項目データ
作曲年1799-1800年
初演1800年4月2日
献呈スヴィーテン男爵
演奏時間30分弱

ベートーヴェンの交響曲第1番は、その名の通りベートーヴェンの作曲した記念すべき1作目の交響曲で、29歳の時の作品です。
ベートーヴェンの初期の代表作として有名です。

この時期にピアノソナタ第8番「悲愴」・七重奏曲・6つの弦楽四重奏曲なども作曲されています。
また交響曲第1番を作曲した翌年にはピアノソナタ第14番「月光」も作曲されています。
まさにベートーヴェンが大作曲家として歩み始めたのがこの頃です。

ベートーヴェンの9つの交響曲のうち、第1番・第2番はハイドン・モーツァルトなどの古典派の作曲技法を受け継いで作曲されました。
古典的な様式美を踏襲しつつも力強い音楽で、ベートーヴェンらしさが垣間見れる作品でもあります。
私たちにとっては古典的な作品ですが、当時の聴衆や音楽関係者にとっては斬新にうつったそうです。
中にはその作風に困惑する聴衆もいたほどでした。

ここでは交響曲第1番の解説と名盤の紹介をしたいと思います。

ベートーヴェン「交響曲第1番」の演奏

[00:01]第1楽章:Adagio molto - Allegro con brio ハ長調 4分の4拍子 - 2分の2拍子
[8:26]第2楽章:Andante cantabile con moto ヘ長調 8分の3拍子
[14:50]第3楽章:Menuetto Allegro molto e vivace ハ長調 4分の3拍子
[16:15]第4楽章:Adagio - Allegro molto e vivace ハ長調 4分の2拍子

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ(Paavo Järvi, 1962年- )
演奏:ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団(ドイツ・カンマーフィルハーモニー・Die Deutsche Kammerphilharmonie Bremen)

ピアニストとして生計を立てていた

ベートーヴェンは作曲家として名声を得るまでは、ピアニストとして生計を立てていました。
1792年にウィーンに移り住んでからは、まずはピアニストの名手として認められます。
そのため、ベートーヴェンの初期の作品はピアノの作品が多くを占めています。

そしてピアニストであるベートーヴェンは、ピアニストとしての活動もしながら様々な編成の作曲を学んでいきました。
交響曲第1番を作曲する前に、ベートーヴェンは約10曲のピアノソナタと6曲の弦楽四重奏曲を書いています。
ベートーヴェンは作曲家としての地位を少しずつ築いていきます。
そして満を持して作曲した交響曲が交響曲第1番です。

Beethoven

ハイドン、モーツァルトの影響を受けた作品

初めての交響曲とあって、ハイドンやモーツァルトの古典派の影響を大きく受けている作品でもあります。
「交響曲第1番」は、「主題がモーツァルト的である。」や「ハイドンやモーツァルトの楽器鵜編成に近い。」と評されています。
しかし、それと同時に個性的な試みを用い先輩たちの技法からの脱却もはかっています。
若かりしベートーヴェンが学んできた作曲の集大成としての作品が、交響曲第1番だったのでしょう。
ピアニストとしての評価ではなく、作曲家としての評価をさらに高めるために重要な作品だったとも言えます。

作曲家として売れ始めたベートーヴェンが初めて書く交響曲です。
気合いが入らないわけがありません。

既に難聴だったベートーヴェン

交響曲第1番はゴットフリート・ファン・スヴィーテンに献呈されたもので、1799年から1800年にかけて作曲されました。
ちなみにこの頃からベートーヴェンはすでに耳が聞こえにくく感じ始めていたと言われています。

※作曲されはじめたのは1799年からですが、素材やスケッチは1796年頃のものも使われています。

曲の構成

全4楽章で30分程度の作品です。

第1楽章:Adagio molto - Allegro con brio ハ長調 4分の4拍子 - 2分の2拍子

序奏に独創性が認められ、ハイドンやモーツァルトのそれより重要な役割を果たしている。
ヴァイオリンによる第1主題が、モーツァルト「交響曲第41番」(ジュピター)の第1楽章冒頭の主題に似ていると言われている。

第2楽章:Andante cantabile con moto ヘ長調 8分の3拍子

こちらの第1主題は、モーツァルト「交響曲第40番」の第2楽章冒頭部分に似ていると言われている。

第3楽章:Menuetto Allegro molto e vivace ハ長調 4分の3拍子

ハイドンやモーツァルトによる典型的なメヌエットとは異なり、実質的にはスケルツォである。

第4楽章:Adagio - Allegro molto e vivace ハ長調 4分の2拍子

断片的な動機が発展して主題が生まれていく手法は、交響曲第5番や交響曲第9番の第1楽章冒頭でも用いられている。
序奏後のロンド風の主部は、ハイドンを思わせる明るい旋律である。

ベートーヴェン「交響曲第1番」の名盤

交響曲第1番には数多くの録音が残されています。
演奏の聴き比べをして、お気に入りの演奏も見つけたいですね。

交響曲第1番の1枚目のCDを買うのであれば、間違いなくオススメできるCDです。
カラヤン指揮・ベルリン・フィルハーモニーのベートーヴェン交響曲全集が一度に手に入ります。
輸入盤で格安で購入できるだけでなく、音質も素晴らしいです。

カラヤンとベルリンフィルが脂に乗っている時期の作品です。
カラヤンの美学とベルリンフィルの名演が絡み合って、最高のハーモニーを奏でています。
カラヤンらしさが一番感じとれる時期かもしれません。

クラシック初心者の方は、このCDを買って損はないと思います。

ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan/1908年4月5日-1989年7月16日)
オーストリアの指揮者

1955年から1989年までベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の終身指揮者・芸術監督を務める。
ウィーン国立歌劇場の総監督やザルツブルク音楽祭の芸術監督も務めるなど、歴史上最も偉大な指揮者の一人である。
日本には11度も来日しており、日本人には小澤征爾が師事したことでも知られている。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)
世界を代表するオーケストラの一つで、日本において絶大な人気を誇る。
重厚なドイツ的サウンドを奏でながらも、バラエティに富んだプログラムを演奏し常に世界の最先端をリードしている。

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