項目データ
作曲1856年-1871年
初演1876年
台本リヒャルト・ワーグナー
演奏時間4時間

リヒャルト・ワーグナーの『ジークフリート(Siegfried)』は、『ニーベルングの指環』4部作の3作目(第2日)に当たります。

『ニーベルングの指環』は、
・序夜 『ラインの黄金』(Das Rheingold)
・第1日 『ワルキューレ』(Die Walküre)
・第2日 『ジークフリート』(Siegfried)
・第3日 『神々の黄昏』(Götterdämmerung)
の4部からなり、上演に約15時間も要する大作です。
台本は、北欧神話の物語を基としたワーグナーの独自の世界観が描かれています。

すべてを作曲するのに26年もの歳月をかけ、全曲初演は1876年8月13日にようやくおこなわれました。(第1回バイロイト音楽祭)
このバイロイト音楽祭は、『ニーベルングの指環』を上演するためにワーグナー自らが創設した音楽祭です。

ここでは、そんなワーグナー『ジークフリート』のあらすじを紹介したいと思います。

【4部作すべての概要はこちらから】

登場人物

ジークフリート(テノール):ジークムントとジークリンデの子
ミーメ(テノール):ニーベルング族でアルベリヒの弟。ジークフリートを育てる

ファーフナー(バリトン):巨人族。大蛇に姿を変え、指環や財宝を守っている
アルベリヒ(バス):ニーベルング族でミーメの兄。指環を奪う機会を探っている

さすらい人(バス):神々の長ヴォータンの地上での変装姿
ブリュンヒルデ(ソプラノ):ヴォータンとエルダの娘。ワルキューレの一人。
エルダ(アルト):知恵の女神。ブリュンヒルデの母。
森の小鳥(ソプラノ):鳥の言葉でジークフリートにアドバイスをする

『ワルキューレ』と『ジークフリート』の間の出来事

ジークリンデは伝説の剣「ノートゥング」の破片を握り森に逃げ込み、ミーメに助けられる。
そして兄ジークフリートとの子供ジークフリートを産み息絶える。

一方ヴォータンは、さすらい人となって世界を遍歴している。

『ジークフリート』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」

【第1幕】ジークフリートが「ノートゥングの破片」から剣を鍛え上げます。
【第2幕】その剣で大蛇を退治し、指輪を手に入れます。
【第3幕】ジークフリートは岩山に眠るブリュンヒルデ目覚めさせ、二人は愛し合います。

第1幕:『ジークフリート』のあらすじ

第1場:鍛冶屋ミーメがジークフリートを育てている

鍛冶の名人ミーメがいくら腕を振るっても、自然児ジークフリートはその剣を簡単にへし折ってしまいます。

「ミーメが実の親ではない」ことを感ずいているジークフリートは、ミーメに本当の親について尋ねます。
育ての親である自分に感謝しないジークフリートに対し、ミーメは「お前を産んだのはジークリンデだ」と話します。
そして証拠として伝説の剣「ノートゥング」の破片を見せます。

ジークフリートは「その破片で剣を作るよう」頼みます。

 ミーメは、「ジークフリートを育てて、巨人族ファーフナーから財宝を奪ってもらおう。」と考えています。
ファーフナーは大蛇に変身し、近くの森でニーベルングの宝を守っています。

第2場:「ノートゥングの破片で剣が作れない」ミーメに、ヴォータンが助言する

ミーメは「ノートゥングの破片で剣が作れず」途方に暮れています。
そこに、さすらい人(ヴォータンの変装姿)が現れます。

二人は首を賭けて知恵比べをします。
ヴォータンは、最後に「ノートゥングの破片を剣にできるのは誰だ?」と質問します。

ミーメは答えがわからず戸惑います。
ヴォータンは「それは恐れを知らない男だ。」と告げて去っていきます。

第3場:ジークフリートが「ノートゥングの破片」を剣に鍛える

ジークフリートが森から戻ってきて、「剣はできたか?」と尋ねます。
ミーメは「おれの首は恐れを知らぬ男のものになった。」と嘆き、「ジークフリートに恐れを教えよう」とします。

ミーメはジークフリートに「外に出るには恐れを知る必要がある。」と説き、「ファーフナー退治に連れていく」きっかけを作ります。
未だ恐れを知らないジークフリートは、ノートゥングの破片を剣に鍛え上げます。(Notung! Notung! Neidliches Schwert!)

