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邦題 | アドリアーナ・ルクヴルール |
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初演 | 1902年11月6日 ミラノ・リリコ劇場 |
原作 | ウジェーヌ・スクリーブとエルネスト・ルグーヴェ共作の同名の戯曲 |
台本 | アルトゥーロ・コラウッティ |
演奏時間 | 2時間15分 |
『アドリアーナ・ルクヴルール(Adriana Lecouvreur)』は、フランチェスコ・チレア(Francesco Cilea/1866年-1950年)が作曲したオペラです。
実在した女優アドリエンヌ・ルクヴルールの生涯を描いた作品で、初演も大成功を収めました。
また現在チレアのオペラ作品の中で、唯一上演頻度の高い作品でもあります。
ここではチレアのオペラ『アドリアーナ・ルクヴルール』のあらすじを紹介したいと思います。
主な登場人物
登場人物 | 詳細 |
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アドリアーナ・ルクヴルール(ソプラノ) | 女優 |
マウリツィオ(テノール) | ザクセン伯爵。アドリアーナの恋人。 |
ブイヨン公爵(バス) | 女優デュクロのパトロン |
ブイヨン公爵夫人(メゾソプラノ) | マウリツィオに恋している。 |
ミショネ(バリトン) | 初老の舞台監督。アドリアーナを密かに恋している。 |
『アドリアーナ・ルクヴルール』の簡単なあらすじ
時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
女優アドリアーナは、伯爵マウリツィオと恋人関係にあります。
一方、公爵夫人もマウリツィオに恋しており、アドリアーナと公爵夫人は「恋のライバル関係」です。
公爵夫人は、「マウリツィオから」と偽り「毒を盛ったスミレの花束」をアドリアーナに送ります。
アドリアーナがその毒で死に、オペラが終わります。
公爵夫人が毒を盛ったという噂が広がりましたが、元々病弱だったため事実は定かではありません。
第1幕:『アドリアーナ・ルクヴルール』のあらすじ
開演前の舞台裏で、人々が行き交っている
コメディ・フランセーズ(劇団の名前)の控室
舞台裏は開演前で騒々しく、ミショネ(初老の舞台監督)は雑用で慌ただしくしています。
そこにブイヨン公爵(女優デュクロのパトロン)が僧院長(オシャレな若者)を連れてきます。
公爵が現れたアドリアーナ(女優)の美しさを称えると、アドリアーナは「私は創造の神のしもべにすぎません。」と謙虚に答えます。(Io son l'umile ancella)
"Io son l'umile ancella"
公爵は「女優デュクロが、楽屋で"自分宛ではない手紙"を書いている。」ことを知ると、僧院長にお金を渡して「(手紙を)手に入れたい!」と頼みます。
ミショネの「アドリアーナへの愛」がスルーされる
やがてミショネ(初老の舞台監督)とアドリアーナ(女優)の2人きりになります。
ミショネは「やっと二人きりになれた。5年前からひっそり愛し続けたんだ。今日こそ告白しよう!」とつぶやきます。
ミショネはアドリアーナに「叔父の遺産が入ったから結婚しようと思うんだよね。」と暗に愛を告白します。
しかしアドリアーナは自分が相手だとは思わず、「私もザクセン伯爵の旗手を愛しているのよ。」と自分の恋人について語りだします。
アドリアーナとマウリツィオが愛を確かめ合う
ミショネが去ると、マウリツィオ(アドリアーナの恋人)が現れます。
マウリツィオは「アドリアーナの美しさ」を称え(La dolcissima effigie)、二人は愛を確かめ合います。
アドリアーナは「スミレの花束」を彼の胸につけてあげ、舞台の本番に向かっていきます。
旗手とは、名前の通り軍の行進などで旗を持つ人のことです。
"La dolcissima effigie"
公爵が「愛人(実は妻)の密会」を邪魔する計画を立てる
一方、公爵と僧院長は「デュクロの手紙」を手にしています。
手紙は「別荘で、政治的打ち合わせのために会いましょう。コンスタンス(偽名)より。」と筆跡を変え偽名で書かれた「マウリツィオとの密会の手紙」でした。
公爵は「愛人の密会」を邪魔しようとします。
そして、計画を防ぐために「同じ場所でパーティーを開く。」ことにします。
