目次
項目 | データ |
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初演 | 1790年1月26日 ブルク劇場(ウィーン) |
台本 | ロレンツォ・ダ・ポンテ |
演奏時間 | 2時間40分 |
モーツァルトの『コジ・ファン・トゥッテ(Così fan tutte)』は、1790年に作曲されたオペラです。
今では傑作として評価されているこのオペラですが、20世紀に入るまでは人気がありませんでした。
その大きな理由な一つは、台本が「不道徳」ということでした。
ワーグナーはこの作品を酷評し、オペラの殿堂・ミラノのスカラ座では100年以上(1826年~1951年)上演されませんでした。
『コジ・ファン・トゥッテ』は、その『フィガロの結婚』の4年後の作品です。
※『フィガロの結婚』も台本はロレンツォ・ダ・ポンテが書いています。
台本で酷評されたこのオペラですが、不思議なことに現在では「他の作品とは一線を画すユニークな台本」として評価されています。
ここではモーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ』のあらすじを紹介したいと思います。
登場人物
【姉妹】
フィオルディリージ(ソプラノ)
ドラベッラ(メゾソプラノ)
【友人】
フェルランド(テノール):ドラベッラの恋人
グリエルモ(バス):フィオルディリージの恋人
【その他】
ドン・アルフォンソ(バス):年配の哲学者
デスピーナ(ソプラノ):姉妹の女中
『コジ・ファン・トゥッテ』の簡単なあらすじ
時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
男二人は「僕たちの恋人は浮気なんてしない!」と言い、アルフォンソはそれを否定しています。
そこで、3人は恋人が浮気をするかどうか"賭け"をします。
男二人は変装し、お互いの恋人を口説きます。
すると、女性たちは恋に落ち、結婚の約束までしてしまいます。
最後に男二人は変装を解き、種明かしをします。
2組のカップルは再び愛を確認し合い、ハッピーエンドでオペラは終わります。
第1幕:『コジ・ファン・トゥッテ』のあらすじ
男3人が「女の浮気」で言い争いをする
3人は恋人のことで言い争いをしています。
フェランド、グリエルモ
「僕たちの恋人は浮気なんてしない!」
アルフォンソ
「それはありえないよ。女は浮気をするものだ。」
3人
「それでは、浮気をするか賭けをしよう。」
男性2人が軍隊へ招集(嘘)
一方、女性2人(フィオルディリージとドラベッラ)は、お互いの恋人にうっとりしています。
そこにアルフォンソが登場し
「あなたたちの恋人は戦場へ招集されました。」
「もうすぐ出発です。」
と嘘をつきます。
女性2人が悲しむ中、男性2人が現れます。
男性2人は別れを悲しむふりをし、軍へ旅たちます。
※本当は旅たっていない
「ドラベッラとフェランド」
が本来の恋人同士です。
悲しむ女性2人とは対照的な女中デスピーナ
女性2人は別れに絶望しています。
そんな仲、2人の女中デスピーナは
「悲しむなんて無駄ですよ。」
「自由に恋を楽しみましょう。」
と2人とは対称的に歌います。
女性2人が去った後、アルフォンソがデスピーナを訪れます。
そしてデスピーナをお金で買収し、自分たちの計画の味方にします。
芝居(賭け)の始まり
悲しむ女性2人のもとに、トルコ人のような2人が登場します。
そして変装した2人は、お互いの恋人を口説き始めます。
しかし女性2人、特にフィオルディリージは
「私の恋人を愛する心は、岩のように動きません。」(Come scoglio)
と恋人に貞節を誓います。
『Come scoglio』
男性2人は、「恋人が浮気をしなかった」ことに喜びます。
しかしアルフォンソは
「まだまだ。賭けは明日の朝までだ。」
「それまでは私の計画通りに動いてくれ。」
と言います。
再び口説きにかかる男性2人
一度目に失敗した男性2人が、再び口説きにかかります。
男性2人は、
「僕たちを受け入れてくれないなら、毒を飲む!」
と女性2人に言い、毒を飲みます。
※本当は毒ではない。
女性2人は、少しずつ男性2人を気の毒に思い始めます。
そこに医者の変装をした女中デスピーナが登場します。
デスピーナは不思議な石のパワーで、男性2人から毒を抜きます。
3組の心情が面白おかしく重なる1幕フィナーレ
息を吹き返した男性2人は
「あなた方は女神か!?」
と再び口説き出します。
それに対し、女性2人は怒りを表します。
アルフォンソとデスピーナは
