『野ばら(Heidenröslein)』は、オーストリアの作曲家フランツ・シューベルト(Franz Schubert/1797年-1828年)によって書かれました。
詩は1799年に出版されたゲーテのものを使用しています。

シューベルトの初期の傑作として知られており、『魔王』と並んでとても有名な作品です。

 シューベルトはドイツ歌曲において大きな功績を残したことから、「歌曲の王」とも呼ばれています。
 歌詞に登場するバラは、「女性を例えたもの」だと言われています。
そう解釈すると、「男性が女性を捨てた」ことを歌った作品だということになります。
これはゲーテの実体験からくるものだとも考えられています。

ここでは『野ばら(Heidenröslein)』の歌詞と対訳を紹介したいと思います。
それぞれの単語の意味も掲載していますので参考にしてください。
不自然な場合もありますが、歌詞と日本語訳は可能な範囲で行が対応するように訳しています。

専門家の日本語訳ではありませんので、参考程度にご覧ください。

『野ばら(Heidenröslein)』の名演

ペーター・シュライアー(Peter Schreier/1935年- )
ドイツのテノール歌手

『野ばら(Heidenröslein)』の歌詞1

Sah ein Knab' ein Röslein stehn,
Röslein auf der Heiden,
War so jung und morgenschön,
Lief er schnell, es nah zu sehn,
Sah's mit vielen Freuden.

Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.

『野ばら(Heidenröslein)』の日本語訳1

ある男の子が1本の小さなバラを見つけました、
荒野の上に小さなバラを、
(バラは)とても若々しく、朝のように美しいものでした
彼は急いで走って、それを近くで見ようとしました、
大喜びでそれを見ました

小さなバラよ、小さなバラよ、赤い小さなバラよ
荒野の小さなバラよ

単語(ドイツ語)の意味

sehen/見る、目をやる、目に入る
Knabe/少年、男の子
Röslein/小さいバラ
stehen/立っている、ある
auf/上に
Heide/荒野、原野
war/seinの過去形
jung/若い
und/そして
Morgen/朝
schön/美しい
laufen/走る
schnell/早い
nah/近い
viel/多くの
Freude/喜び

Röslein/小さいバラ
rot/赤い
Heide/荒野、原野

『野ばら(Heidenröslein)』の歌詞2

Knabe sprach: ich breche dich,
Röslein auf der Heiden!
Röslein sprach: ich steche dich,
Dass du ewig denkst an mich,
Und ich will's nicht leiden.

Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.

『野ばら(Heidenröslein)』の日本語訳2

男の子は言いました「君を折ってやる
荒野の小さなバラよ。」
小さなバラは言いました「君を刺すよ、
君が永遠に僕のことを覚えているように。
僕はそれを許すわけにはいかないよ。」

小さなバラよ、小さなバラよ、赤い小さなバラよ
荒野の小さなバラよ

単語(ドイツ語)の意味

Knabe/少年、男の子
sprechen/話す
ich/私は
brechen/折る
dich/君を
Röslein/小さいバラ
Heiden/荒野、原野
stechen/刺す
dass/~するために
du/君が
ewig/永遠の
denken/思う、覚えている
leiden/被害を受ける、苦しむ、許す、耐える

Röslein/小さいバラ
rot/赤い
Heide/荒野、原野

『野ばら(Heidenröslein)』の歌詞3

Und der wilde Knabe brach
's Röslein auf der Heiden;
Röslein wehrte sich und stach,
Half ihm doch kein Weh und Ach,
Musst' es eben leiden.

Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.

『野ばら(Heidenröslein)』の日本語訳3

そして ひどい男の子は折りました
荒野の小さなバラを
小さなバラは抵抗して、刺しました
しかし 悲痛な声は彼には何も効かず
(バラは)とにかく苦しまざるをえませんでした

小さなバラよ、小さなバラよ、赤い小さなバラよ
荒野の小さなバラよ

単語(ドイツ語)の意味

und/そして
wild/野生の、乱暴な、ひどい
Knabe/少年、男の子
brechen/折る
Röslein/小さいバラ
Heiden/荒野、原野
wehren/抵抗する、逆らう
stechen/刺す
helfen/手伝う、役に立つ
kein/~ない
Weh/悲しみ
Ach/嘆息
Weh und Ach/悲痛な声
eben/とにかく
leiden/被害を受ける、苦しむ、許す、耐える

Röslein/小さいバラ
rot/赤い
Heide/荒野、原野

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