デュクロが公爵夫人の代わりに筆跡を変えて、代筆をしていたわけです。
別荘で「密会」と「パーティー」の予定が重なる
マウリツィオは、終演後にアドリアーナと会う約束をしています。
しかし「デュクロの手紙」を受け取り、予定が重なってしまいます。
マウリツィオは人づてでアドリアーナに断りの伝言を残し、別荘に向かいます。
一方、アドリアーナも公爵にパーティーに招待され、別荘に向かいます。
第2幕:『アドリアーナ・ルクヴルール』のあらすじ
マウリツィオが「スミレの花束」を公爵夫人に渡す
ブイヨン公爵の別荘
マウリツィオは待ち合わせに遅刻しています。
ブイヨン公爵夫人は"愛するマウリツィオの到着"を苛立ちながら待っています。(Acerba voluttà, dolce tortura)
“Acerba voluttà, dolce tortura”
そこにマウリツィオが「スミレの花束」を胸に指したまま現れます。
公爵夫人は花束に気づき疑いを持つと、マウリツィオはとっさの判断で「これはあなたのために」と"スミレの花束"を公爵夫人にプレゼントします。
公爵が到着し、公爵夫人が隠れる
さらに公爵夫人は「マウリツィオが既に自分に冷めている」ことに気づき、新しい相手を知りたがります。
そこに公爵が現れるので、公爵夫人は急いで隣の部屋に隠れます。
マウリツィオの身分が明らかになるが、二人の愛は変わらない
やがてアドリアーナも別荘に到着します。
公爵が"マウリツィオをザクセン伯爵"と紹介するので、アドリアーナは「マウリツィオは実は伯爵だった」と知り驚きます。
アドリアーナは驚きますが、二人は変わらぬ愛を誓いあいます。
アドリアーナが恋敵を逃がしてしまう
続いて、マウリツィオはアドリアーナに「隣に隠れている女性を逃がしてほしい。政治に関する人なんだ。」と頼みます。
暗がりで顔が見えない中で、アドリアーナは公爵夫人を逃がします。
しかし、二人は会話の中で「お互いが恋敵」だということに気づきます。
アドリアーナは恋敵を逃がしたことを悔しがり、「公爵夫人が落としていった腕輪」を手にします。
第3幕:『アドリアーナ・ルクヴルール』のあらすじ
アドリアーナと公爵夫人は「お互いが恋敵」だということを知る
ブイヨン公爵邸
パーティーが開かれており、公爵夫人は「恋敵の名前と身分」を知りたがっています。
そこにアドリアーナが到着し、公爵夫人は彼女の声で「恋敵はアドリアーナ」だと疑います。
公爵夫人が「マウリツィオが決闘で重傷を負った。」と嘘をつくとアドリアーナが失神するので、公爵夫人は「アドリアーナが恋敵」だと確信します。
そこにマウリツィオが元気な姿で登場し、「ロシア軍を撃破した話」を喜ばし気に語ります。
余興が終わると、アドリアーナと公爵夫人は「お互いが恋敵」であることを確認し合います。
恋敵の2人が「皮肉」を言い合う
公爵夫人はアドリアーナに「恋人に捨てられたアリアドネの台詞を朗読してよ。」と語ります。
するとアドリアーナはその代わりに「不倫を告白するフェードラ」の台詞を読み上げます。
公爵夫人が怒りをあらわにする中で、アドリアーナは去っていきます。
第4幕:『アドリアーナ・ルクヴルール』のあらすじ
アドリアーナは体調を崩している
アドリアーナの家
マウリツィオは国に帰ってしまい、アドリアーナは嫉妬と悲しみで体調を崩しています。
そこにミショネや仲間たちが現れ、彼女を励まします。
アドリアーナが「届いたスミレの花束」にキスをする
そこに「マウリツィオより」と書かれた小箱が届きます。
アドリアーナが箱を開けると「しおれたスミレの花束」が出てきます。
第2幕で、マウリツィオはその花束を公爵夫人に渡しています。
アドリアーナはその花にキスをし、失恋の悲しみを歌います。(Poveri fiori)
絶望したアドリアーナは、花束を暖炉に投げ込みます。
"Poveri fiori"
マウリツィオが現れ、二人の愛が再燃する
そこに突然マウリツィオが現れます。
マウリツィオの後悔の念と熱い愛情に、アドリアーナは心を動かされます。
そして再び二人は愛情を確かめ合います。
アドリアーナが「公爵夫人が盛った毒」で息絶える
しかし、アドリアーナの容態が突然悪化します。
「スミレの花束」は公爵夫人が送ったもので、花束には毒が盛られていたのでした。
アドリアーナは「舞台と幸せな生活の幻影」をみながら息絶え、オペラの幕が静かに下ります。
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