項目データ
初演1831年3月6日 ミラノ・カルカーノ劇場
原作ユージューヌ・スクリーブ(Eugene Scribe/フランスの劇作家)
台本フェリーチェ・ロマーニ
演奏時間2時間20分

『夢遊病の女(La sonnambula)』は、ヴィンチェンツォ・ベッリーニ(Vincenzo Bellini/1801年-1835年)によって作曲されたオペラです。
※『夢遊病の娘』とも訳されます。

ミラノでの初演では当時のスター歌手たちを揃え大成功を収め、すぐに他の都市でも上演されました。
『夢遊病の娘』はこれまでのベッリーニのオペラに比べて、単純で素朴であったため新しいベッリーニの音楽として評価されたそうです。
一方同年のベッリーニのオペラ『ノルマ』などと比べると重厚さに欠けるため、地方によっては評価が別れました。

ここではベッリーニのオペラ『夢遊病の女(La sonnambula)』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

登場人物詳細
アミーナ(ソプラノ)村で評判の美人、自覚症状なしで夢遊病にかかっている
エルヴィーノ(テノール)若い村の地主、アミーナの婚約者
リーザ(ソプラノ)宿屋の女主人。エルヴィーノに恋をしている
テレサ(メゾソプラノ)アミーナの養母
ロドルフォ伯爵(バス)久しぶりに帰郷したこの村の領主

など

『夢遊病の女』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」

アミーナとエルヴィーノは結婚を約束しています。

そんな時「夢遊病」にかかっているアミーナは夜中に無意識に彷徨い、ロドルフォ伯爵のベットで寝てしまいます。
エルヴィーノは恋人の潔白を信じず、別の女性に結婚まで申し込んでしまいます。

 夢遊病・・無意識の状態で、歩いたりし再び眠りにつく。
その間の出来事は記憶にない。

その後、エルヴィーノは「アミーナの夢遊病の様子」を直接目にします。
そしてエルヴィーノは彼女の潔白を理解し、彼女に謝罪します。

二人のよりが戻り、ハッピーエンドでオペラが終わります。

第1幕:『夢遊病の女』のあらすじ

スイスのある村

アミーナとエルヴィーノの結婚の日

「アミーナとエルヴィーノの結婚」を祝うために村人たちが登場します。
しかしエルヴィーノに恋をしているリーザ(宿屋の女主人)だけは、それを悲しんでいます。

 アミーナ・・村で評判の美人
エルヴィーノ・・・若い村の地主

そこにアミーナが養母テレサと現れ、「母への感謝と、自身の喜び」を歌います。(Come per me sereno...Sovra il sen)

「Come per me sereno...Sovra il sen」

続いてエルヴィーノが登場し、結婚証書に署名し、アミーナに指輪を贈ります。(Prendi: l'anel ti dono)
そして「明日、明るくなったら教会で式をあげよう」と語ります。
「Prendi: l'anel ti dono」

見知らぬ男(ロドルフォ)が村に来る

その時馬車の音が聞こえ、見知らぬ男が登場します。
その男は、「久しぶりに帰郷した、この土地のの領主」ロドルフォでした。

この村には「幽霊が出る噂」がある

ロドルフォは故郷を懐かしみ、アミーナを見て彼女の美しさを歌います。(Vi ravviso,o luoghi ameni)

やがて日が暮れると、皆は「この村には幽霊が出る」と噂をしだします。
ロドルフォはそれに興味を持ち、リーザの宿に泊まることにします。

「Vi ravviso,o luoghi ameni」

一方、エルヴィーノは「ロドルフォがアミーナの美しさを称えた」ことに嫉妬しており、アミーナと言い争いを始めます。
しかし、二人はやがて仲直りをし、愛を確かめ合って退場します。

「幽霊の正体はアミーナ」だった

宿ではロドルフォがリーザを口説いており、リーザもその気になっています。
そのとき突然物音がするのでリーザは驚き、ハンカチを落として去っていきます。

そこにアミーナが現れます。
彼女は眠りながらエルヴィーノの名を呼び、結婚式の夢を見ています。

 夢遊病・・無意識の状態で、歩いたりし再び眠りにつく。
その間の出来事は記憶にない。

ロドルフォは「幽霊の正体は、夢遊病で歩き回っているアミーナだ」と気付きます。
やがてアミーナはロドルフォのベッドで眠りにつくので、ロドルフォはそのままにしておきます。

アミーナが浮気者と勘違いされ、責められる

それを見ていたリーザは、アミーナを裏切り者と勘違いし、エルヴィーノに知らせに行きます。

エルヴィーノはベッドに寝ているアミーナをみて、その裏切りに怒り狂います。
そして「結婚はやめだ!お前とは別れる!」と叫びます。
身に覚えのないアミーナは潔白を主張しますが、村人たちも加わって一斉に責め立てます。

アミーナが母の腕に倒れ掛かったところで、1幕が終わります。

第2幕:『夢遊病の女』のあらすじ

エルヴィーノがアミーナから指輪をもぎ取る

アミーナと母テレサが悲しみに暮れる中、エルヴィーノが「すべては壊れてしまった。」と嘆きながら現れます。(Tutto è sciolto)
アミーナはエルヴィーノに無実を再び訴えますが、エルヴィーノは聞く耳を持ちません。

「Tutto è sciolto」

村人たちが登場し、「伯爵(ロドルフォ)は、アミーナが潔白と言っている。」「もうすぐ彼が来る」と言いますが、エルヴィーノの怒りはおさまりません。
ついには、アミーナから指輪を取り上げてしまいます。

皆はエルヴィーノを非難し、エルヴィーノは絶望して立ち去ります。

恋人を信用できないエルヴィーノ

アミーナを許せないエルヴィーノは、リーザに愛を語っています。
そして結婚の申し込みまでしてしまいます。

そこにロドルフォが登場し、アミーナが夢遊病であることを説明します。
しかし、エルヴィーノは全く信じようとしません。

続いてテレサ(アミーナの養母)が現れます。
テレサは「アミーナがやっと寝たから静かにしてくれ」と言い、エルヴィーノの花嫁がリーザに変わっていることに驚きます。
テレサはロドルフォの寝室に落ちていたハンカチを見せ、「リーザがロドルフォの寝室にいた」ことを訴えます。

エルヴィーノは「リーザにも裏切られた」と嘆きます。

夢遊病のアミーナが現れる

そこに夢遊病で外を歩いているアミーナが現れます。

アミーナは無意識の中でも潔白を訴え、エルヴィーノの幸せを祈っています。
そして取り上げられた指輪のことを呟いています。

エルヴィーノはようやく彼女の潔白を信じ、過ちを悔い、彼女に指輪を返します。
皆が「アミーナ万歳!」と叫ぶと、アミーナは意識を取り戻し、喜びを歌いあげます。(Ah! non giunge)

「Ah! non giunge」

皆が二人を祝福し、二人が教会に向かう中でオペラは終わります。

『夢遊病の女』の映像

2009年3月:メトロポリタン歌劇場(ニューヨーク)
日本語字幕ナシ

「フローレスとデセイ」という2人のスター歌手が共演した「夢遊病の女」です。
「夢遊病の女」の録音映像を語るには外せない名盤の一つで、ベルカントオペラの醍醐味を堪能できます。
時代設定は現代に置き換えられていますが、とても見やすい舞台で物語に集中できます。

配役等演奏
エルヴィーノフアン・ディエゴ・フローレス
アミーナナタリー・デセイ
ロドルフォ伯爵ミケーレ・ペルトゥージ
演奏メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱団
指揮エヴェリーノ・ピド
演出メアリー・ジマーマン

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