項目データ
初演1918年12月14日 メトロポリタン歌劇場(ニューヨーク)
原作ディディエ・ゴルドの戯曲『外套』
台本ジュゼッペ・アダーミ
演奏時間50分

『外套(がいとう/Il tabarro )』は、ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini/1858年-1924年)によって作曲されたオペラです。

このオペラは、『外套』『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』を一夜で連続して上演する三部作としてニューヨークのメトロポリタン歌劇場で初演されました。
『ジャンニ・スキッキ』は大成功をおさめた一方で、『外套』と『修道女アンジェリカ』の評価は別れたそうです。

ここではプッチーニのオペラ『外套』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

ミケーレ(バリトン):船長
ジョルジェッタ(ソプラノ):ミケーレの妻

ルイージ(テノール):ミケーレのもとで働く沖仲仕、ジョルジェッタと不倫している

ティンカ(テノール):酒好きの沖仲仕
タルパ(バス):沖仲仕
フルゴーラ(メゾソプラノ):その妻
小唄売り(テノール)

※沖仲仕・・・船への積み込みをする人たち

『外套』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」

ジョルジェッタは、ルイージ(夫ミケーレの部下)と不倫をしています。

二人は、「ジョルジェッタのマッチの火」を合図に逢引の約束をします。
しかし、夫ミケーレがパイプに火をつけると、ルイージがそれを「ジョルジェッタの火」と勘違いし現れてしまいます。

ルイージがミケーレに「ジョルジェッタへの愛」を語ると、ミケーレは激高します。
ミケーレがルイージを締め殺し、悲劇の中でオペラは終わります。

全1幕:『外套』のあらすじ

パリ・セーヌ川、岸にはミケーレの伝馬船が繋がれている

ジョルジェッタが夫ミケーレのキスを避ける

ミケーレは操舵輪の側でパイプを加えて夕日を見ています。
妻のジョルジェッタは洗濯物をとりんこんだり仕事をしていますが、やがて夫に気付いて声をかけます。

ミケーレは妻ジョルジェッタに「沖仲仕たちに酒を振る舞うよう」頼み、妻にキスしようとします。
しかしジョルジェッタはそれを避けます。
ミケーレは気を悪くし、船倉へと降りていきます。

 沖仲仕・・・船への積み込みをする人たち

沖仲仕たちが酒を交わす

若い沖仲仕ルイージ(ジョルジェッタの不倫相手)たちが現れ、酒を飲み始めます。
やがてルイージとジョルジェッタが踊り始めたときに、ミケーレが戻ってきます。
踊りは中断され、沖仲仕たちは船倉へと降りていきます。

舞台にはジョルジェッタとミケーレが残ります。
二人は間もなくパリを離れる予定で、「ルイージを連れていくかどうか」で口論します。
そこに小唄売りがやってきて、お針娘たちと歌を聴かせます。

さらにボロ買いのフルーゴラがボロ袋をかついで現れます。
続いて沖仲仕たちも船倉から現れて、帰り支度を始めます。

フルーゴラはティンカがまだ酔っぱらってることをからかうと、ティンカは「飲むときは何も考えたくない!」と返します。
するとルイージもティンカに同調して「お前の言う通りだ、考えない方がいい。」と過ぎていく青春を嘆き、歌います。(Hai ben ragione)

「Hai ben ragione」

皆は帰路につき、遠くから悲し気に船のサイレンが聞こえます。

ジョルジェッタとルイージの危険な愛

ジョルジェッタとルイージは二人きりになります。
ジョルジェッタが「(夫ミケーレに)見つかったら殺される」と恐れますが、
ルイージは「別れるなら死んだほうがましだ!」と取り合いません。

そこにミケーレが現れ、「ルイージがまだ残っている」ことに驚きます。
ルイージは「あなたを待っていたんです。ルーアンまで連れていってください。」とミケーレに話します。
ミケーレは「あそこはまともなところじゃない。」と受け入れず、再び船倉へ降りていきます。

ジョルジェッタとルイージは「ジョルジェッタのマッチの火」を合図に1時間以内に再び会うことを約束します。
そしてルイージは去っていきます。

ジョルジェッタがミケーレを拒む

再びジョルジェッタのもとに、ミケーレが現れます。
ミケーレは「どうして俺をもう愛してくれないんだ?」と尋ねると
ジョルジェッタは、「勘違いよ。私は愛している。」と冷たく返します。

ミケーレは「もう一度戻ってきてくれ!」とさらに訴えますが、ジョルジェッタは受け入れず船室へ消えていきます。

ミケーレは「アイツは眠らずに誰を待っているのだ!?」と嫉妬に炎を燃やします。(Nulla! Silenzio!)
そしてミケーレが「パイプに火をつける」と、ルイージが「ジョルジェッタのマッチの火」と勘違いをして現れます。

「Nulla! Silenzio!」

ミケーレがルイージを殺す

ミケーレはルイージを捕まえ、「何しに来た!?愛人か!?」と叫びます。
ルイージが「彼女を愛している」と白状すると、ミケーレはルイージの喉を締めて殺してしまいます。
そしてルイージの死体にマント(外套)を被せます。

そこにジョルジェッタが現れ、「あなたを苦しめたことを後悔している。許して。」と語ります。
そしてジョルジェッタが近づいてくると、ミケーレはマントを開けます。
ジョルジェッタはルイージの死体を見て驚き、泣き叫びます。

ミケーレがジョルジェッタを死体に押し付けたところでオペラが終わります。

『外套』の映像

2008年3月:ミラノ、スカラ座
プッチーニ三部作がスカラ座で同時上演された際のライブ映像です。

外套以外の2作品もバルバラ・フリットリ(修道女アンジェリカ)、レオ・ヌッチ(ジャンニ・スキッキ)をはじめとしたスター歌手を起用し充実したオペラとなっています。
三部作が同時上演された映像の中では、外すことのできない1枚です。

【外套のキャスト】
ミケーレ:フアン・ポンス
ジョルジェッタ:パオレッタ・マッローク
ルイージ:ミロスラフ・ドヴォルスキー
イル・ティンカ:カルロ・ボージ
イル・タルパ:ルイージ・ローニ
ラ・フルーゴラ:アンナ・マリア・キウーリ
小唄売り:アンドレア・カレ

指揮:リッカルド・シャイー
演出:ルカ・ロンコーニ

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