ゲノフェーファGenoveva
初演1850年の6月25日 ライプツィヒ国立歌劇場
原作クリスティアン・フリードリヒ・ヘッベルの戯曲『ゲノフェーファ』
台本ロベルト・ライニックの台本をもとにシューマン自身が改訂
演奏時間2時間

『ゲノフェーファ(Genoveva)』は、ロベルト・シューマン(Robert Schumann/1810年-1856年)が作曲したオペラで、彼の唯一完成したオペラです。
初演ではシューマン自身が指揮を振りましたが、成功とまではいきませんでした。

 シューマンのピアノ曲『子供のためのアルバム』(1848年)や『森の情景』(1848年-1849年)は、この頃の作品です。

また当時のシューマンは精神障害に悩まされ、ひどい高所恐怖症も患っていました。
初演の際には宿泊先に2階に上がることができず、1階に部屋を変更したほどだったそうです。
1844年から1850年までドレスデンで暮らしたシューマンですが、初演(1850年6月)の数か月後に音楽監督打診の話がきたデュッセルドルフに移ることとなります。

ここではシューマンのオペラ『ゲノフェーファ』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

登場人物詳細
ジークフリート(テノール)ブラバントの領主
ゲノフェーファ(ソプラノ)ジークフリートの妻
ゴーロ(バス)ジークフリートの友人、家臣
ヒドゥルフス(バス)トリエルの司教
マルガレータ(アルト)ゴーロの乳母、魔女
ドラーゴ(バス)侍従

『ゲノフェーファ』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
新婚のジークフリートは、妻ゲノフェーファを残して、戦地へ赴きます。

ジークフリートに恨みを持つマルガレータ(魔女)は、彼の不在を利用して復讐を企みます。
またゲノフェーファを密かに愛するゴーロも、彼女に振られたことで「彼女への復讐」を決意します。

ゲノフェーファは二人の策略で「不倫の冤罪」をかけられ、ジークフリートは「妻の殺害」を命じるまでに発展します。
しかし最後にすべての疑いが晴れ、二人が再び結ばれてオペラが終わります。

第1幕:『ゲノフェーファ』のあらすじ

ゴーロは密かにゲノフェーファを愛している

ジークフリート城の中庭
新婚のジークフリート(ブラバントの領主)は「ローマ帝国皇帝の命令」で出兵することになり、城を離れなければなりません。
ジークフリートは「ゲノフェーファ(妻)の世話と領地の管理」を、ゴーロ(彼の友人で部下)に委ねます。

ヒドゥルフス(司教)が皇帝を称え士気を高める中、ゴローは「私も一緒に行きたい…」と出兵できないことを嘆きます。(Möcht ziehn mit ihnen)

 ゴーロは密かにゲノフェーファを愛しています。

"Möcht ziehn mit ihnen"

ゴーロが「失神したゲノフェーファ」にキスをする

ジークフリートはゲノフェーファ(妻)に別れを告げ、ゴーロに後を託します。

ジークフリートが出発すると、ゲノフェーファは悲しみの余り失神してしまいます。
ゴーロは、失神したゲノフェーファに思わずキスをしてしまいます。

マルガレータ(魔女)が「ゴーロの恋心」を復讐に利用しようとする

ゴーロは我に返り後悔しますが、それを見ていたのがマルガレータ(ゴーロの乳母、魔女)でした。
マルガレータはゴーロに「ジークフリートが戦死すれば、ゲノフェーファが手に入る。」と、そそのかします。

 マルガレータは「魔女」だということを理由に、ジークフリートから城を追放されました。
彼女はゴーロを利用して、復讐を企んでいます。

ゴーロは次第に心を動かされ、マルガレータに「恋を助けるために、城に残ってくれ!」と頼むまでになります。

第2幕:『ゲノフェーファ』のあらすじ

ゴーロの愛情が憎悪に変わる

ゲノフェーファの部屋
ゲノフェーファが、夫との惜別を悲しんでいます。(O weh des Scheidens, das er tat)

"O weh des Scheidens, das er tat"

そこにゴーロが現れ「戦いに勝利し、軍も帰ってくる」と知らせに来ます。
ゲノフェーファが「夫に会える!」とゴーロと喜んでいると、我を忘れたゴーロが彼女に愛の告白をします。

そしてゴーロが無理やり抱きついてくるので、ゲノフェーファは「私はお前の上司の妻よ!帰れ!クズ!」と彼を罵倒します。
ゴーロの愛情は、一気に憎悪へと変わっていきます。

