邦題 | 西部の娘 |
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初演 | 1910年12月10日 メトロポリタン歌劇場(ニューヨーク) |
原作 | デイヴィッド・ベラスコの舞台劇「黄金の西部の娘」 |
台本 | カルロ・ザンガリーニ、グエルフォ・チヴィニーニ |
演奏時間 | 2時間15分 |
『西部の娘(La Fanciulla del West)』は、ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini/1858年-1924年)が作曲したオペラです。
ゴールドラッシュに沸くカリフォルニア(アメリカ)が舞台となったオペラで、ジャズの要素も含まれた作品です。
初演はトスカニーニ(指揮)、エンリコ・カルーソー(ジョンソン)をはじめとする最高のキャストが集まり、大成功を収めました。
1907年にメトロポリタン歌劇場に招待されたプッチーニは、「黄金の西部の娘」(原作)の舞台を見てオペラ化を考えたそうです。
ちなみにプッチーニはアメリカは訪れていますが、日本(蝶々夫人)と中国(トゥーランドット)は訪れたことはありません。
ここでは、プッチーニのオペラ『西部の娘』のあらすじを紹介したいと思います。
主な登場人物
登場人物 | 詳細 |
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ミニー(ソプラノ) | 酒場「ポルカ」の女主人 |
ジョンソン(テノール) | 正体はラメレス(ギャングのボス) |
ランス(バリトン) | 保安官 |
ウォーレス(バリトン) | 流し歌い |
ニック(テノール) | 酒場のバーテンダー |
アシュビー(バス) | 運送会社の支配人 |
ハリー、ジョー、トリン、ベッロ、ハッピー、シド、ソノーラ、ラーキンズ(鉱夫)
ウォークル(インディアンの女、ミニーの召使)、ビリー(ウォークルの結婚相手)
カストロ(ギャングの一味)、郵便配達人
『西部の娘』の簡単なあらすじ
時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
舞台:ゴールドラッシュに沸くカリフォルニア
ミニーとジョンソンは、恋に落ちます。
しかしジョンソンの正体は「お尋ね者のギャングのボス」でした。
ジョンソンは捕まって、死刑が宣告されます。
しかしミニーが駆けつけ、ミニーの嘆願で、ジョンソンは解放されます。
二人はカリフォルニアに別れを告げ、新たな土地へと旅たっていきます。
第1幕:『西部の娘』のあらすじ
19世紀:ゴールドラッシュに沸くカリフォルニア
国内外の人々がカリフォルニアに殺到し、皆は一獲千金を夢見ました。
酒場はゴールドラッシュで賑わっている
酒場「ポルカ」
酒場「ポルカ」は、鉱夫たちで賑わっています。
ウォーレス(流し歌い)が「家族は遠くで何をしているのかなあ…」と故郷を懐かしむと、皆もそれに同調します。 (Che faranno i vecchi miei)
"Che faranno i vecchi miei"
お尋ね者ラメレス(ギャングのボス)が近くに潜んでいる
皆がトランプの賭けでひと騒ぎしているところに、アシュビー(運送会社の支配人)とランス(保安官)が入ってきます。
アシュビーは「ギャングのボス(ラメレス)がこの近くにいるから、ここも用心しろよ。」と語ります。
ミニー(酒場の女主人)は皆の人気者
しばらくするとランス(保安官)とソノーラ(鉱夫)が「ミニー(酒場の女主人でアイドル)」を巡って喧嘩を始めます。
そこにミニーが入り、仲裁に入ります。
皆はミニーにそれぞれの想いと共にプレゼントを渡し、ミニーは彼らに聖書を読んであげます。
ミニーが、かつて恋に落ちたジョンソンと再会する
やがてランス(保安官)とミニー(女主人)の2人になります。
ランスはミニーに「妻と離婚するから、結婚して!」「全財産をあげるから!」と愛を歌います。
しかしミニーは「本当に愛し合える人じゃないとダメ!」と拒絶します。(Laggiù nel Soledad)
