モーリス・ラヴェル(Maurice Ravel/1875年~1937年)の「スペイン狂詩曲(Rapsodie espagnole)」は、1908年彼が32才頃のに初演された作品です。
ラヴェルにとって初めての本格的な管弦楽の作品でもあります。

ここではラヴェル「スペイン狂詩曲」の解説と名盤を紹介したいと思います。

スペインへの思いが強かったラヴェル

ラヴェルはフランス人ではありますが、生涯を通してスペインに関心を強く持っていました。
当時フランスではスペインの文化が流行していましたが、それとはまた違った奥深いものだったと言われています。

それにはラヴェルがスペインに近いバスク地方のシブールで生まれたことも関係しているのかもしれません。
またラヴェルの母はバスク人だったことも関係しているのでしょう。
バスク地方はフランスとスペインにまたがった地方で、独特な文化を形成していました。
ラヴェルの母はラヴェルにその地方の民謡を歌ってあげたり、地方の様子を話してくれたそうです。
「客観的なスペイン」ではなく「ラヴェルの思い描くスペイン」がここには表現されているのかもしれません。

ravel

ラヴェルは音楽家との交流においても、マヌエル・デ・ファリャ(作曲家)、リカルド・ビニェス(ピアニスト)などのスペイン人音楽家と交流を持っていました。

ラヴェルの数少ないオペラ「スペインの時」

ラヴェルはオペラ作品をあまり書いていませんが、オペラ「スペインの時」もスペインを舞台にした作品です。
上演時間が1時間に満たない短い作品ですので、機会があれば是非観てみてください。
オペラのイメージとは少し異なったラヴェルらしい美しい流れる様な音楽が印象的です。

同じくラヴェルのオペラ「子供と魔法」も短いオペラのため、これらとセットで上演されることもよくあります。
グラミー賞受賞で盛り上がったサイトウキネン(長野県松本市)でのオペラ「子供と魔法」も「スペインの時」とセットで上演されました。

「ハバネラ」は別時代に作曲された。

「スペイン狂詩曲」は4曲の組曲で構成されていますが、第3曲「ハバネラ」は1895年に既に作曲されていました。
残りの3曲(「夜への前奏曲」「マラゲーニャ」「終曲」)は時期の近い1907年~1908年に作曲されました。
そのため「ハバネラ」にだけ、第1曲「夜への前奏曲」の主題が登場しません。

4曲ともに元々は2台のピアノのために書かれた曲でしたが、それを管弦楽用にしてものがこの作品です。

第1曲:Prélude à la nuit(夜への前奏曲)

ここで登場する「F-E-D-Cis」の主題が作品全体の重要なポイントとなります。
神秘的な音楽が印象的です。

第2曲:Malagueña(マラゲーニャ)

スペインのアンダルシアに位置するマラガの民族音楽にのったファンダンゴ(スペインのダンス)です。
第1曲の主題がトランペットに乗って奏でられます。

第3曲:Habanera(ハバネラ)

ハバネラと言えば「カルメン」を思い出しますが、ハバネラとはキューバの民俗舞曲でその独特なリズムが特徴的です。
ここでもハバネラの独特なリズムが様々な楽器によって奏でられています。

第4曲:Feria(祭り)

その名の通り祭りの盛り上がる様子が描かれており、風景が表れてくるような音楽です。

ラヴェル「スペイン狂詩曲」の名盤

カラヤンとベルリンフィルによる録音で、その他にラヴェル「ボレロ」とムソルグスキー「展覧会の絵」が収録されています。
いずれも1985年前後の録音です。

ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan/1908年4月5日-1989年7月16日)
オーストリアの指揮者

1955年から1989年までベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の終身指揮者・芸術監督を務める。
ウィーン国立歌劇場の総監督やザルツブルク音楽祭の芸術監督も務めるなど、歴史上最も偉大な指揮者の一人である。
日本には11度も来日しており、日本人には小澤征爾が師事したことでも知られている。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)
世界を代表するオーケストラの一つで、日本において絶大な人気を誇る。
重厚なドイツ的サウンドを奏でながらも、バラエティに富んだプログラムを演奏し常に世界の最先端をリードしている。

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