モーツァルトの歌曲「Das Veilchen(すみれ)」は、彼の数ある歌曲の中でも特に有名な曲の一つです。
有節歌曲ではなく、いわゆる通作形式で書かれており、すみれと羊飼いの娘が見事に描かれています。
歌詞はゲーテの詩が用いられており、1785年にウィーンで作曲されました。

1781年、職を解かれたモーツァルトは、ザルツブルクを離れウィーンでフリーの音楽家として活動をはじめます。
この曲はその頃の作品です。

ここでは「Das Veilchen(すみれ)」の対訳・日本語訳を紹介したいと思います。
それぞれの単語の意味も掲載していますので参考にしてください。

少し不自然ですが、なるべく歌詞と対訳は行が対応するように、かつ単語の意味をなるべくそのまま載せています。

「Das Veilchen(すみれ)」の名演

バーバラ・ボニー(Barbara Bonney, 1956年4月14日 - )
アメリカのソプラノ歌手

「Das Veilchen(すみれ)」の歌詞1

Ein Veilchen auf der Wiese stand,
gebückt in sich und unbekannt;
es war ein herzigs Veilchen.
Da kam ein' junge Schäferin
mit leichtem Schritt und munterm Sinn
daher, daher,
die Wiese her und sang.

「Das Veilchen(すみれ)」の対訳1

一本のすみれが草原に立っていた
身をかがめて、気付かれずに
それはかわいらしいすみれだった
そこに若い羊飼いの娘がやって来た
軽やかな足どりと、朗らかな心で
そこから そこから(こちらへ)
牧場をこちらへと歌った

単語の意味

ein/1つの・1人の
Veilchen/すみれ
Wiese/草地・草原・牧草地
stehen/立っている
gebückt/bückenの過去分詞
bücken/身をかがめる
unbekannt/見知らぬ
war/seinの過去形
herzig/かわいらしい・愛らしい

da/そこに
kam→kommen/来る
jung/若い
Schäferin/羊飼いの娘
leicht/軽い
Schritt/歩み・歩調
munter/元気の良い・活発な
Sinn/意味・感覚・心・気持ち
daher/そこから
singen/歌う

「Das Veilchen(すみれ)」の歌詞2

Ach! denkt das Veilchen, wär' ich nur
die schönste Blume der Natur,
ach, nur ein kleines Weilchen,
bis mich das Liebchen abgepflückt
und an dem Busen matt gedrückt,
ach, nur, ach nur
ein Viertelstündchen lang!

「Das Veilchen(すみれ)」の対訳2

ああ、すみれは思う、もし自分が
自然の中で最も美しい花だったら
ああ、少しの間だけでも
愛しい人(娘)に摘み取られて
胸に押しあてられて、ぐったりとなるのに
ああ、たった、ああ たった
15分間だけでも

単語の意味

denken/思う・考える
schön/美しい
Natur/自然・自然界・本質
klein/小さい・少数の・短い
Weilchen/しばらくの間
Liebchen/愛しい人・かわいい人
abpflücken/摘み取る
Busen/胸
matt/ぐったりした
drücken/押す
Viertelstunde/15分

「Das Veilchen(すみれ)」の歌詞3

Ach, aber ach! Das Mädchen kam
und nicht in acht das Veilchen nahm,
ertrat das arme Veilchen.
Es sank und starb, und freut' sich noch:
und sterb' ich denn, so sterb' ich doch
durch sie, durch sie,
zu ihren Füßen doch!

「Das Veilchen(すみれ)」の対訳3

ああ、でも ああ!少女はやってきて
そのすみれに注意も払わずに
かわいそうなすみれを踏みつけてしまった
それ(すみれ)は垂れ下がり、死んでしまったが、それでも喜んでいた
彼女によって、彼女によって
彼女の足元で(死ねるのだから)!

単語の意味

aber/しかし
Mädchen/女の子・少女
achten/注意を払う・気をつける
arm/貧しい・かわいそうな
sinken/沈む・倒れる・垂れ下がる
sterben/死ぬ
freuen/喜ぶ
noch/まだ・それでも
durch/~によって・~を通って
Fuß/足