「Notung! Notung! Neidliches Schwert!」

ミーメは奪った宝を独り占めにするために、「ジークフリートを殺すための毒薬」を準備します。

第2幕:『ジークフリート』のあらすじ

第1場:アルベリヒとヴォータンの会話

ファーフナーが財宝を守る洞窟の前

アルベリヒが「ファーフナーから指輪を奪い返そう」と様子をうかがっています。
そこに、さすらい人(ヴォータンの変装姿)が現れます。
アルベリヒはそれがヴォータンだと見抜き、これまでの自分への仕打ちを恨みます。

ヴォータンは「私よりミーメに注意しろ」と警告し、去っていきます。

 アルベリヒは、地底のニーベルング族のこびとで、ミーメの兄です。最初に「ラインの黄金」を盗んで、それから指輪を作った人物でもあります。
ヴォータンは"城の建設費を払うため"にアルベリヒから指輪を奪い、それを巨人族ファーフナーに渡しました。

第2場:ジークフリートが大蛇を退治し、指輪を手に入れる

ミーメとジークフリートが現れます。
ミーメがうるさいので、ジークフリートは彼を追い払います。

朝になりジークフリートが角笛を吹き鳴らすと、大蛇ファーフナーが目を覚まします。
ジークフリートは大蛇の脅しにも屈せず、大蛇を剣で打ち倒します。

大蛇は「盲目のお前を犯行に駆り立てたやつが、お前の命を狙っている」と警告し、息絶えます。
大蛇の返り血を浴びたジークフリートは、「鳥の声が聞こえるように」なります。

ジークフリートは鳥の声に従って進み、「指輪と隠れ頭巾」を手に入れます。

第3場:魂胆を見破ったジークフリートが、ミーメを切り殺す

ミーメが現れ、"指輪を奪うために"ジークフリートに毒を飲ませようとします。
しかし鳥から「ミーメを信用してはいけない」と忠告を受けたジークフリートは、反対にミーメを切り殺します。

さらに鳥は「岩山に眠る花嫁ブリュンヒルデを目覚めさせなさい」と告げます。
ジークフリートは鳥の導くままに、そこへ向かいます。

 ブリュンヒルデは、ヴォータンとエルダの娘で、ワルキューレの一人です。
ヴォータンの命令に背いたために、岩山に眠らされています。
岩山は”真の英雄のみが近づける”ように、炎で囲まれています。

第3幕:『ジークフリート』のあらすじ

第1場:ヴォータンとエルダの対話

ブリュンヒルデが眠る岩山のふもと

ヴォータンがエルダを大声で呼び、彼女を眠りから覚まします。

ヴォータンはエルダに「運命の不安に打ち勝つ方法」と問いますが、彼女は答えられません。
エルダの「知恵の女神のとしての力」の衰えを感じたヴォータンは、彼女を永遠の眠りにつかせます。

第2場:ジークフリートが「ヴォータンの槍」を折る

ヴォータンの前に、ジークフリートが現れます。

ヴォータンがこれまでの経緯を根掘り葉掘り尋ねるので、ジークフリートは嫌気がさしてきます。
ジークフリートは「はやく岩山への道を教えてくれ!」「お前は誰だ!?」と苛立ちます。

ヴォータンは「ノートゥングを砕いた槍」を掲げます。
ジークフリートは「ヴォータンを父の仇と勘違い」し、ヴォータンに襲い掛かり槍を折ります。

ヴォータンは「行け!私はお前を止めることはできない。」と告げます。
ジークフリートは「ブリュンヒルデが眠る岩山」へと向かいます

第3場:ジークフリートとブリュンヒルデが永遠の愛を誓う

ブリュンヒルデが眠る岩山の頂き

炎をかいくぐったジークフリートが、ブリュンヒルデのもとへ現れます。

ジークフリートは、「ブリュンヒルデを男の戦士」だと勘違いします。
しかし甲冑を脱がせると、それは美しい女性でした。

ジークフリートは初めて女性と出会い、「恐れ」を覚えます。

ジークフリートがブリュンヒルデにキスをすると、彼女は目を覚まします。(Heil dir, Sonne! Heil dir, Licht!)

「Heil dir, Sonne! Heil dir, Licht!」

ブリュンヒルデは「生まれる前から愛していた」と語り、二人は永遠の愛を誓いあって抱き合います。
情熱的な愛が最高潮に達し、幕は下ります。

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