「この怒りが、いずれ恋心に変わる」
と楽しそうにその光景を眺めています。
3組の心情が面白おかしく絡み合い、1幕は終わります。
第2幕:『コジ・ファン・トゥッテ』のあらすじ
女性2人の心境に変化が
中々浮気をしない2人に対し、デスピーナが
「女は15歳になったら、恋人を夢中にする方法を知ってないと。」
「嘘をつく方法も知らないとね。」
と歌います。(Una donna a quindici anni)
『Una donna a quindici anni』
2人の心も少しずつ変化し始めます。
ドラベッラが
「さっきの人のどっちが好み?」
「私は黒髪の方かな。」
と言うと、
フィオルディリージは
「私は金髪の方かな。」
と答えます。
そこに男性2人がアルフォンソと共に現れます。
彼らは先ほどの失態を謝罪し、許しを求めます。
浮気心が生まれ始める
グリエルモはドラベッラ(フェランドの恋人)と
フェランドはフィオルディリージ(グリエルモの恋人)と一緒に散歩に出掛けます。
やがて2組は別々に行動します。
ドラベッラの方が恋に積極的なことが、このことからもわかります。
2人きりになると、ドラベッラは遂にグリエルモに心を許します。(il core vi dono)
『il core vi dono(ドラベッラとグリエルモの二重唱)』
一方、フィオルディリージは自分の軽率さを恥じ、中々心を許しません。
明暗の別れた男2人
男2人は合流します。
フェランドは
「賭けは僕たちの勝ちだ!」
「君の恋人フィオルディリージは浮気しなかったよ。」
と上機嫌に話します。
それに対しグリエルモは
「ドラベッラはあやしいかも・・・」
「愛の証にこの絵姿を僕にくれたよ。」
と絵姿を見せます。
フェランドは激しく怒り、そして絶望します。
浮気心に葛藤するフィオルディリージ
一方、フィオルディリージは、
「金髪の方(フェランド)に恋をしたかも。」
と相談しています。
ドラベッラは
「これで私たちは2人とも花嫁ね!」
「彼らが戦場から戻ってきたころには、私たちは人妻よ。」
と浮気に賛成します。
フィオルディリージも遂に落ちる
しかし、フィオルディリージは誘惑に中々なびきません。
そこにフェランドが現れ、最後の力を振り絞り情熱的に口説きます。
そして遂にフィオルディリージはフェランドに心を許します。(fra gli amplessi in pochi istanti)
『fra gli amplessi in pochi istanti(フィオルディリージとフェランドの二重唱)』
「女はみんなこうしたものだ(Così fan tutte)」
男性2人が嘆き悲しむ中、アルフォンソが
「女はみんなこうしたものだ(Così fan tutte)」
と語り、2人もそれも同調します。
そこにデスピーナが現れ、
「2人があなたたちと結婚するって!」
と伝えに来ます。
「結婚式中」に軍隊が帰還
合唱も加わる中、華やかな音楽と共に結婚式がはじまります。
結婚式は順調に進みます。
しかし女性2人が結婚証書に署名をしたときに、突然遠くから太鼓の音が鳴り響きます。
太鼓の音は「軍隊の帰還の音楽」でした。
女性2人は恋人が帰ってくることに焦ります。
ネタばらし→ハッピーエンド
男性2人は隠れて変装を解き、元の姿で現れます。
そして女性2人が「別の男と結婚証書に署名した」ことを責めます。
女性2人が慌てる中、男性2人は「実は自分たちが変装し騙していた」ことを明かします。
女性2人は浮気を謝罪し、男性2人はそれを許します。
最後はお互いに仲直りをし、元のカップルに戻ってハッピーエンドでオペラが終わります。
モーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ』の映像
ムーティ&ウィーン・フィル1983年ザルツブルク音楽祭でのライブ映像です。
アライサ、バトルなどの豪華キャストと、ムーティ&ウィーン・フィルによる極上の『コジ・ファン・トゥッテ』が楽しめます。
【キャスト等】
フィオルディリージ:マーガレット・マーシャル
ドラベッラ:アン・マレイ
グリエルモ: ジェイムズ・モリス
フェルランド:フランシスコ・アライサ
デスピーナ: キャスリーン・バトル
ドン・アルフォンソ:セスト・ブルスカンティーニ
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:リッカルド・ムーティ
演出:ミヒャエル・ハンペ
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