"Laggiù nel Soledad"
そこにニックが「ジョンソンと名乗る外国人」を連れてきます。
ミニーはかつてジョンソンと出会ったことがあり、お互いに好意を持っていました。
二人は偶然の再会に喜び、ランス(保安官)はそれに嫉妬します。
そこにアシュビー(運送会社の支配人)が、カストロ(ギャングの一味)を捕えて現れます。
カストロが「ラメレス(ジョンソン)の隠れ家」をランスたちに教えると、彼らは隠れ家に向かっていきます。
カストロがジョンソンに「あいつらをごまかすためにわざと捕まった。」と事情を話すと、カストロも連れられて去っていきます。
残ったミニーとジョンソンは、次第に心の距離を縮めていきます。
そしてミニーは「あとで私の家に来てください。」と告げると、ジョンソンはそれを約束し去っていきます。
第2幕:『西部の娘』のあらすじ
ミニーとジョンソンの愛が盛り上がる
ミニーの家
ミニーがウォークル(召使)に「二人分の食事を用意して。掃除もお願いね。」と頼みます。
間もなくしてジョンソンが登場すると、ウォークルは帰っていきます。
ここでミニーとジョンソンの愛は急速に盛り上がっていきます。
そしてジョンソンが雪の中を帰ろうとしたときに、外でピストルの音がします。
ミニーが「外にギャングがいるのよ。帰らないで。」と言うので、ジョンソンは泊まることにします。
ジョンソンの正体はラメレス(ギャングのボス)だった
そこに来客が現れるので、ミニーは慌ててジョンソンを隠します。
現れたランス(保安官)は「ジョンソンの正体はラメレス(ギャングのボス)」だと知らせ去っていきます。
ジョンソンは「仕方なく父の後を継いだだけなんだ!一緒に遠くに行って、真面目に暮らしたいんだ。」と語ります。
ミニーは彼を信じることができず、彼を外に追い出します。
ジョンソンが銃で撃たれる
すると銃声が鳴り、外でジョンソンが撃たれてしまいます。
ミニーはジョンソンを家に入れ、彼を屋根裏に隠します。
そこにランス(保安官)が入ってきて、ジョンソンを捜索しますが、見つかりません
しかしランスがミニーに「愛している!お前が欲しい!」と無理やり抱きつこうとしたとき、屋根裏から血が落ちてきます。
ミニーが「いかさまトランプ」でジョンソンを救う
ジョンソンは見つかってしまいますが、ミニーは「3回勝負のポーカー」を提案します。
そしてトランプで「ジョンソンの処遇」が決まることになります。
ミニーはいかさまで賭けに勝ち、ランスを追い出します。
ミニーが泣きながら狂ったように「ハハハ。私の人…」と失神したジョンソンを抱えたところで、2幕が終わります。
第3幕:『西部の娘』のあらすじ
ジョンソンが捕まる
カリフォルニアの大森林
ランスは「ジョンソンを逃したこと」を悔しがっています。
やがて遠くから声が聞こえると、遂にジョンソンが捕えられます。
アシュビー(運送会社の支配人)は、ジョンソンをランスに引き渡します。
ジョンソンに死刑が宣告される
ジョンソンは「私は殺人はしていない!」と言います。
しかし皆が「死刑だ!」と叫び、「縛り首」の刑となります。
ジョンソンは「ミニーに私の死を知らせないでくれ!」と頼み、「彼女は私が今頃遠くにいると信じている、彼女は私の唯一の花だ!」とミニーへの愛を歌い上げます。(Ch’ella mi creda libero e lontano)
"Ch’ella mi creda libero e lontano"
ミニーがジョンソンを救出し、二人で新たな地へ旅立つ
そこに知らせを聞いたミニーが、急いで駆けつけます。
ミニーはジョンソンへの愛を語り、「私が皆を許したように、彼を許して。」と懇願します。
皆は「死刑」を叫びます。
しかし普段からミニーにお世話になっている皆は、次第に彼女の想いに心を打たれていきます。
最後にジョンソンが解放され、ミニーとジョンソンが「新たな遠くの地」へ旅立つところでオペラが終わります。
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