治療の効果もなく、ベートーヴェンの聴覚は戻ることはなく、悪化を辿る一方でした。
難聴になり精神的にも苦悩したベートーヴェンは、保養のためにハイリゲンシュタットを訪れました。
そこで絶望に満ちたベートーヴェンが書いたものが、あの有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」です。
ハイリゲンシュタットの遺書は、1802年10月6日に甥のカールと弟のヨハン宛てに書かれました。
この手紙には、難聴による絶望や精神的な病について書かれています。
交響曲第2番は、ベートーヴェン自身が人生に苦悩した時期に作曲した作品だと言えます。
ハイリゲンシュタットで作曲
実はこの第2番はハイリゲンシュタットで作曲されています。
しかし、交響曲第2番の音楽からは苦悩や絶望感は感じとられません。
苦悩を克服し生きる光を見出して作曲したのが交響曲第2番だったのかもしれません。
暗く感じる部分がないわけではありませんが、全体を通して希望を感じる明るい音楽になっています。
「絶望を乗り越え、希望を見つけたベートーヴェン」を、この作品から感じとることができます。
「環境」には恵まれていたベートーヴェン
「難聴」という絶望を背負っていたベートーヴェンですが、彼のまわりの環境は充実したものでした。
それはカール・リヒノフスキー侯爵との出会いです。
1800年から1806年までの間、侯爵はベートーヴェンを経済的に支援します。
またハイリゲンシュタットは自然に囲まれた穏やかな環境でした。
「穏やかな環境で、経済的な心配もない」ことが、この第2番の音楽に関係しているのかもしれません。
ちなみにベートーヴェンとリヒノフスキー侯爵は、1806年に喧嘩別れをしています。
侯爵はモーツァルトとも、最終的に金銭の問題で揉めています。
ピアノ三重奏用に編曲
交響曲第2番はベートーヴェン自身によってピアノ三重奏用に編曲されています。
当時、オーケストラは特権階級のものであり大衆が聴く機会はなかなかありませんでした。
大衆のために編曲したのがピアノ三重奏というわけです。
特権階級のためのオーケストラでしたが、その後フランス革命の影響を受けて徐々に大衆のものへと変わっていきます。
曲の構成
全4楽章で、35分程度の演奏時間です。
第1楽章:Adagio molto ニ長調 4分の3拍子 - Allegro con brio ニ長調 4分の4拍子
「第1番」に比べて、序奏が長くなっている。
またこの序奏は、「交響曲第9番」第1楽章の第1主題に似ているとも言われている。
第2楽章:Larghetto イ長調 8分の3拍子
ソナタ形式。
第3楽章:Scherzo Allegro ニ長調 4分の3拍子
三部形式。
「第1番」ではメヌエットだったものが、スケルツォになっている。
交響曲においてスケルツォが使われたのは、このベートーヴェン「交響曲第2番」がはじめてである。
ベートーヴェンの交響曲の舞曲楽章の中では最も規模が小さい。
第4楽章:Allegro molto ニ長調 2分の2拍子
ソナタ形式。ロンドソナタ形式と言われることもある。
交響曲第2番の名盤
交響曲第2番には数多くの録音が残されています。
演奏の聴き比べをして、お気に入りの演奏も見つけたいですね。
交響曲第2番の1枚目のCDを買うのであれば、間違いなくオススメできるCDです。
カラヤン指揮・ベルリン・フィルハーモニーのベートーヴェン交響曲全集が一度に手に入ります。
輸入盤で格安で購入できるだけでなく、音質も素晴らしいです。
カラヤンとベルリンフィルが脂に乗っている時期の作品です。
カラヤンの美学とベルリンフィルの名演が絡み合って、最高のハーモニーを奏でています。
カラヤンらしさが一番感じとれる時期かもしれません。
クラシック初心者の方は、このCDを買って損はないと思います。
ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan/1908年4月5日-1989年7月16日)
オーストリアの指揮者
1955年から1989年までベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の終身指揮者・芸術監督を務める。
ウィーン国立歌劇場の総監督やザルツブルク音楽祭の芸術監督も務めるなど、歴史上最も偉大な指揮者の一人である。
日本には11度も来日しており、日本人には小澤征爾が師事したことでも知られている。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)
世界を代表するオーケストラの一つで、日本において絶大な人気を誇る。
重厚なドイツ的サウンドを奏でながらも、バラエティに富んだプログラムを演奏し常に世界の最先端をリードしている。
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