グスタフ・マーラー(Gustav Mahler/1860年~1911年)の「交響曲第4番」は、1899年から1900年にかけて作曲されました。
演奏時間50分とマーラーの中では規模の大きくない作品で、親しみやすい音楽でも愛されています。
第4楽章ではソプラノ独唱が登場しますが、ボーイソプラノを起用することもあります。
その歌詞は「少年の魔法の角笛」からとられました。
また「交響曲第2番」「交響曲第3番」「交響曲第4番」で3部作と言われており、その中では最もシンプルで明るい作品です。
ここではマーラー「交響曲第4番」の解説と名盤を紹介したいと思います。
マーラー「交響曲第4番」の演奏
指揮:クラウディオ・アバド(Claudio Abbado, 1933年- 2014年)
演奏:ルツェルン祝祭管弦楽団(Lucerne Festival Orchestra)
独唱:マグダレーナ・コジェナー(Magdalena Kožená', 1973年 - )
2009年のライブ映像 [00:03]第1楽章:Bedächtig, nicht eilen(中庸の速さで、速すぎずに)
[16:33]第2楽章:In gemächlicher Bewegung, ohne Hast(落ち着いたテンポで、慌ただしくなく)
[26:08]第3楽章:Ruhevoll, poco adagio(静かに、少しゆるやかに)
[47:36]第4楽章:Sehr behaglich(非常に心地よく)
マーラーのウィーン進出
1891年からの6年間、マーラーはハンブルク歌劇場で指揮者として活動していました。
指揮者としての地位を確立したマーラーでしたが、次第に忙しくなりハンブルク時代の後半ではほとんど休みがないほどでした。
その忙しさは、マーら自身が契約を打ち切ることを希望したほどでした。
そのこともありマーラーはウィーンへ進出することを決意します。
ユダヤ教からカトリックへ
しかし、「マーラーがユダヤ人(ユダヤ教)」であることがウィーン進出の障害となりました。
当時のウィーンではワーグナーが唱えた反ユダヤ主義が根付いいたためです。(ワーグナーは1883年に既に亡くなっています。)
マーラーは1897年にユダヤ教からローマ・カトリックへと改宗します。
そして、同年に念願のウィーン宮廷歌劇場の音楽監督に就任しました。
マーラーが37歳の頃でした。
1898年にはウィーン・フィルハーモニーの指揮者にも就任します。
南オーストリアに別荘を建てる
マーラーの作曲活動は、主に夏季休暇を利用しておこなわれていました。
「交響曲第4番」は1899年の夏にアルト・アウスゼーでを書き始められます。
またマーラーは同年にオーストリア南部ヴェルター湖畔のマイアーニックに土地を購入し、別荘を建て始めました。
翌年(1900年)に別荘は完成し、それ以降マーラーは好んでマイアーニックを訪れるようになります。
「交響曲第4番」は1900年8月にマイアーニックで書き上げられました。
この他にも、交響曲第5番から第8番、「リュッケルトの詩による五つの歌曲集」や「亡き子をしのぶ歌」がここで作られています。
「交響曲第3番」の第7楽章が使われている。
「交響曲第3番」は6楽章で構成されていますが、元々は7楽章から成りました。
この使われなかった第7楽章が、「交響曲第4番」の第4楽章として使用されました。
こののちに「交響曲第4番」第4楽章として組み込まれます。
また「交響曲第3番」には、もともと標題が付いていました。
作曲当時、第7楽章には「子供が私に語ること」という標題が付いていました。
「フモレスケ」
またマーラーはこの作品に「フモレスケ」(Humoreske)という副題を付けようかと考えていたそうです。
「フモレスケ」とは、直訳すると「ユーモア・滑稽さ」のことです。
マーラー「交響曲第4番」の名盤
アバド&ベルリン・フィル、フレミング2005年5月、ベルリン、フィルハーモニーでの録音です。
「交響曲第4番」の他に、ベルクの「初期の七つの歌」も収録されています。
「交響曲第4番」第4楽章はもちろん、ベルクでのフレミングの歌唱も必聴です。
クラウディオ・アバド(Claudio Abbado/1933年6月26日-2014年1月20日)
イタリア、ミラノ出身の指揮者
1990年にカラヤンの後任としてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督に就任。
2002年までその職を務めた。
1972年:ミラノ・スカラ座音楽監督に就任(1977年には芸術監督に)
1983年:ロンドン交響楽団音楽監督に就任
1986年:ウィーン国立歌劇場音楽監督に就任
1990年:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督に就任
ルネ・フレミング(Renée Fleming, 1959年2月14日 - )
アメリカのソプラノ歌手
リヒャルト・シュトラウス、モーツァルト、ヘンデル、ベルカント、ドイツ歌曲、フランスオペラと多彩なレパートリーを持ち、世界のオペラ界をリードしている。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)
世界を代表するオーケストラの一つで、日本において絶大な人気を誇る。
重厚なドイツ的サウンドを奏でながらも、バラエティに富んだプログラムを演奏し常に世界の最先端をリードしている。
その他の曲目一覧(目次)
その他の作品・あらすじ・歌詞対訳などは下記リンクをクリックしてください。