ゴーロが噂を利用して、ゲノフェーファを陥れようと企む

ドラーゴ(侍従)がゴーロを訪れ「ゲノフェーファが副司祭と不倫関係にあると噂になっている。」と相談に来ます。
ゴーロは、その噂を利用しようと考えます。

そして、ゴーロはドラーゴに「ゲノフェーファの寝室に隠れて、事実を確かめる」ように提案します。

 ゲノフェーファの噂は『嘘』です。
彼女はオペラの最後まで貞節を貫きます。

続いてマルガレータが「ゲノフェーファ宛の手紙」を盗んで、ゴーロのもとに現れます。
手紙には「ジークフリートは負傷して療養している」と書かれてあります。
マルガレータは「看病に行ったふりをして、ジークフリートを毒殺してやる!」と企みます。

ゲノフェーファが「不倫の冤罪」で捕まる

一方、ゴーロは「ドラーゴが寝室に隠れた後に」寝室を訪れ、ゲノフェーファに「あなたに不倫の疑いがある。」と告げます。
そしてドラーゴが隠れていたのが見つかります。

ドラーゴは「愛人に仕立て上げられて」その場で殺され、ゲノフェーファは捕えられてしまいます。

 ドラーゴもゲノフェーファも、実際は無実です。

第3幕:『ゲノフェーファ』のあらすじ

ジークフリートは妻を信じている

シュトラースブルクの宿

マルガレータが身分を隠して「ジークフリートの療養地」に看護師として潜入しています。

マルガレータは計略通り毒薬を調合しますが、ジークフリートには全く効きません。
さらに「ゲノフェーファの不倫」をほのめかし「過去が見える魔法の鏡」の話をしますが、彼は興味を持ちません。

ゴーロの計略に引っ掛かり、ジークフリートが「妻の殺害」命じる

そこにゴーロが「ゲノフェーファの不倫」を伝えに現れます。
ジークフリートは怒り絶望し、ゴーロに「ゲノフェーファの殺害」を命じます。

ゴーロは「自分の行き過ぎた行動の結末」に恐怖を覚えます。
一方、ジークフリートは「魔法の鏡」のことを思い出し、鏡で「ゲノフェーファの過去」を確かめるためにマルガレータの家へ向かいます。

ジークフリートが「魔法の鏡」を割ってしまう

マルガレータの部屋
ジークフリートとゴーロが「マルガレータの家」を訪れます。
ジークフリートが「魔法の鏡を貸してほしい」と頼むと、マルガレータは「壊さないことを条件」に渡します。

そしてジークフリートが鏡をのぞくと、「ゲノフェーファとドラーゴの仲の良い様子」が映ります。
ジークフリートは鏡をたたき割り、去っていきます。

ドラーゴの亡霊が、マルガレータを呪う

すると、割れた鏡からドラーゴの亡霊が現れます。
亡霊はマルガレータに「ジークフリートに真実を告げなければ、火あぶりになるぞ!」と脅します。

マルガレータは恐れおののき、ジークフリートの後を追います。

第4幕:『ゲノフェーファ』のあらすじ

ゴーロは最後まで改心しない

城近くの岩山
従僕(バスタザールとカスパール)に連れられて、ゲノフェーファが現れます。
ゲノフェーファは残酷な運命を嘆き(Die letzte Hoffnung schwindet)、十字架に祈りを捧げます。

そこにゴーロが現れ、「あなたを殺すようジークフリートに命じられた」ことを告げ、その証拠に「ジークフリートの剣と指輪」を見せます。
さらにゴーロは「私と一緒になれば助ける」と伝えますが、当然ゲノフェーファはそれを断ります。

ゴーロは従僕に「ゲノフェーファの殺害」を命じ、去っていきます。

ゲノフェーファの疑いが晴れ、二人は再び結ばれる

従僕は「ゲノフェーファの殺害」を躊躇しています。
そこに真実を知ったジークフリートが、マルガレータに連れられて現れます。

ジークフリートはゲノフェーファに許しを請い、二人の愛情は再び強く結ばれます。
最後に皆が「城に戻ってきた二人」を称え、オペラが終わります。

その他の曲目一覧(目次)

その他の作品・あらすじ・歌詞対訳などは下記リンクをクリックしてください。

クラシック作品(目次)

オペラ作品(目次)

ミュージカル作品(目次)

歌詞対訳(目次)

ピアノ無料楽譜(目次)